日本語学習者/使用者の日本語や母語、既習言語、そして個人の能力や経験が正当に扱われ、
一人一人にとって肯定的な経験となる日本語教育の実現を目指しています。
ことばと思考(Language and Thought)の問題に関心を持っています。日本語の文法現象を取り上げながら、既知言語が目標言語の習得に与える影響、そして目標言語の習得が既知言語に与える影響をマルチコンピテンス(Multi-competence)の観点から理解しようとしています。新たな言語を習得する前とした後で、私たちはどのように異なる存在になるのか、テクノロジーが急速に発達する社会における「新しい言語を学ぶ」意味を探っています。
日本語学習者/使用者が、教室の外でどのような学習方法や学習リソースを利用しながら、どのように自身の学習をコントロールしているか、どのように他者と関わりながら(頼り頼られながら)学びを創り出しているかに関心があります。Tandemプロジェクトを行いながら、”If you talk to a man in a language he understands that goes to his head. If you talk to him in his own language that goes to his heart.” (Nelson Mandela)を実感できる場づくりに取り組んでいます。
教室において、どのような目的のもと、どのような方法で教育を実施し、どのように評価するのがよいかに関心があります。自身が担当した授業をフィールドに、授業中の録音データを使用したり、インタビューデータを使用したりしながら、学習者の変容を探っています。最近は、受講生が協力して教室外のコミュニティに働きかける授業実践に取り組んでいます。今後は、さまざまな言語が共存する教室の在り方や教師の役割を探求していきたいと思っています。
日本語学習者/使用者が、社会生活を営む中で日本語をどのように使用し、どのような経験が生まれていて、どのような困難点を抱えているのかに関心があります。特に、教室には現れない、通いたくても通えない日本語学習者/使用者の声に関心を持っています。これまで、日本語と自己認識の関係について、ライフストーリーインタビューなどを通して探ってきました。今後は、日本語を含む多言語話者のストーリーにも耳を傾けていきたいと考えています。