AFF2e ミニシナリオ
「街道の襲撃」
この物語は、より大きな物語のプロローグとして用いられることを想定して作成されました。ゲームを開始して、ルールに習熟し、ヒーローを育てながら、「火吹き山の魔法使い」に挑むまでの物語として用いてください。
1.シナリオ概要
魔術師ザゴールの厳しさは混沌の軍勢にも向かれており、それによって「落ちこぼれ」の怪物たちがザゴールの元から逃げ出して、周囲の村を襲っている、という事態にも繋がっています。物語の最初は、そんな一隊のオークが村の荷車を襲っているところから始まります。オークの一隊を指揮していたのは、堕落した人間ノーズプラグでした。彼は火吹き山の様子を語ります……。
2.セッションの準備と推奨キャラクター
このシナリオは作りたての1人のキャラクターで行う、つまり1on1プレイで行うことを前提としています。
1人だからといって、安全に戦うための強力なキャラクターを準備する必要はありません。シナリオの戦闘リスクはあまり高くないように調整してあります。プレイヤーの好みのキャラクターを作成して活躍してもらってください。
3.シナリオの舞台
アランシアの「異教平原」を流れる「赤水川」沿いにある小さな村「ホッグキープ」(※シナリオ内設定)の近郊で物語は始まります。
4.シナリオの流れ
1)襲われている荷車を発見します。
2)一体のオークと戦います。
3)他のオークが襲いかかってきます。
4)オークの側についていた悪党、ノーズプラグが命乞いをします。
5)代わりの馬が来るまでの間、荷車の番をしていると、再度の襲撃を受けます。
5.シナリオ本編
■導入
・旅しているヒーローは、馬の断末魔のいななきを耳にします。前方を見ると、農夫の荷車が襲われて、馬が槍で深々と突き刺されて、いままさに絶命したところです。場所は開けた荒野のただなかで、現在地から荷車もよく見えますが、向こうからもこちらが良く見えます。
・農夫は十代の娘を連れています。農夫は自分がオークをひきつけてでも、娘を逃したいと考えています。もしヒーローが隠れて見守ろうとするなら、逃された娘がこちらに走ってくる(そして否応なく争いに巻き込まれる)ことになります。
・オークは五体いるのが見えます。
■オークの挑戦
・ヒーローが戦いに介入しようとすると、オークたちは「へなちょこ、よわい」と笑い合います。そして小柄なリーダーが「こいつでじゅうぶんだ、おまえ、いけ」と一人の若いオークに呼びかけます。指名されたオークは嬉しそうに吠え声を上げ、ヒーローに襲いかかってきます。
若いオーク
技術点4 体力点4 クラブ: 1 2 2 2 3 3 4 防具:なし
・若いオークが倒されると、こんどは二体のオークが怒りの声をあげて襲いかかってきます。こんどは二体を同時に相手にしなければなりません。ただし、オークが来るまでに2ターンの行動の余裕があります。ヒーローは他の行動や準備を行うことができます。
頭悪そうなオーク
技術点4 体力点6 パンチ: 1 1 1 1 1 2 3 防具:なし
やせっぽちのオーク
技術点5 体力点4 ダガー: 1 1 2 2 2 2 3 レザー・キィラス: 0 0 0 0 1 1 2
・二体のオークはあまり仲がよくありません。1ダメージでも傷を負うと、あとじさりします。残ったオークは「おまえ、ちゃんと、たたかえ」と怒鳴ります。そのオークも傷を負うと、あとじさりし、退いていたオークがかわりに戦います。どちらかのオークが倒れると、残ったオークは逃げ出します。それを見て、他の二体も逃げ始めます。
■ノーズプラグ
・オークのリーダーは、逃げようとすると足をひきずって、早く走れません。先に逃げてゆくオークに「俺を見捨てるのか、ハニーフェイス」と叫びますが「おまえ、うそつき、くずやろう、いらない、やられてしまえ」と唾を吐き捨てるように言われ、置き捨てられます。
・リーダーには、すぐに追いつくことができます。顔をよく見ると、醜い顔がオークに本当に似ていますが、人間です。名前のとおり、鼻栓をしています(鼻栓をはずすと、とめどなく緑色の鼻水が垂れてきてしまいます)。捕まえようとすると、降伏します。「おれは、火吹き山の残忍な魔法使いから逃げてきたんだ、腹が減っていて馬を食おうとしただけだ、見逃してくれ!」と叫びます。
・他のオークはそのままノーズプラグを置いて逃げます。追いかけて捕まえるのはなかなか困難です。GMは適切な判定を行ってください。
