MLSE Q&A
作成:2018年5月30日
最終更新:2024年3月4日
Q. 日本ディープラーニング協会(JDLA)との違い、すみ分けは? また、機械学習検定などを実施する予定はありますか?
JDLAとは、ディープラーニングを含めた機械学習技術の産業応用促進、という目的は共有していますが、立ち位置やアプローチは大きく異なります。
JDLAは、ディープラーニングを扱える技術者や事業開発者の育成、社会への提言といった活動を中心に、協会が主体的な立場をとって活動しておられます。一方MLSEは学術研究会であり、世の中の研究者・実務者の皆さんによる研究・プラクティスの蓄積や交流を促進することを活動の主目的としています。
したがってMLSEの活動の中心は、研究発表会やワークショップ、勉強会の開催です。皆さんの発表・議論を通じて、機械学習工学の体系化を目指します。プレーヤーはあくまで皆さんです。皆さんの活動をファシリテートし、情報共有する場を提供していきます。
以上から、検定を行うといった活動はMLSEの範疇ではなく、実施する予定はありません。
Q. 他の学会(人工知能学会など)やコミュニティ等との連携の方針、予定について、お聞かせ願います。
機械学習工学は機械学習研究とソフトウェア工学研究の学際的な研究領域であるといえます。そのため現在のところ、下記の学会・研究会とは積極的に連携する予定があります。また機会があれば、他の団体とも積極的に連携していきます。
人工知能学会(JSAI)
電子情報通信学会 情報論的学習理論と機械学習研究会(IBISML)
日本ソフトウェア科学会 ソフトウェア工学の基礎研究会(FOSE)
情報処理学会 ソフトウェア工学研究会(SIGSE)
Q. 実務でこうすればいい、という話は工学ではないのでは。
おっしゃるとおり、ただ実務で得られた経験を話し合うだけでは工学とはなりません。一方で、現在は現場での機械学習の利用が先行しており、研究者がそうした現場の知見を無視するのもまた、工学のあるべき姿ではありません。MLSEでは、それらのプラクティスを共有して積み上げ、モデル化して工学分野に育てていく場を提供していきたいと考えています。
Q. 機械学習の開発、運用プロセスを体系化し、SWEBOKのようなBOK(Body of Knowledge、知識体系)を作る計画はありますか?
現在はまだまだこうした技術を体系化できる段階にはありませんが、MLSEでの活動が進んで体系化ができた暁には、BOKとしてまとめる事も視野に入れています。
Q. 研究者でない立場で機械学習システムを開発している人も参加しているかと思います。そのような人間が機械学習工学研究会に貢献できることはありますか?研究者は何を期待しますか?
現在のMLSEに興味を持つ方々の多くは企業人、それも一般の開発者の方々です。MLSEではこうした一般的な開発者の人たちにも門戸を開き、皆さんが普段の開発業務で抱えている課題や得られたプラクティスを共有する場を提供していきます。ぜひ、そうした場に参加して下さい。
研究者の人たちにもこうした場に参加して頂き、情報共有と議論を通じて、個々のプラクティスとして散らばった知見をモデル化・体系化する、あるいは学術的立場から新たな技術の提案をして頂くことを期待しています。
Q. 現在の課題を解決するためには、機械学習技術を研究開発する立場と、現在の機械学習が抱える問題を前提としての設計方法論やシステム構成法を研究開発する立場があると思うのですが、MLSEのターゲットは後者であるという理解で良いですか?
主として後者になると思われます。もちろん機械学習そのものの研究もMLSEで扱いますが、機械学習そのものを対象とした学会・研究会での方が、機械学習研究の観点からの本質的な議論が期待できると思います。MLSEではあくまで、社会実装・産業応用を前提とした機械学習の研究が中心となります。
Q. 倫理観も取り上げて欲しいです。
Q. 自動運転車で直進すれば10人の歩行者を弾き、右に進めば1人の歩行者をひく。左に進めば、壁に激突して、自分と同乗者が死ぬ。 このような倫理的問題において、機械学習はどのような判断をさせる様にプログラムすれば良いか。 何か指針などはありますか?
MLSEでも、参加者の多くが倫理的課題を解決したいと考えた場合は、そうした倫理の問題を扱う場を提供していきます。
ただし、『トロッコ問題』のような倫理的問題は長年議論されながら一般的な解があるものではなく、あくまで工学的見地からの解決策を探る、という立場を採ることになろうかと思います。また、MLSEはあくまで議論の場を提供するのみであり、何か1つの指針を採用する、といった立場にはありません。