法人設立の経緯

法人設立の経緯

国立自然史博物館設立活動は、1958年5月に日本学術会議から国に対して出された要望「自然史科学研究センター(仮称)の設立について」[1] に源流があります。以来、国立自然史博物館を実現したいという希望は関係者のあいだで脈々と受け継がれてきました [2] [3] 。さらに半世紀余を経て、2011年3月の東日本大震災を経験したことで、設立活動を再燃させる気運が大きく高まり、2016年5月には私どもが中心となり、日本学術会議から提言「国立自然史博物館設立の必要性」を公表しました [4]。それを受けて、提言の実質化を目指し、設立地としては沖縄が最適であるという結論に至り、2016年10月に「国立沖縄自然史博物館設立準備委員会」を発足いたしました [5]

併行して私どもは、関連シンポジウムの開催 [6]、日本学術会議からの「マスタープラン2014」 [7]、 「マスタープラン2017」 [8]、報告「重要自然史標本としての「自然史財」の選定と登録」[9] の公表などにより、国立自然史博物館設立の必要性についてより一層の周知を図りつつ、沖縄県との接触を進めてまいりました。

沖縄県では独自に「沖縄まるごと博物館」構想が温められていたこともあり、提言公表の1ヶ月後の2016年6月には、翁長雄志知事を表敬訪問しての提言の手交が実現しました。これを契機として、2017年5月には、沖縄県のマスタープランといえる10ヶ年計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の中間改定において、「国立自然史博物館の誘致」の文言が新たに加えられました [10]。さらにそれを踏まえて、3ヶ月後の8月の安倍内閣改造に際しては、翁長雄志沖縄県知事から江崎鉄磨沖縄担当大臣への「要望書」中に「沖縄県に国立自然史博物館を設立すること」が初めて盛り込まれることになりました [11]

こうした進展をふまえて設立活動の母体をより確かで強固なものにするために、私どもは2017年9月に「一般社団法人国立沖縄自然史博物館設立準備委員会」を設立いたしました。まずは、沖縄県と連携して、国立沖縄自然史博物館の設立が国の事業として立案されることを目指しています。そしてその先に、国立沖縄自然史博物館の実現を見据えています。この国立沖縄自然史博物館の設立には、多くの方々からのご理解とご援助が不可欠です。実現に向けて、皆様からのご支援をお願い申し上げます。

(代表理事 岸本健雄)

(*)本稿作成(2017年12月末)以降の設立活動については「活動報告」を参照下さい。