尊厳ある縮退 公開研究会

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さまざまな実践知、学知を共有し、討議を行う場として公開研究会を開催しました。

  • 第1回 2020年8月4日(火)15:00~17:00

「そこに生野はあるんか?」アイフルなまちづくり 小島公明氏(いくの地域自治協議会事務局長)
 兵庫県のほぼ中央部に位置する朝来市は、2005年に旧朝来郡の4町(生野町・和田山町・山東町・朝来町)が合併して生まれた市。合併以前からこの地域は、人口の急速な減少が続き、多数の限界集落を抱えて「縮退」の危機に直面していた。それに対応して同市で進められてきたのが、小学校区の地域自治協議会を基盤にした「地域協働・地域自治システム」によるまちづくりだ。

 そのまちづくりの実践に学ぼうと、第1回研究会では、旧生野町役場の職員時代からこの地域のまちづくりに関わってきた小島公明氏をゲストに迎えた。『「そこに生野はあるんか?」アイフルなまちづくり』というタイトルは、消費者金融のアイフルのCMのフレーズ「そこに愛はあるんか?」をもじってつけたもの。小島氏はこれまで、「そこに生野はあるんか?」と自問自答しながら取り組みを続けてきたのだという。(ホスト:小林郁雄)

  • 第2回 2020年8月20日(火)15:00~17:00

「集落持続に向けた社会関係の再編」 山崎義人氏(東洋大学国際学部国際地域学科 教授

 第2回研究会では、早くから過疎と少子高齢化の課題に向き合ってきた農山漁村の地域づくりに注目し、この分野で精力的に研究を続けている山崎義人氏をゲストに迎えた。

 お話しいただいたのは、2020年日本建築学会賞を受賞した『高流動性社会を背景とした集落持続に向けた社会関係の再編に関する一連の研究』という研究論文の内容。山崎氏は、移住や都市農村交流、二地域居住などで人々が都市と農村とを頻繁に往来して暮らすようになった今の社会を「高流動性社会」と呼んでいる。この高流動性社会を背景にして、農山漁村をいかに持続していけるかという方法論を示していただいた。(ホスト:室崎千重)

  • 第3回 2020年9月1日(火)9:30~11:30

「縮退時代の都市計画」 饗庭伸氏(東京都立大学 都市環境学部 都市政策科学科 教授)
日本では、人口の9割以上が都市に住んでいる。その都市が縮退しつつあるいま、都市計画はどうあるべきか。それを考えるために、第3回研究会では、人口減少時代における都市計画やまちづくりについて研究を続けている饗庭伸氏をゲストに迎えた。

 饗庭氏は、都市が縮退する際に起こる現象を「スポンジ化」と表現する。都市は外側から内側に向けて縮小するのではなく、都市全体の大きさは変わらないままで、その内部にスポンジの穴のように空き家や空き地がポツポツと生まれ、低密化していくというのだ。スポンジ化する都市空間をうまく使いながら、豊かな住宅地をつくっていくための都市計画とは? 饗庭氏が実際に関わってきたまちづくりの事例を交えて話していただいた。(ホスト:小林郁雄)

  • 第4回 2020年10月28日(水)15:00~17:00

「兵庫の真ん中でキラリと光るまちづくり-神河町の移住・定住・田舎暮らし・地方創生の取り組み-
            真弓憲吾氏神河町ひと・まち・みらい課)

兵庫県のほぼ中央に位置し、「兵庫の真ん中でキラリと光るまちづくり」を掲げる神河町は、2005年に神崎郡の大河内町と神崎町が合併して生まれたまち。人口1万950人(2021年6月末現在)と、県内で人口が最も少ない自治体である。

 高齢化・過疎化が進む同町では、「縮退」傾向に何とか歯止めをかけようと、移住・定住施策に精力的に取り組み、県内でトップクラスの移住実績を上げてきた。そのまちづくりの実践に学ぶため、第4回研究会では、神河町ひと・まち・みらい課の真弓憲吾氏をゲストに迎え、移住促進と地域創生の取り組みについてお話しいただいた。

ホスト:小林郁雄)

  • 第5回 2020年11月24日(火)15:30~17:30

(1)「尊厳ある死とは」
  
 柏木哲夫(淀川キリスト教病院名誉ホスピス長、大阪大学名誉教授、ホスピス財団理事長)

まち・むらが縮退する際に求められるものと、人が死を迎える際に求められるものとは共通するところがあるのではないか。そんな問題意識から、第5回研究会では、日本におけるホスピス運動の草分け的存在である柏木哲夫氏をゲストに迎えた。

 柏木氏は、淀川キリスト教病院で1973年に日本で初めてホスピス医療を導入し、1984年に国内2番目のホスピス緩和ケア病棟を開設。同病院のホスピス医として、これまでに約2500人の患者を看取ってきた。その豊富な経験の中から、「尊厳ある死」を迎えるためのケアのあり方について話していただいた。(ホスト:渥美公秀)

第5回公開研究会(1)(PDFファイル・306KB)

(2)「奈良県の限界集落での体験から」柏木道子 (元大阪キリスト教学院短期大学学長)
 柏木哲夫氏のお話の前に、ご伴侶の柏木道子氏(大阪キリスト教短期大学元学長)に登壇いただき、アジア協会アジア友の会のアジア・ユース・サミットで、国内外の高校生とともに奈良県の限界集落でのフィールドワークの体験を話していただいた。(ホスト:渥美公秀)

第5回公開研究会(2)(PDFファイル・209KB)