2024

第77回  6月29日(土)(大阪公立大学杉本キャンパス理学部棟数学大講究室 (E408))

15:00-16:00 

川本 昌紀 氏 (岡山大学)

Strauss指数を超えない2次元非線形シュレディンガー方程式の時間大域的適切性について


本講演では、$F(a u ) = a^{\rho} F(u)$ の形の斉次型の非線形項を持つ2次元非線形シュレディンガー方程式の小さい初期値に対する時間大域的適切性について考察する。この問題に対しては $\rho$ がStrauss冪を超えている場合には一般的な枠組みで時間大域解の構成及びその解の散乱を示すことが出来るが、$\rho$ がStrauss冪以下の場合では、非線形項がGauge不変な冪乗型であれば時間大域解が構成できるが、池田-若杉 (2013) などに見るように、Gauge不変でない modulus-type の非線形項の場合では small data blow-up が起こりうる。そこで、一般の斉次型の非線形項の枠組みの中に、Gauge不変な非線形項を含み、modulus-type の様な非線形項を含まないような構造を入れた非線形項を考察し、その構造の中では $\rho$ がStrauss冪以下の場合でも、時間大域的適切性及び解の散乱が得られる事を見る。本研究は眞崎聡氏(北海道大学)、宮崎隼人氏(香川大学)との共同研究である。


16:15-17:15 

森岡 悠 氏 (愛媛大学)

波動方程式の逆散乱による超音波物質同定問題の基礎研究


鉱物や岩石の物質特性を超音波による非破壊検査で決定する実験においては, パルス状の入射波に対し, 反射波を計測し,標本長と伝播時間の関係から標本固有の波速度を決定する. この際, 実験系のスケールでは, 標本を実験装置に固定するための接合材層(bond)による影響を無視できない. この影響を補正するため, 従来 bond correction method と呼ばれる方法が用いられているが, この定式化には数学的に疑問の余地があり, また実験的にも今日に至るまで補正手段の検討が続けられている.最近, 数物協働で波動方程式による解析に基づいてこの補正法の再検討を始めており, 本講演では現状についてご報告したい.

第76回  5月25日(土)(大阪公立大学 I-site なんば 2階 S1 セミナールーム)

15:00-16:00 

佐川 侑司 氏 (大阪公立大学)

弱消散構造をもつ非線形波動方程式のエネルギー減衰について


空間2次元で3次の非線形項を伴う波動方程式の初期値問題について考察する。非線形項が弱消散構造をもつ場合は2021年にNishii-Sunagawa-Terashitaによってエネルギー減衰が起こることが示された。しかし彼らの結果はエネルギー減衰率に「余分なδ」が含まれており、エネルギー減衰率が最適であるかどうか不明であった。本講演では「余分なδ」を部分的に排除でき、さらにエネルギー減衰率が最適であることを述べる。本講演内容は東京理科大学の西井良徳氏、熊本大学の佐藤拓也氏との共同研究に基づく。


16:15-17:15 

西井 良徳 氏 (東京理科大学)

消散構造を伴う非線形Klein-Gordon方程式の解の減衰評価


1次元Euclid空間上で斉3次の非線形項を伴う非線形Klein-Gordon方程式の初期値問題を考える. この方程式の解の長時間挙動を考える際, 3次の非線形項が臨界的な状況の一つを与えることが知られており, 初期値が小さく滑らかでも一般には古典解は有限時間までしか存在しない. 古典解の時間大域的存在を保証する非線形項の構造条件(A)がSunagawa(2006)等により得られ, さらにKim-Sunagawa(2014)では(A)より強い条件(B)の下で解の減衰評価が得られている. 本講演では, 非線形項が(A)を満たすが(B)を満たさない場合の解の減衰評価について得られた結果を紹介する.

第75回  4月27日(土)(大阪公立大学杉本キャンパス理学部棟数学大講究室 (E408))

16:00-17:00 

Laurent Di Menza (Universite de Reims Champagne-Ardenne)

Some aspects of Schrodinger models


In this talk, we focus on basic facts about the Schrodinger equation that arises in various physical contexts, from quantum mechanics to gravitational systems. This kind of equation has been intensively studied in the literature and many properties are known, either from a qualitative and quantitative point of view. The goal of this presentation is to give basic properties of solutions in different regimes. A particular effort will be paid for the numerical computation of solitons that consist in solutions that propagate with shape invariance.