2025年1月現在の情報です。最新情報は各自お確かめください。
AP(Advanced Placement)は、1955年に設立されたアメリカ発の早期履修プログラムです。SATで知られる非営利団体College Boardによって運営されています。高校生が大学初級レベルのカリキュラムを履修し、試験を通じて学力を示すことができます。IB同様、学習への高い意欲を示す高校生を対象とした高度な教育プログラムとして世界的に認知されており、2024年現在、40コースが設置されています。
日本語のコースは2007年より設置・実施されています。AP Japanese Language and Cultureという、日本語学習者のためのコースとなり、日本語を300時間程度学んでいることが推奨されています。このコースは、言語スキルだけでなく、日本文化の理解も深めることを目的としています。高校で3年間日本語を受講し、4年目にAPを取るというのが一般的ですが、日本語の能力がすでにある生徒の場合は、高校で日本語のコースを履修せず、APのみを取得するということも可能です。今回は、このAP Japanese Language and Cultureに関してご紹介いたします。
AP試験で所定の成績を収めると、大学入学時に有利になります。大学によっては単位認定や1年次の授業免除が受けられます。また、IBと異なり12年生で履修する必要がないため、準備が整えばそれ以前に受験することも可能です。言い換えると、現地の高校でAPの授業を受けていなくても、つまり補習校や継承日本語学校で学習、または独学でも日本語を300時間程度学んでいれば受験資格があることになります。また、試験を受けられる学校があれば、自分の高校でAPのコースを受講していなくても受験が可能です。カナダでもブリティッシュコロンビア大学やトロント大学はじめ、ほとんどの大学でAPの単位認定を行っているようですが、各自ご確認ください。
高校でAPクラスが提供されている場合、そのクラスを受講して試験を受けます。クラスがない場合、独学で他校の試験に申し込むことも可能です。ただし、他校の生徒の受験を認めている高校は限られていますので、事前に受験できる高校を見つけておく必要があります。
BC州ではバンクーバーのジョナサン・アカデミーが受け付けています。(2025年1月現在。詳細は各自ご確認ください。)
他の地域にお住まいの方は、所属する高校のカウンセラーやSchool DistrictのAP担当者などにお問い合わせください。(他校の生徒を受け入れている学校についての情報がありましたら、「日本語で育てよう!」までご一報ください。)
参考:2024-25年の試験料はUS $99です。
IAP試験の成績は1~5のスコアで評価され、5が最高点です。通常、3以上で大学の単位認定が可能ですが、具体的な基準は大学や学部によります。
以下のサイトで大学ごとの単位認定基準を検索できます。
https://apstudents.collegeboard.org/getting-credit-placement/search-policies
APの試験は5月に行われ、結果は7月に発表されます。
評価は最終試験のみで決定され、試験内容は以下の通りです。
AP JapaneseがIB試験と大きく異なるのは、コンピューターで試験を受けるという点です。そのため、記述問題も手書きではなくタイピングすることになります。また、設問はすべて英語で、セクション1の問題は日本語ですが、選択肢は英語となります。そのため、日本語が母語でカナダに留学している生徒が受験する場合、英語が理解できずに選択問題を間違えてしまうということもあるようです。
大学に申請する際はIBのようにPredicted Gradeの提示がないため、学校でコースを受けている場合は学校の成績を大学に提出することになります。
また、試験登録時に指定した大学にスコアを直接送付できます(1校は無料、それ以上詳細はサイトでご確認ください)。独学で受験する場合は、多くの大学申請プラットフォーム(例: Common App, Coalition App)でAPスコアを記載する欄があるので、公式スコアの提出とは別に、自己申告としてスコアを書き込むことで、アドミッション担当者に学業の成果をアピールすることもできます。
AP Japanese examの概観(overview)はこちらよりご覧いただけます。
https://apcentral.collegeboard.org/media/pdf/ap-japanese-exam-overview.pdf
過去問題
https://apcentral.collegeboard.org/courses/ap-japanese-language-and-culture/exam/past-exam-questions
リスニングのサンプル
College Board
https://apstudents.collegeboard.org/
AP Japanese Language and Culture コースの概観(Overview)
https://apcentral.collegeboard.org/courses/ap-japanese-language-and-culture
AP Japanese Language and Culture テストについて
https://apstudents.collegeboard.org/courses/ap-japanese-language-and-culture/assessment
AP Japanese Language and Culture, Course and Exam Description, Effective Fall 2024
筆者:
宮本麻里 Japanese Language Teacher, Sentinel Secondary School / West Vancouver Secondary School
(2017年からWest Vancouver School DistrictでIBとAPの日本語を担当。)