パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳が出す運動の指令がうまく伝わらず、スムーズに動けなくなる病気です。何か難しそうな病名ですが、これは、1817年、ジェームズ・パーキンソン医師が初めて報告したため、それにちなんでつけられた名前です。パーキンソン病は50~60歳代で発症することが多く、ゆっくりと進行します。日本人の約1000人に1人がこの病気にかかると考えられています。高齢者に多い病気ですが、若い人でも発症することがあります。
※青字で書いているところが、リニューアルにともない更新したところです。
※パーキンソン病については、調べれば調べるほど、いろいろな情報がでてきます。ひとりひとり症状も違いますので、ここにはおおまかなことしか掲載しません。詳しくは主治医にご相談ください。
★パーキンソン病のおきるしくみ
パーキンソン病は、脳が出す運動の指令が筋肉にうまく伝わらず、なめらかな動作ができなくなる病気です。これは、脳の黒質という部分の神経細胞が減ってしまうのが原因です。この神経細胞は「ドパミン」という神経伝達物質を作り、「ドパミン」を使って体を動かす機能を調節する働きをしています。黒質の神経細胞が減るとドパミンも減ってしまうために運動の情報が伝わらず様々な症状が出てきます。脳の神経細胞は、一般に年をとると自然に減っていきます。が、パーキンソン病では、黒質の細胞が普通の人よりもはやく減少してしまいます。ドパミン細胞が急激に減っていくのは、まだ完全にわかっていませんが、パーキンソン病の発症にはドパミン細胞の中でαシヌクレインというたんぱく質が凝集することに関係していると考えられています。原因となる特別な理由はありません。また、稀に家族性に発症し、その遺伝子が特定される場合もありますが患者さんのほとんどは孤発性であり遺伝性を示しません。
下記は静岡県の支部の会員であり芸術家の渡邊新一郎さんのデザイン『パーキンソン病の症状20』
パーキンソン病の症状は実に様々、人により違います。それをピクトグラムを使い最適に表現されていると思います。
※渡辺さんより許可を得て、掲載しています。許可なく転載しないでください。
★パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状は様々であり、患者100人いるとしたら100通りの症状があると言われています。その中でも主にあげられる運動症状は以下の4つです。いずれの症状も、症状の強さに左右で差があるのが大きな特徴です。
① 手足が震える (振戦) : 安静時に手足が小刻みに震えます。動いたり、何かしようとするときには、震えが止まることが多いのが特徴です。
② 筋肉がこわばる (筋固縮) :筋肉がこわばり、身体がスムーズに動かなくなります。
③ 動きが鈍くなる (無動、寡動) : 素早い動作ができなくなります。動きが小さくなり、歩いている時もほとんど手を振らなくなります。一度にいくつもの動作をしようとすると、さらに動きが鈍くなります。
④ 身体のバランスがとりにくくなる (姿勢反射障害) : 立っているとき、軽く押されるとバランスを崩したり、転んでしまう(これは進行すると出てくる症状です。)
●今までは上記がパーキンソン病の4大症状と言われ、診断の基準となっていましたが、以下の症状も加わり、重要な考慮点となっています。
【2023年 研究により新しく見つかったパーキンソン病の症状】
1.嗅覚障害 2.睡眠障害 3.腸内環境の変化 4・言語障害
(参考文献:ネットサイト【公式】仕組みがわかれば答えがわかる)
~パーキンソン病のそのほかの症状~
◆歩行障害 【 前かがみの姿勢で小刻みにすり足で歩く、歩き出しの一歩が踏み出せない(すくみ足)、歩いているとだんだんスピードが速まる(加速歩行)など 】
◆姿勢の異常 【 腰が曲がる、ななめに傾いてしまう、首がさがる など
◆無表情 【 まばたきが減る、表情がなくなる(仮面様顔貌)など 】
◆嚥下障害 【 食べ物が飲み込みにくくなる 】
◆字の変化 【 字が小さくなる、ふるえる、字を書いているうちにだんだん小さくなる 】
◆自律神経の異常 【 便秘、起立性低血圧、排尿障害 】
◆精神・認知の異常 【 うつ状態(不眠、何をしても楽しくない)、認知症 】
◆感覚の異常 【 幻覚、妄想、痛み、しびれ、嗅覚の低下 】
◆睡眠障害 【 中途覚醒、朝起きたときの筋肉の痛みやこわばり など 】
【2023年の研究によるパーキンソン病の原因】
1.神経炎症が引き起こす免疫細胞の活性化が、原因のひとつになる可能性がある
2.腸内細菌の変化が神経伝達物質の生成に影響を与え、パーキンソン病の進行を促進することが示唆。
3.運動神経細胞のミトコンドリアが損傷することで、細胞死が引き起こされ、発症
4.タンパク質の異常。脳内の神経細胞に蓄積し、神経細胞の死を引き起こす。
☆現在のところ、パーキンソン病の原因は完全に解明されていないが、遺伝子、環境因子、神経細胞の脆弱性が関与しているとされています。また、最近の研究では、細胞内タンパク質の異常が病気の発症や進行に関与している可能性があるといわれています。
