英語学演習XI(2024年度)
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シラバス
教科書
Trudgill, Peter. 2023. The Long Journey of English. Cambridge: Cambridge University Press. [Cambridge EBA ebooks Complete Collection💾]
目次
参考書・データベースなど
和書(入門レベル)
大石晴美(編). 2023. 『World Englishes 入門: グローバルな英語世界への招待』昭和堂.
唐澤一友. 2016.『世界の英語ができるまで』亜紀書房.
唐澤一友. 2011.『英語のルーツ』春風社.
田中春美・田中幸子(編). 2012.『World Englishes―世界の英語への招待』昭和堂.
英語史や社会言語学の概説書(和書)はこちらにもまとめてあります。
地図・用語辞典など
Ethnologue [世界の言語に関する包括的な情報を提供するデータベース。概要についてはこちらのページを参照。]
The Electronic World Atlas of Varieties of English(eWAVE)🌎 [77の英語変種について、235項目に及ぶ形態統語的な特徴を概観することができます。使い方は菊地(2022)及びeWAVE講習会のページを参照。]
Durkin, Philip. 2014. Borrowed Words: A History of Loanwords in English. Oxford: Oxford University Press. [ProQuest Ebook Central💾; OEDなどの資料を基に英語の借用語について記述した研究書です。教科書と同時並行で読み進めると教科書の内容の理解が深まると思います。]
Gilbert, Martin. 2011. The Routledge Atlas of British History. 5th ed. London: Routledge. [ProQuest Ebook Central💾;イギリスの歴史に関連する地図を多数収録。]
Hickey, Raymond. 2014. A Dictionary of Varieties of English. Chichester: Wiley Blackwell. [ProQuest Ebook Central💾; 英語諸変種に関する歴史社会言語学的情報や世界英語研究のキーワードについて詳しい辞典です。]
Bergs, Alexander, and Laurel J. Brinton, eds. 2017. Varieties of English. (The History of English vol. 5) Berlin: De Gruyter Mouton. [ProQuest Ebook Central💾]
世界英語関連の情報
hellog #4730. World Englishes の学び始めに何冊か本を紹介 [概説書を含む世界英語関連の重要な書籍が紹介されています。]
ヨーロッパの地図
Chapter 1 Where It All Started: The Language Which Became English
eWAVE F128 Levelling of past tense/past participle verb forms: regularization of irregular verb paradigms [過去形・過去分詞形の規則化・単純化という現象の世界的な分布を示した地図です。教科書のp.14にもある通り、このような規則化・単純化はゲルマン祖語の段階でも生じていたと考えられています。eWAVEの使い方についてはこちらのページも参照。]
風間喜代三. 1993.『印欧語の故郷を探る』岩波書店.
Chapter 2 The Journey Begins: The First Movement South
ゴート語訳の聖書を収録したCodex Argenteusについて解説している動画。ゴート語研究およびゲルマン語派の言語研究に資する貴重な写本です。詳しくは、所蔵しているウプサラ大学図書館のHPを参照。
Chapter 3 Interlude: A View from the Celtic Island
Chapter 4 Heading West Again: The North Sea Crossing, 400–600
関連年表
450以降 ジュート人・サクソン人・アングル人・フリジア人、ブリテン島に定住開始 ➡ 以降、英語はブリテン島で独自に発達
5c-9c アングロサクソン七王国時代
563 聖コルンバ、スコットランドのアイオナ島に修道院建立、北部のノーサンブリアへ布教
597 聖アウグスティヌス、英国南西部の件と王国でキリスト教布教
出典:寺澤(2008)を基に作成
出典:Gilbert (2011:8)
The Story of Englishのvol.2(4章までの内容:最初の17分;5章:21分30秒~35分30秒;6章:35分30秒~44分45秒)
アングロサクソンのブリテン島への渡来について、その背景やその後の展開を説明した動画です。
Chapter 5 Anglo-Saxons and Celts in the British Highlands, 600–800
関連年表
750-1050 ヴァイキング時代、北欧のデーン人など、英国に侵入し修道院などを略奪、後に英国北部・東部・北西部に定住 ➡ 北欧語(古ノルド語)借用
878 アルフレッド大王、デーン人と条約締結、デーン人の法で統治できる地域(デーンロー)を認める
991 モールドンの戦い、英国(エセックス)軍がデーン軍に敗退
1016 デーン人のクヌート、英国王になる。デーン王朝(~1042)
1046 エドワード証聖王、デーン人より英国人に王位を奪還
出典:寺澤(2008)を基に作成
Chapter 6 And Further West: Across the Irish Sea, 800–1200
関連年表
1066 ノルマン征服。ノルマンディ公ウィリアム、へースティングズの戦いでハロルドを破り、英国王ウィリアム1世として即位 ➡ 大量のフランス借用語
1154 ヘンリー2世即位、ノルマン朝からプランタジネット朝へ移行(~1399)
1169-72 イングランドによるアイルランドの征服
1204 ジョン王、ノルマンディーなどのフランス領地を失う ➡ フランスとの関係が稀薄化、英語復権の端緒となる
1215 ジョン王、大憲章(マグナ・カルタ)承認
1337-1453 フランスとの百年戦争 ➡ フランス語は敵性語、英語に対する国語意識が高まる
