言語実証プロジェクト
Scientific Research Project on Languages
Scientific Research Project on Languages
これまで記述的アプローチで言語的特徴が直観的に研究されてきました。直観的な言語的特徴の記述は「仮説」として極めて貴重です。しかし,それが実証されないままで放置されたり,別の仮説が提唱されたり,さらにまたその仮説が放置されたりする傾向があるように思われます。言語研究を着実に進展させるためには,言語的特徴に関する仮説を実証的に証明・反証することが必要です。このプロジェクトの目的は,そのようなアプローチをとるための実験・調査による研究方法と分析方法を紹介することです。
インターネットとAIは,私たちの日常生活に欠かせないツールとなりました。かつては会場まで足を運ばなければ聴くことができなかった講演会や講習会も,オフィスや自宅で聴くのが当たり前になりました。このプロジェクトでは,このような時代の変化に対応し,講演や講習会を電子的にお届けします。また,実証研究のための技術や分析手法のビデオをインターネット上で公開し,いつでも聞けるようにします。
1.2023年7月に玉岡賀津雄『決定木分析による言語研究』(くろしお出版)が発売されました。
2025年度 言語実証プロジェクト講演会 2回連続企画VooV(腾讯会议)での開催 ポスターはこちら
講演1
テーマ:「人の言語産出はコーパスの代わりになるのか? ― 音象徴語と動詞の共起から考える」
日時:2025年10月17日(金)20時ー21時(日本時間)
要旨:研究に使われる「コーパス」と,人が実際にしゃべったり書いたりする「生きた言葉」。両者はどこまで似ているのでしょうか?本講演では,日本語のオノマトペ(音象徴語)と動詞の組み合わせを例に,新聞記事コーパスと母語話者の産出データを比較した研究を分かりやすく紹介します。言語研究やコーパス研究に関心のある方はもちろん,日本語の豊かな表現の仕組みに触れてみたい方にも楽しんでいただける内容です。皆さまのご参加を心よりお待ちしています。
参加登録フォーム: https://forms.office.com/r/WiDQmxfN39
講演2
テーマ:「SEMで拓くSSCI論文への道:日本語学習研究の事例から」
日時:2025年11月21日(金)20時ー21時(日本時間)
要旨:本講演では,国際学術誌(SSCI収録誌)における論文執筆を目指す研究者を対象に,構造方程式モデリング(SEM)の活用について具体的な事例を通して紹介します。言語学習研究におけるSEMの有効性を示すため,二つの実証研究を取り上げます。第一は,中国人日本語学習者を対象に,語彙・文法知識と読解力の間に位置する文間推論能力の媒介的役割を明らかにした研究です。第二は,日本語の音象徴語習得を分析し,擬音語(phonomimes)と擬態語(phenomimes)が並行的に学ばれることを示した研究です。これらの研究は,SEMを用いることで複雑な能力間の因果関係を統計的に可視化し,国際誌における論文発表へとつながった実例となります。本講演では,数式や技術的手続きの詳細に立ち入るのではなく,研究設計や論文執筆におけるSEMの意義を理解できるように解説します。学部生・大学院生から若手研究者,さらには指導的立場にある方々まで,幅広い層に有益な示唆を提供する内容です。
参加登録フォーム: https://forms.office.com/r/9uKMDm3WRJ
本プロジェクトのイベント情報の受け取りを希望された方には参加登録情報をメールでご案内いたします。
新規の方はポスターのQRコードからご登録ください。
参加はすべて無料です。