(参考文献:ネットサイト【公式】仕組みがわかれば答えがわかる)
★パーキンソン病の診断
〇受診科は神経内科になります。
問診 → 画像診断 (CTやMRIなど) → 異常なし → 臨床検査 (尿検査、血液検査) → 異常なし → 薬剤反応検査 (L-ドパ製剤を服用し、効果を確認) → はっきりとした効果がでない → MIBG(心筋シンチグラフイー)検査、ドパミントランスポーターイメージング検査など → 異常あり → パーキンソン病と診断
※MIBGとは、心臓の交感神経の状態を診る検査。ノルアドレナリンとよく似た物質を含む検査薬を服用した時に、この薬剤が心臓に集まる程度を画像で評価する。パーキンソン病では、この薬剤が心臓に集まらないことを利用して診断の参考にする。
※ドパミントランスポーター(DAT)イメージング検査とは、脳で信号のやりとりをしているドーパミンの再利用を促すたんぱく質(DAT)の働きを可視化することでパーキンソン病やレビー小体型認知症などを鑑別する。
★パーキンソン病の治療
治療には薬物療法と外科療法がありますが、基本は薬物療法です。現在はよく効く薬があるので、適切な治療を行えば症状を改善させ、進行をくい止める事ができます。治療薬は担当医が患者さんの様子を病状に合わせて変更します。薬の量や種類が増えたからと言って心配することはありません。治療がうまくいく様に、困りごとなど主治医とよく相談してください薬で症状のコントロールが困難な場合や、副作用のため必要な量を飲むことができない場合には、手術を行うことがあります。主治医の先生とよく話し合いをしましょう。このほか、食事療法や生活療法などのリハビリテーションを併せて行うことも重要です。
※外科療法
◇脳深部刺激療法(DBS) : 脳に電極を埋め込んで、電気刺激することにより、バランスの崩れた神経回路を取り戻し、症状を改善する。
《北海道内DBSの相談、実施できる病院》
・旭川医科大学病院(旭川) ・社会医療法人 医仁会 中村記念病院(札幌) ・社会医療法人 北斗 北斗病院(帯広) ・北海道大学病院(札幌) ・札幌医科大学付属病院(札幌)
◇経腸療法(デュオドーパ) : L-ドーパ製剤を専用のポンプとチューブを用いて、薬の吸収部位である小腸に直接送り続ける治療法。
《北海道内経腸療法の相談、実施できる病院》
・独立行政法人国立病院機構旭川医療センター(旭川) ・旭川赤十字病院(旭川) ・JA北海道厚生連帯広厚生病院(帯広) ・札幌医科大学付属病院(札幌) ・さっぽろ神経内科病院(札幌) ・北祐会札幌パーキンソン病MS神経内科クリニック 相談のみ(札幌)・市立札幌病院(札幌) ・伊達赤十字病院(伊達) ・市立函館病院(函館) ・北斗病院(帯広) ・医療法人北祐会北海道脳神経内科病院(札幌) ・独立行政法人 国立病院機構北海道医療センター(札幌)
・北海道大学病院(札幌) ・むろらん神経内科クリニック 相談のみ(室蘭)
◇集束超音波治療(FUS)とは、パーキンソン病による手のふるえでお困りの方を対象に、頭を切開することなく、MRI画像を用いて脳深部にある振戦の神経活動が異常な部分に、超音波のエネルギーを集中させて照射し、熱凝固することで、ふるえを軽減させる治療方法です。
《北海道内のFUS相談、実施できる病院》
・北海道医療法人北斗 北斗病院(帯広) ・社会医療法人柏葉会 柏葉脳神経外科病院(帯広) ・社会医療法人幸仁会 大野記念病院(札幌)
★外科的療法も今では選択肢のひとつとして選ぶ方が多くなってきています。ただ、かかりつけ医ではないかぎり、手術を実施している病院では、主治医の紹介状が必要と思われます。ご自分の病状、将来の事などを主治医や家族と十分に相談して慎重に考えてください。
♦パーキンソン病に対する免疫療法の可能性 : α‐シヌクレインというタンパク質が神経細胞の損傷と死を引き起こすことが知られています。このたんぱく質に対する免疫療法が、治療に有効であることが報告されています。しかし、まだ臨床試験に至っていないため、今後の研究が期待されています。
☆最適な治療法は個人差があるため、専門医と相談することが重要です。
(参考文献:ネットサイト【公式】仕組みがわかれば答えがわかる
※長期間薬を飲み続けた時の副作用
◇幻覚 ◇むくみ ◇依存症 ◇ウェアリング・オフ現象(L-ドパの効いている時間が短くなる現象) ◇オン・オフ現象(薬の効果が突然なくなり動けなくなってしまったり、効果が突然あらわれて動けるようになる現象) ◇ジスキネジア(薬が効きすぎて手足が勝手に動いてしまう現象)
★オン・オフと言っても一般の方には伝わらないことが今の現状です。薬をきちんと服用しているのにも関わらず、突然、薬が効かなくなる時間がオフです。動作が遅くなったり、全く動けなくなる人もいます。反対に効いている時間をオンといいます。オフで動けなかった人が嘘のように何事もなかったように動くことができます。この現象はまだまだ理解されていません。私たち患者はこの症状を世間に広めたいと思っています。
【2023年最新情報】最近の研究で見つかったパーキンソン病の症状 | 【公式】病気の仕組みの解説と悩みを解決するサイト (sikumi.info)