第81回 2月21日(金)(大阪公立大学中百舌鳥キャンパスA13棟228)
Jann-Long Chern (National Taiwan Normal University)
Markov-Chained SIR Model for Final Size Distribution: Analysis, Sensitivity, and COVID-19 Insights
In this talk, we will explore methods for determining the final size distribution, an essential metric in epidemic modeling, with an emphasis on the global impact of the COVID-19 pandemic. We assess three Monte Carlo-based approaches to identify the most efficient, and our findings show that Sellke's method outperforms the others. Additionally, we introduce a new algorithm with a time complexity of $\mathcal{O}(N^2)$ and a memory requirement of $\mathcal{O}(N)$, achieving a reduction in computational time of at least 20%. This algorithm facilitates in-depth sensitivity analysis, which, through parameter estimation, reveals the persistence of the COVID-19 pandemic, as confirmed by our numerical results.
Chiun-Chuan Chen (National Taiwan University)
Variational Methods and Traveling Wave Solutions of Reaction-diffusion Equations
Heinze, Lucia, Muratov, Novaga, and others developed a variational method for studying traveling wave solutions of reaction-diffusion equations when they have suitable structures. This method not only allows us to obtain traveling wave solutions but also provides a variational description of the wave speed. In this talk we will present some old and new examples of this approach, including equations with non-local terms, multi-phase waves, and a Stefan-type free boundary problem.
第80回 1月25日(土)(大阪公立大学中百舌鳥キャンパスA12棟)
非線形微分方程式の2点境界値問題のうち典型的な非線形項を含む方程式に関しては、解を楕円関数で表すことでさらなる精密解析が可能となる。2000年代のLou-Li-YotsutaniやKosugi-Morita-Yotsutaniらの研究では、非局所項を含む反応拡散方程式の定常問題についても楕円積分や楕円関数に基づく精密解析が有効であることが示され、解の大域的分岐構造をはじめとするさまざまな性質が明らかにされてきた。きた。また、講演者と四ツ谷氏による一連の研究においては、解に付随する線形化固有値問題について、全ての固有値と固有関数に関する精密解析が可能であることが明らかにされた。これらの研究における楕円積分や楕円関数表示にもとづく解析方法は空間1次元や特別な非線形項の場合など、応用に際して多くの制約があるものの、反応拡散方程式の典型的ないくつかの問題について有用な知見を与えることが期待される。本講演では、特に1次元スカラーフィールド方程式のうち指数3かつ微小拡散係数を有する場合に着目し、任意の正値定常解の線形化固有値問題に対して、全ての固有値・固有関数の精密な情報が得られたことについて報告を行う。本講演は宮本安人氏(東京大学)、竹村春希氏(東京大学大学院)との共同研究に基づく。
3波相互作用と臨界指数を含む非線形シュレディンガー方程式系の基底状態解の存在について
本講演では3波相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式系の基底状態解の存在について議論する。この問題はPomponio(2010)により基底状態解の存在やその漸近挙動について調べられ、近年、Osada-Kurata(2021)に基底状態のエネルギーのcoupling parameterに関する漸近挙動の解析、Osada(2024)による関連する特異摂動問題の解析など盛んに研究されているが、これらの研究は非線形項のべきがすべてSobolev劣臨界の場合であった。本講演では非線形項のうちいくつか、あるいはすべてがSobolev臨界であっても、相互作用項のcoupling parameterが十分大きければ基底状態解が存在し、さらに3成分のすべてが非自明であることを報告する。本講演は國府方秀謙氏(神奈川大学大学院理学研究科)との共同研究に基づく。
第79回 10月26日(土)(大阪公立大学杉本キャンパス理学部棟数学大講究室 (E408))
Higher order estimate near the boundary of a large solution to semilinear Poisson equation with double-power like nonlinearity
完全導体容器内で均一に帯電した理想気体の平衡を考える。平衡状態における気体の圧力を記述する方程式は半線形ポアソン方程式となる。気体の総質量が無限大になるとき、圧力は内部の点で有限な上限を持つが、境界で無限大になる。このような境界で無限大に発散する条件を持つ半線形ポアソン方程式の解はlarge solutionと呼ばれる。
この講演では二重冪乗型非線形項を持つ半線形ポアソン方程式のlarge solutionの境界付近における漸近挙動を考察し、次の結果を紹介する:
(1)一定の仮定(具体的には講演で紹介する)を満たす非線形項に対して解の第三項の正確な式を得た。
(2)特別な二重冪乗型非線形項の場合に解の高次項の正確な式を得た。これらの結果において、境界までの距離関数の非整数冪が現れうることが興味深い点である。
(3)(2)で解の第三項までしか求めることができなかった状況において、解の第四項の正確な式を得た。
本講演内容は滝本和広氏(広島大学)との共同研究に基づく。
ノズル内の等エントロピー流を表す方程式についてー古典解の時間大域的存在ー
断面積の変化するノズル内を流れる非粘性圧縮性気体の運動を考える.この運動は圧縮性オイラー方程式によって記述される.一般的に,この方程式は不連続解(衝撃波)をもつことが知られているが,この講演では古典解を取り扱う.
① 現象の説明 ノズル流は,圧縮性流体では基本的かつ重要な事項である.また、
宇宙流体力学とも関連が深い.まず,これらの点について説明する.
② 時間局所解の存在 本方程式は準線形双曲型に分類される.その準線形双曲型
の古典解の時間局所解の存在について,いくつかの注意を述べる.
③ 解の一様有界評価 古典解を時間大域解に延長する場合,解の有界評価が必要である.
