No.7 布屋ビル

北西部からの外観  ©2022.8.7 wakamatsu

所在地 :大分県大分市中央町3-6-29

竣⼯年 :1971年(昭和46年)3月

敷地面積:414.15㎡

構造規模:鉄筋コンクリート造 地上4階建 延床⾯積996.94㎡

設計者 :河野浩建築事務所

施⼯者 :建築本体工事 株式会社佐伯建設

<増築部分>

構造規模:鉄筋コンクリート造 地上階建 延床⾯積87.76

設計者・施工者:株式会社佐伯建設

南側入口 ©2022.8.7 ichinose

<建物概要>

竹町商店街アーケード沿いに建つ店舗兼住宅の複合ビルである。

南西側の上部がアール型となっている入口の先には、真っすぐに続く通路がある。途中クランクしているが、その先は通り抜けが可能で、北側のカトリック教会側通りへ通じているなお、本来の正面入口は北側であることはあまり知られていない

現オーナーは(有)布屋の河野氏。そのお父様が、建築士の河野浩氏に店舗兼住宅の設計を依頼した。

半世紀の間、様々な店舗が入れ替わる中、その都度補修や改修を行い大切に管理をされている。内部や屋上には防水や部分塗装などこまめな修繕の跡が見れられた。

北側 カトリック教会側通り側の入口 ©2022.8.7 tashiro

布屋ビルの由来は、先代の荒物屋が「布屋」であり、屋号を引き継いだため。半円形のテントには「SINCE1971」とある。改修の際、元のテントを外しリユースされたテントに、オーナーのお父様が書いた文字と年号を貼り付けた経緯がある。

北側に隣接している建物 ©2022.8.7 tashiro

布屋ビルの北側に位置する店舗兼住宅。鉄筋コンクリート2階建ての建物。布屋ビルよりも歴史は古い。窓枠が木製である。

南側商店街側入口にある案内板 ©2022.8.7 nakahara

1階・2階が店舗、3階・4階が住居 近年は老舗と呼ばれる店舗が閉店し惜しまれる声もある一方で、入店希望の声も多い。 

1階南北通路部 ©2022.8.7 ihaya

ギャラリーや期間限定の店舗などが入っている。アーティストの個展やリサイクルマーケットなど幅広く利用されている。通路の照明は季節によって変えている。 

階段部手すり ©2022.8.7 wakamatsu

階段部ガラスブロック ©2022.8.7 wakamatsu

階段部 ©2022.8.7 nakahara

2階店舗部分 ©2022.8.7 wakamatsu

通路ニッチ(電気ボックス跡?)を利用して店舗の小物がディスプレイされている                   

2階店舗内部階段 ©2022.8.7 wakamatsu

店舗用の内部階段部。レトロなクッションフロア。

内部階段 ©2022.8.7 ihaya

内部階段側面 ©2022.8.7nakahara

店舗外部照明 ©iwamitsu

照明©iwamitsu

南側増築部入口 ©2022.8.7 wakamatsu

ビル本体の竹町商店街側(南側)には増築建物があり、1階に飲食店、2階に喫茶店が入っている。以前お父様の竹細工ギャラリーがあった。喫茶店の入口は隠れ家的な雰囲気を醸している。

南東部(増築部横)からの外観 ©2022.8.7 nakahara

増築部は1階、2階、PH(ペントハウス)となっている。よく見ると本体ビルとの境界が見える。

屋上から見る景色 ©2022.8.7 wakamatsu

右手には商店街アーケードの屋根部分が見える。周りの建物は同じ高さの建物と高架水槽が目立つ。

屋上から見る景色 ©2022.8.7 wakamatsu

天窓が2ヶ所あり、キッチンなど居室に繋がっている。日差しが強くなったため、現在は白く塗られて閉鎖しているが、当時は明かり取りの役目をしていたようである。

北側入口周辺スペース ©2022.8.7 wakamatsu

3階の階段室北側先端にはアールの金属製手すりが設けられ、設計当時からのデザインが残る。屋上の天窓、外壁の小口平タイル貼りなど細部からこだわりを感じる。

築50年以上経った今でも店舗入居希望が多く、1階の期間限定店には人が多く集まるようだ。

オーナーは設計時の図面を大切に保存しており、おかげで建物概要をすぐに把握することができた。今後も維持をしていきながら、大事に管理していきたいと話していたのが印象的だ。

これからも多くの人が集まる場所として、また新しい息吹を吹き込みながら、布屋ビルはオーナーの思いと共にあり続けるだろう。


本記事は、布屋ビルオーナー様のご厚意により見学させていただいた成果を記録したものです。(⾒学⽇:2022年8⽉7⽇)

text : wakamatsu