・ノーズプラグに次のような要求ができます
1)金品を出せ→20Gと50G相当の指輪を持っています。指輪は取り上げられないように隠そうとします。この指輪は金が使われていますが、魔法的な要素はありません。しかし彼は仲間のオークには逆らう者を罰する魔法の指輪だと信じさせていました。他にダガーを持っています。
2)火吹き山について話せ→彼には火吹き山への忠誠心はもうありません。残忍な魔法使いザゴールが支配している、おちこぼれのオークはサンドウォームの餌にされることもあるので、逃げてきた、下っ端なので詳しいことは知らない、などと語ります。あるいは火吹き山の魔法使いのシナリオを参照し、ヒントを与えてもいいでしょう。
3)お前はだれた→幼いころから下水で育ち、つかまってブラックサンドの労働奴隷になったが、さらにザゴールに売られた。そのとき、オークにまぎれてしまい、そのままオークと過ごすようになった、と語ります。これに関しては事実を語っているのみであり、お涙ちょうだい、という感じではありません。
・ノーズプラグをそのまま見送ることもできます。
・ノーズプラグを許し、自分に従うように命じることもできます。食事を与えていれば付き従い、命令に従順に応じますが、戦うことはできません(足が悪いので戦えないと訴えます)。人間扱いしてきちんと報酬を出すなら、その心を動かすこともできるでしょう。
・しかし、どんなに優しく接しても、なにか嫌なことや怖いことがあったとき、1d6を振って1が出れば、逃げようと心に決め、機会があればヒーローの持ち物を盗んで逃げます。その後、一日あたり一回、1d6を振って1の目が出れば戻ってきて謝罪します(良心がとがめたか、次の持ち物を狙っているのかはわかりません……)。
ノーズプラグ 人間 28歳男性
技術点8(足を痛めていて戦闘や運動に関しては-3) 体力点8 運点8 ダガー: 1 1 2 2 2 2 3 レザー・キィラス: 0 0 0 0 1 1 2
技能:開錠2 感知2 手技2 登攀1 罠1 狩猟1 地下の知識1 森の知識1 オーク語1 タレント:生存術
■農夫の感謝
・農夫の名前はロース、娘の名前はシルドといいます。
・農夫は感謝し、荷車で運んでいた荷物の中から、体力のポーション、魔法のポーションを必要なだけ提供します。そして村まで行って新しい馬を連れてくるまで、ここで荷車の番をしてくれないか、そうしたら報酬を払える、と伝えます。そして娘を連れて立ち去ります。
・断ることもできます。その場合でも農夫は丁寧に感謝を告げ、手持ちの10GPを渡し、ホッグキープの村に来たら、ぜひ立ち寄ってほしいと告げます。
■もうひとつの戦い
・荷物番をする場合、夜中に襲撃を受けます。ノーズプラグがいる場合、「ハニーフェイスが来る!」と警告の声を発します。感知の判定に成功すれば、闇の向こうから、特徴的な興奮した舌なめずりの音が聞こえます。これがあだなの由来です。あまりに顔をなめるので、顔にはちみつでも塗ってあるのか、とノーズプラグがからかったためです。ハニーフェイスが襲ってくるまで、5ターンの時間があります。
・ノーズプラグがいない場合、判定に成功した場合は3ターンの時間があります。失敗した場合は突然の襲撃になります。さらに不意打ちの対抗判定をしてください。ハニーフェイスの忍び足は2d6+7になります。ヒーローは感知で判定します。これに失敗した場合はハニーフェイスの不意打ち成立となります。
ハニーフェイス
P126 オークのデータ参照のこと
・積み荷には体力のポーションが36本、魔法のポーションが12本積んでありました。必要であればこれを使うことができます。
・荷物は他に、食料、酒、衣類、種、ナイフといった、村の生活で必要とされる物品が積まれています。すべてで500~800金貨ほどの価値があります。これをあまりたくさん使ったり、まして横領してしまうと、農夫との関係は緊張したものとなります(農夫はその場ではなにも言いませんが、村に招き、歓待する酒に眠り薬を入れて捕縛し、罰しようとするでしょう)。
・まる一日後に、農夫は二人の村人と一緒に現れます。報酬に50GP、あるいはヒーローへの感謝と信頼がより高まっている場合は100GPを渡し、村に帰ります。
■経験点
・この冒険を成功させた場合は30点、失敗したときは15点の経験値を獲得します。おつかれさまでした!