第78回 7月27日(土)(大阪公立大学中百舌鳥キャンパスA12棟)
空間周期的な2次元帯状領域における外力項付き曲率流の解の伝播とブロッキング
本講演では,空間周期的な2次元帯状領域における外力項付き曲率流の解の伝播とブロッキングの条件を領域の形状で特徴づける問題について考える.Matano-Nakamura-Lou 2006では,領域の境界の凹凸がゆるやかであるという仮定の下で,外力項付き曲率流の古典解の時間大域的存在が示されている.さらに,領域の最大開き角という概念を導入することで,解の伝播とブロッキングの条件の特徴づけが与えられている.一方で,領域の境界の凹凸が険しい場合には,外力項付き曲率流の古典解の時間大域的存在は成り立つとは限らない.また,領域の境界の凹凸が険しい場合には,Matano-Nakamura-Lou 2006における,最大開き角を用いた解の伝播とブロッキングの条件の特徴づけが成り立たないような領域の例が構成できる.
ここでは,時間大域的存在が成り立つような弱解のクラスで解を捉えなおすことで,解の長時間挙動を考える.また,領域の有効開き角という概念を導入することで,解の伝播とブロッキングの条件の特徴づけが与えられることを示す.本研究は,俣野博氏(明治大学MIMS)との共同研究である.
非局所拡散を伴う反応拡散方程式に対する単安定進行波解の安定性
反応拡散方程式の単安定進行波解の重み付き空間における大域的な安定性について考える.被食・捕食系などの比較原理が成り立たない反応拡散方程式系を扱う.まず,拡散係数が等しい反応拡散方程式の進行波への収束問題について,エントロピー密度を用いる一般的な定理を紹介する.この一般論は数理生物学や感染症問題に現れる反応拡散方程式へ応用が可能である.次に,拡散に非局所遠距離相互作用がある問題への拡張とその応用について論じる.
第77回 6月29日(土)(大阪公立大学杉本キャンパス理学部棟数学大講究室 (E408))
Strauss指数を超えない2次元非線形シュレディンガー方程式の時間大域的適切性について
本講演では、$F(a u ) = a^{\rho} F(u)$ の形の斉次型の非線形項を持つ2次元非線形シュレディンガー方程式の小さい初期値に対する時間大域的適切性について考察する。この問題に対しては $\rho$ がStrauss冪を超えている場合には一般的な枠組みで時間大域解の構成及びその解の散乱を示すことが出来るが、$\rho$ がStrauss冪以下の場合では、非線形項がGauge不変な冪乗型であれば時間大域解が構成できるが、池田-若杉 (2013) などに見るように、Gauge不変でない modulus-type の非線形項の場合では small data blow-up が起こりうる。そこで、一般の斉次型の非線形項の枠組みの中に、Gauge不変な非線形項を含み、modulus-type の様な非線形項を含まないような構造を入れた非線形項を考察し、その構造の中では $\rho$ がStrauss冪以下の場合でも、時間大域的適切性及び解の散乱が得られる事を見る。本研究は眞崎聡氏(北海道大学)、宮崎隼人氏(香川大学)との共同研究である。
波動方程式の逆散乱による超音波物質同定問題の基礎研究
鉱物や岩石の物質特性を超音波による非破壊検査で決定する実験においては, パルス状の入射波に対し, 反射波を計測し,標本長と伝播時間の関係から標本固有の波速度を決定する. この際, 実験系のスケールでは, 標本を実験装置に固定するための接合材層(bond)による影響を無視できない. この影響を補正するため, 従来 bond correction method と呼ばれる方法が用いられているが, この定式化には数学的に疑問の余地があり, また実験的にも今日に至るまで補正手段の検討が続けられている.最近, 数物協働で波動方程式による解析に基づいてこの補正法の再検討を始めており, 本講演では現状についてご報告したい.
第76回 5月25日(土)(大阪公立大学 I-site なんば 2階 S1 セミナールーム)
弱消散構造をもつ非線形波動方程式のエネルギー減衰について
空間2次元で3次の非線形項を伴う波動方程式の初期値問題について考察する。非線形項が弱消散構造をもつ場合は2021年にNishii-Sunagawa-Terashitaによってエネルギー減衰が起こることが示された。しかし彼らの結果はエネルギー減衰率に「余分なδ」が含まれており、エネルギー減衰率が最適であるかどうか不明であった。本講演では「余分なδ」を部分的に排除でき、さらにエネルギー減衰率が最適であることを述べる。本講演内容は東京理科大学の西井良徳氏、熊本大学の佐藤拓也氏との共同研究に基づく。
消散構造を伴う非線形Klein-Gordon方程式の解の減衰評価
1次元Euclid空間上で斉3次の非線形項を伴う非線形Klein-Gordon方程式の初期値問題を考える. この方程式の解の長時間挙動を考える際, 3次の非線形項が臨界的な状況の一つを与えることが知られており, 初期値が小さく滑らかでも一般には古典解は有限時間までしか存在しない. 古典解の時間大域的存在を保証する非線形項の構造条件(A)がSunagawa(2006)等により得られ, さらにKim-Sunagawa(2014)では(A)より強い条件(B)の下で解の減衰評価が得られている. 本講演では, 非線形項が(A)を満たすが(B)を満たさない場合の解の減衰評価について得られた結果を紹介する.
第75回 4月27日(土)(大阪公立大学杉本キャンパス理学部棟数学大講究室 (E408))
Laurent Di Menza (Universite de Reims Champagne-Ardenne)
Some aspects of Schrodinger models
In this talk, we focus on basic facts about the Schrodinger equation that arises in various physical contexts, from quantum mechanics to gravitational systems. This kind of equation has been intensively studied in the literature and many properties are known, either from a qualitative and quantitative point of view. The goal of this presentation is to give basic properties of solutions in different regimes. A particular effort will be paid for the numerical computation of solitons that consist in solutions that propagate with shape invariance.