て ん き り ん
て ん き り ん
しみじみとしじみのしるをすふときしみにしみしみてまつえうれしき
兼築 信行
詞書「家の整理のため松江へ」とある2018年の作。母との日々を詠った挽歌集だが、故郷恋いの集でもある。二年前の作では結句「まつえはこひし」だったが、現地で味わった感激が「うれしき」となった。歌集『改元前後』から。氏は平安鎌倉の和歌研究の早大教授、言葉遊びを含んだ表現に和歌の蓄積が覗く。私とは昨年春まで早大エクステンション講師として交流、歌集も贈呈し合った。ところがネットにこの七月七日逝去とあり、驚いた。私より十二歳年下のまだ七十歳、早過ぎるぞ、兼築!(三枝昻之)
「りとむ」2026年9月号より