大学院生(博士課程)募集

脳・神経科学は、わかっていないことがまだまだ多い、将来性のある、大変魅力的な学問分野です。例えば、我々が主な研究対象とする意欲や意思決定、情動、記憶などを支える脳・神経メカニズムは、未だその多くが謎に包まれています。10年前に書かれた教科書と、最先端の知見を比較すれば、その差は歴然としています。これから10年も、同様に、あるいはもっと早いスピードで、理解が進むでしょう。

脳・神経科学は、多様な学問バックグランドを持つ研究者が、それぞれの先鋭的な知恵をうまく融合することで、比較的容易に、従来の常識を変えることができます。脳機能の理解の常識が変われば、精神疾患病態の理解、ひいてはその診断治療の常識が変わるでしょう。また、より良い人工知能の開発などにもつながるでしょう。すなわち、社会に与えるインパクトも大きいでしょう。我々はそういう「常識を変える」「面白い」研究を目指します。よって、当研究室に参加されるために、医学、情報学、心理学、生命科学、工学などバックグランドや事前知識は問いませんが、「個人の特徴を活かして新しい脳・神経科学を開拓する熱意」を期待します。

これから特に注目しているのは、脳を構成する生物実体の研究と、情報科学・計算科学を、双方向性に融合する研究です。例えば、目的志向性行動を説明しうる強化学習などの理論と、実際に計測する動物の行動や神経活動を照らし合わせます。その結果、データ駆動的に、生物学的実体の機能的意義を解明し、新しい理論構築に貢献することを目指します。我々の専門は生物学で、先端的な神経活動計測法・操作法と独創的な行動課題を融合する研究を強みとしていますが、さらに、情報計算科学分野の研究者との共同研究(例えば広島大学・本田直樹教授など)を進めています。これからは、心理ストレスなどの病態モデル動物(名古屋市立大学・内田周作准教授と共同)を用いたヒトとの双方向トランスレーション研究や、ヒト精神疾患の脳画像研究(京都大学・大石直也准教授と共同)などにも、共同研究を拡げていきます。

これまで小川は、京都大学の神経科学のセミナー「サロン・ド・脳」(こちら)を立ち上げることで、学部間の垣根を越えた脳・神経科学の研究者の交流の場を提供してきました。これまで培った日本や海外との様々な研究ネットワークを活かし、世界的に独創的な研究を進したいと思っています。

将来の脳・神経科学分野を引っ張る「個性豊かな」人材を育てることができるよう、これから参加する大学院生を、研究室全体でサポートします。

興味のある方は、お気軽にご連絡(下記メール)をください。これまでの小川の研究者としての活動に興味があれば、メッセージを参考にしてください。

なお、博士課程の大学院生には、原則として給与を支給いたします。


連絡先:  小川 正晃 (ogawam at belle.shiga-med.ac.jp , atに@を入れてください)

医学部生(当時)の司さんのポスター発表(左)日本神経科学大会2023@仙台