大学で働いていて、学生さんに「何かおすすめの本はありますか?」と聞かれることがあります。日本語の先生になりたい人から聞かれることもあれば、そうではない人から聞かれることもあります。専門書ももちろん大切ですが、私が思い浮かべるのは、もっと広い意味で「人」や「ことば」「学び」「社会」について考えるきっかけをくれた本たちです。
このページでは、私がこれまでに出会えてよかったと思える本を、新書や文庫を中心に20冊挙げました(著者名の50音順、随時更新予定)。あくまでも私の個人的な関心や経験に基づいた選書ですので、必ずしも「おすすめ」というわけではありません。
日本語教育の現場を支えるのは、知識だけではなく、考え続ける力、他者の痛みを受けとめ(ようとす)る感受性、そして足元を見ながらも、世界を少しずつでも良くしていきたいと願う心を持って実際に行動する姿勢だと思っています。本は、比較的安価な値段でさまざまな方々の経験や思考に触れ、多くの刺激や疑似体験を得ることができるので、とてもありがたい存在です。なお、ここで挙げた本以外にも、日常的に読んだ本はブクログで記録していますので、もしご興味があればそちらも覗いてみてください。
石黒浩(2015)『アンドロイドは人間になれるか』文春新書
今井むつみ(2016)『学びとは何か-<探求人になるために>』岩波新書
上間陽子(2020)『海をあげる』筑摩書房
大木隆生(2016)『医療再生-日本とアメリカの現場から』集英社新書
岡田美智男(2017)『<弱いロボット>の思考 わたし・身体・コミュニケーション』講談社現代新書
岡英男(2016)『おまえがガンバれよーモンゴル最高裁での法整備支援2045日-』司法協会
北川智子(2013)『世界基準で夢をかなえる私の勉強法』幻冬舎
佐藤美由紀(2015)『世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉』双葉社
高野秀行(2022)『語学の天才まで1億光年』集英社インターナショナル
多和田葉子(2012)『エクソフォニー:母語の外へ出る旅』岩波現代文庫
當作靖彦(2013)『NIPPON3.0の処方箋』講談社
永田和宏(2018)『知の体力』新潮新書
中原淳(2022)『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』PHPビジネス新書
莫邦富(2014)『この日本、愛すればこそ-新華僑40年の履歴書』岩波現代文庫
平田オリザ(2012)『わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か』講談社現代新書
八亀裕美・工藤真由美(2008)『複数の日本語-方言からはじめる日本語学』講談社
山本冴里(編)(2022)『複数の言語で生きて、死ぬ』くろしお出版
與那覇潤(2018)『日本人はなぜ存在するのか』集英社文庫
米原万里(2004)『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』角川文庫
リサ ゴウ・鄭暎惠(1999)『私という旅-ジェンダーとレイシズムを超えて』青土社