真偽疑問文の基本形式は次の三つである(岡崎正継 1996)。
- 助詞「や」を文中に用いる
- 源・浮舟]「道定の朝臣は、なほ仲信が家にや通ふ」「さなん侍る」と申す。
- 助詞「や」を文末に用いる
- 今昔1-11]仏ののたまはく、「汝は高堅樹の実を見たりや」と。外道のいはく、「見たり」と。
- 助詞「か」を文末に用いる
- 今昔19-37]内供、翁の口を動かすを、「念仏するか」と問へば、翁、「さなり。念仏を申し候ふなり」と答ふ。
- 今昔9-44]問ひていはく、「君は眉間尺といふ人か」と。答へていはく、「我、しかなり」と。
- 源・末摘花]「内裏(うち)よりか」とのたまへば、「しか。まかで侍るままなり」
2の形式は、主として二人称主語に用い直上の語句の真偽を問う場合に用いられる。1と3は文全体の判定を求める場合に用いられ、1は文の表す事態が存在するか否かを問う場合に、3は断定文の真偽を問う場合に用いられる。