1348-1350 黒死病の流行、英国の人口の約3分の1死亡 ➡ 労働力の不足、労働者階級およびその常用言語である英語の重要性増す [hellog #3976. 英語史における黒死病の意義]
1381 ジョン・ポールとワット・タイラーに指導された農民一揆 ➡ 農民の言語である英語の重要性が増す
1399 ノルマン征服以来、初めて英語を母語とするヘンリー4世即位。(ランカスター朝(~1461)
英国王朝系図(新国立劇場)も参照。
出典:Gilbert (2011:21)
関連記事
hellog #2219. vane, vat, vixen [p.71で紹介されている摩擦音の有声化について]
ノルマン征服について解説した動画。
アイルランド英語に特徴的な完了表現 be after –ing (e.g. I’m after seeing him.) の分布(GloWbE)
検索式:I|we|you|she|he|they _vb after _v?g
GloWbEを始めとするEnglish-Corpora.orgで公開されているコーパスについては「英語コーパス入門」のページを参照。
Chapter 7 Atlantic Crossing: On to the Americas, 1600-1800
関連年表
1584 ウォルター・ローリー、米国ノースカロライナ沖のロアノーク島に上陸、ヴァージニアと命名
1588 英国、スペインの無敵艦隊を撃破、世界へ覇権を拡大 ➡ 英語が世界へ拡張する端緒
1600 東インド会社の設立、東洋との直接貿易開始 ➡ 東洋からの借用語増加
1603 ジェームズ1世即位、スチュワート朝(~1649)
1607 ヴァージニア州ジェームズタウンへの入植、英国人によるアメリカの植民が本格化
1620 ピルグリムファーザーズ、メイフラワー号でプリマス到着
1642-49 清教徒革命
1649 チャールズ1世処刑
1653 オリヴァー・クロムウェル、護国卿に就任(~1658)
1660 王政復古、亡命中のチャールズ1世の息子がチャールズ2世として即位
関連記事
堀田隆一. 2017.「イギリス英語の autumn とアメリカ英語の fall ―― 複線的思考のすすめ」(連載「現代英語を英語史の視点から考える」第4回)[hellog関連記事]
詳しくは世界英語・方言のページを参照。
eWAVEを使ってピジン・クレオールの特徴を調べよう
The Electronic World Atlas of Varieties of English(eWAVE)🌎 [77の英語変種について、235項目に及ぶ形態統語的な特徴を概観することができます。使い方は菊地(2022)及びeWAVE講習会のページを参照。]
eWAVEには19のクレオール英語が収録されています。
Chapter 8 Onwards to the Pacific Shore
関連年表
1763 7年戦争(1756~)終結。英国はカナダとアメリカのフランス植民地を獲得
1776 7月4日、北米13州が独立宣言
1803 アメリカ、ルイジアナを買収
出典:『山川 詳説世界史図録 第4版』p.162
出典:『山川 詳説世界史図録 第4版』p.189
Liberiaに注目(出典:hellog #376. 世界における英語の広がりを地図でみる)
大西洋奴隷貿易の歴史について解説している動画(日本語字幕あり)
カナダ英語の特徴について
GloWbEにおけるcolourとその派生語の分布(検索式:colour*)
GloWbEにおけるcolorとその派生語の分布(検索式:color*)
GloWbEを始めとするEnglish-Corpora.orgで公開されているコーパスについては「英語コーパス入門」のページを参照。
Chapter 9 Across the Equator: Into the Southern Hemisphere, 1800-1900
関連年表
1768-71 ジェームズ・クック、ニュージーランド・オーストラリアを探検 ➡ 英語がオセアニアにも拡張
1795 英国、南アフリカのケープ植民地をオランダから奪取 ➡ 英語のアフリカ進出の先駆け
1801 大ブリテンとアイルランド連合
1840 英国、ニュージーランドを植民地化
Chapter 10 Some Turning Back: English in Retreat
小笠原の言語史
第1期(1830-1875):最初の定住者が来島してから日本人入植者が入ってくるまえの時代。欧米人や太平洋諸島民が入植、様々な言語が接触
第2期(1875-1945):日本語化が始まってから第二次世界大戦に島民が内地へ強制疎開するまでの時代。日本語との接触が起こり 戦後の混合言語の前身が形成される
2A期:日本の領土になった直後から欧米系の日本語習得が始まったが、その時点では英語が優勢だった
2B期:20世紀の初頭(1910年代、20年代)から、日本語を第一言語とする欧米系が増えてくる
2C期:1937年ごろからは、高まる軍国主義の中で英語の使用への弾圧が公私の場面を問わず厳しくなっていく
第3期(1946-1968):諸島を統治していた米海軍が欧米系島民のみの帰島を許可したため、英語優勢の社会へと戻り子供たちは英語による教育を受けるように。戦前からみられた混合化が進み、本格的な混合言語の言語体系へと発展
第4期(1968-):日本へと返還され、内地での生活を余儀なくされていた旧島民が帰島し、再び日本語が優勢言語 に
(ロング 2018: 11-12を基に作成)
ダニエル・ロング. 2018. 『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造—日本元来の多文化共生社会で起きた言語接触』. ひつじ書房.
Chapter 11 Meanwhile . . . Britain and the British Isles from 1600
関連年表
1169-72 アイルランドの征服
1284 ウェールズの併合
1536 英国とウェールズの連合
1601 ジェームズ1世による英国とスコットランドの王位統一
1707 英国とスコットランドが連合、大ブリテン成立
1801 大ブリテンとアイルランド連合
ケルト系言語の現状
Brythonic(ブリトン諸語;P-Celtic)
Goidelic(ゲール諸語;Q-Celtic)
heldio📻関連回
Chapter 12 Transcultural Diffusion: The New Native Englishes
シンガポール英語関連
English (東京外国語大学言語モジュール) [ENLの英語に加えて、インド、シンガポール等のESLの英語を学ぶことができます。発音・語彙等の主要な特徴についての説明もあります。]
Singlishの特徴や起源について解説している動画。SInglishを排斥しようとする動きについてはSpeak Good English Movementを参照。