■検証すること
大殿は、良秀の娘をいれたまま車を焼き焚死させる場面を良秀に見せた。その結果として、良秀は地獄変の屏風絵に何を描いたのか?作品の中でどのように説明されているか?
■作品は何といっているのか?
良秀が描いた地獄変の絵の説明は六節にあります。焼かれた車について以下に抜粋します:
【検証02】で良秀が描こうとしていた女性の整理をしましたが、描かれたものではどうなったのかを右矢印の先に示します。
上記の通り、良秀が構想していた方向性と変わらない絵を描いています。炎の中にいる女性であって女性自身が燃えているとは書かれていない。
■結論
良秀は女性の焚死を描いていない。良秀が描いたのは、焼ける車の炎の中で女性が悶え苦しむ姿。
■さらなる考察:大殿が見たかったもの
良秀は当初の構想通り描いていますが、大殿はより過激なものを求めていた。十七節より車を焼く直前の大殿の発言を以下に引用します:
この発言の中で良秀が描いた絵との相違点を以下にあげます:
これは、良秀が描いた女性とはまるで異なる。良秀と異なり大殿は、よりグロテスクなものを見たいと望んでいた。