禁止には,三種類がある。
全て同じ意味[1][3]とする説と,na-動詞連用形よりもna-動詞連用形-söが優しい意味であるとする説がある。[2]
時代別では,哀願や懇請をいくぶん込めた意味であるとする。
※日本国語大辞典と広辞苑では,カサ変の未然形を古い命令形としている。※禁止法のナと主動詞(=述語動詞)の間には,mö(係助詞)すら入ることがない。(Whitman, 2010《否定構造と歴史的変化―主要部と極性表現を中心に―》》(時代別国語大辞典「マナ」にも同様の記述)
強い禁止・制止を表す「決して~するな」。漢文の「勿」や「莫」は文頭に置かれる定めなので,漢文訓読の際に独立の用法を持つマナを用いたのであろう。マナ~スルコトと言うよみかたもあったという。なお,マナの確実な用例は上代には見えず,その現れる点本も平安中期から末期のものが多い。(時代別を要約)
と時代別にはあり,他でも同様の説明がなされる。[4][5]
多くの辞典で強い禁止を示すとされる。[6]
ク活用の形容詞ナシの語幹と,動詞スの古い命令形söで動詞を挟んでいるとする説もある。(時代別)
註
[1]全て同じ意味で,哀願や懇請を幾分込めた禁止を表す。「~しないでください」「~しないでおくれ」(時代別)
[2]na-動詞連用形は禁止の意「~するな」で,na-動詞連用形-söは禁止の意を優しく表す。(岩波古語)
[3]禁止または制止する意を表す。「~するな」「だめだ」(旺文社全訳)
[4]漢文訓読体に用いられた。(岩波古語)
[5]禁止を表わす漢文訓読語。和文脈では単独で「いけない」「よせ」などと制止する語として用いられる。(精選版日国)
[6]禁止を表す(時代別),na-動詞連用形のものと起源的に同一。漢文訓読、また男子の上位の者が下位の者に対して用いられた。(岩波古語),強い禁止を表す(旺文社全訳)