(注)施設には、廃炉決定されたものや建設中(中断)を含んでいるため、多少大げさになっています。
傾向として日本全国にまんべんなく散らばって建設されていますが、若狭湾に集中しているのがよく分かります。
50km範囲内は福島第一の事故でホットスポットができた点が含まれる距離範囲であるので、注意が必要です。
福島事故時に比較的放射線量が高かった福島市がだいたいこの範囲です。
この範囲だと、日本の大部分の領土が含まれてしまいます。ただ、事故時の放射性物質の放出は風向き、風の強さも影響するので、事故時にこの範囲すべてが放射能が高くなるわけではないことに注意が必要です。いずれにしても、避難計画が非常に重要であることはこの図からも分かるし、大阪近辺の人々が飲料水の大きな水源である琵琶湖が汚染されるのを恐れるのがよく分かります。他人事ではありません。
万が一とはいえ、避難計画が重要であることがよく分かりますが、そもそも避難計画が必要な技術はゴメンと思う人も多いのではないでしょうか。
原子力発電では、ご存知のように、使用済燃料や放射性廃棄物の処理・処分法が確定されていません。
核分裂でできた質量の小さい物質は数百年、中性子を吸収して質量の大きいアクチノイド核種は数万年以上、安定化(放射線レベルが十分低くなる)のに時間がかかります。例え、人の生活圏から遠く離れた場所に保管しようとも管理という作業は必要になりますし、何かあったときの対応が必要になります。
また、放射線が照射されることでできるゴミも課題です。放射線、特に中性子を照射されることで放射化しやすい物質は多く、原子炉で使用された材料もまた人の生活圏から離れた場所で保管する必要があります。
このため、これらのゴミは後世の子孫に大きな負の遺産となります。もうすでに存在するので、再稼働の有無にかかわらず存在する大きな課題です。
また、核兵器保有国による環境汚染が過去にあり、今もどこかで続けられているかもしれません。
エネルギーが安価であるということは、国の強さの基でもあり、多くの人々が平等にエネルギーを利用できるチャンスが広がるのは確かだと思います。
しかし、エネルギーの利用は、原子力だけでなく、再生可能かどうかに関わらず環境汚染・破壊、地球温暖化という問題を引き起こします。
これは、太陽光パネルによる発電も例外ではありません。太陽光パネルの製造、廃棄、機材のメンテナンス・交換、太陽光パネルの設置による環境破壊があります。再生可能エネルギーだからといって、消費量が多くても、今のままでもいいのだということには問題があると思います。
「もっと、もっとたくさん」、「他の人も使っているし」という考え方を転換して、不必要なエネルギーの利用を控えるべきだと思います。