アメリカのとある町で、ダディとマミィと一緒に楽しい毎日を送っている明るく活発な少女ルル。友達は気が強い下町っ子の少女アニー、少し太っちょでも気が優しいトビー、お金持ちなのに偉ぶらないウィルバーや喧嘩っ早い小僧のイギーなど、個性あふれる子供たちばかり。愉快で楽しい仲間たちが一緒になって喧々囂々、いろんな騒動を繰り広げる日常コメディー。
原作はアメリカの漫画家マージョリー・ヘンダーソンの作品『リトル・ルル』。1940年代にはアメリカでアニメ化され、日本のリメイク版アニメである本作品でも原作者が暮らした古き良き豊かなアメリカ社会の空気感が伝わってきます。アメリカ版アニメの音楽はクラシックやミュージカル調の映画音楽のような、いわゆるCartoon Musicというようなものでしたが、日本版アニメの音楽を担当した越部信義はスウィング風やファンキーなジャズのエッセンスを全般に取り入れ、単なる劇伴を超えたおしゃれで気の利いた楽しい音楽に仕立てています。
『リトル・ルルとちっちゃい仲間』の主題歌と音楽は、TVアニメ『マッハGoGoGo』『昆虫物語みなしごハッチ』などの音楽で知られる作曲家・越部信義が担当しました。
越部信義(こしべのぶよし)は1933年生まれ。中学生時代にギターをいじっているうちに音楽が好きになり、音楽の道を志します。高校生時代にクラシック音楽の作曲家になろうと決意し、東京藝術大学作曲科に進学。しかし、途中でジャズやラテン音楽に夢中になり、ポピュラー音楽の道へと方向を転じます。在学中に朝日放送の作曲コンクールに1位入賞し、その審査員だった三木鶏郎に誘われて商業音楽の世界に入りました。
以来、「光る東芝」等のCM音楽、NHK『おかあさんといっしょ』の音楽、「おもちゃのチャチャチャ」「はたらくくるま」などの子どもの歌、アニメ音楽、舞台音楽など幅広い分野で活躍しました。1979年に初演された音楽劇『上海バンスキング』は、映画化もされた代表作のひとつです。
アニメ音楽では、『マッハGoGoGo』(1967)、『紅三四郎』(1969)、『昆虫物語みなしごハッチ』(1970)、『樫の木モック』(1972)、『けろっこデメタン』(1973)などのタツノコプロ作品を多く手がけました。1969年にスタートした国民的テレビアニメ『サザエさん』の劇伴音楽を放送開始から担当し、越部が作った曲は彼の没後(2014年逝去)も使用され続けています。ほかにも『ジェッターマルス』(1977)、『太陽の子エステバン』(1982/劇伴のみ)等の音楽を担当。日本アニメーション作品では、本作『リトル・ルルとちっちゃい仲間』(1976)、『あしたへアタック!』(1977)、『へーい!ブンブー』(1985)と3作を手がけています。
越部信義の持ち味は、軽快なリズムと、一度聴いたら口ずさんでしまうようなキャッチーで親しみやすいメロディ。その中にただよう、ほのかなペーソス(哀愁)が、聴く者の心をキュンとさせます。
『リトル・ルルとちっちゃい仲間』は、越部の持ち味が存分に生かされた、面目躍如とも言える作品です。古きよきアメリカの田舎町を舞台にした本作に、越部は50~60年代に流行したジャズやポップスを思わせる、明るくリズミカルで、ちょっぴりペーソスの効いた音楽を提供しました。
特筆すべきは演奏のクオリティの高さ。ビッグバンド風のブラスサウンドや、ドラムス、エレキギター、エレキベース、キーボードなどが生み出す躍動的なリズムは、息の合ったバンドセッションを聴くようです。クラヴィネット(電気式キーボード)が(当時としては)現代的なサウンドを奏で、70年代のジャズやロックの香りをふりまきます。楽器の個性を生かした巧みなアレンジも聴きどころです。
本作は現在、手軽に視聴することが困難な作品になっていますが、「本編を観ていなくても、音楽だけで十分楽しめる」ことが、本作の音楽の最大の魅力と言えるでしょう。
70年代テレビアニメ劇伴の水準の高さを示す、極上のスタジオセッション。生演奏・一発録りならではの生きのよいサウンドをお楽しみください。
本作の音楽(劇伴)は1976年9月14日にアバコ301スタジオで録音されました。NGテイクを除く総曲数は67曲。本音楽集には、その中から比較的長めの曲を中心に43曲を選び、40トラックに構成して収録しました。
本音楽集のベースになったのは、2021年にサウンドトラックラボラトリーから発売された2枚組CD「あしたへアタック!/リトル・ルルとちっちゃい仲間 音楽集」(品番:STLC-043~044)です。そのうちの『リトル・ルルとちっちゃい仲間』のパートを配信用アルバムとして再構成しました。再構成にあたり、CD版から主題歌の歌入り及びカラオケと、劇伴の「ブリッジ・コレクション」及び「エンディング・コレクション」のトラックを割愛し、それ以外の曲順はCD版通りとしました。
先述したように本作は現在、視聴が困難な作品です。そこで本音楽集の構成も、本編を一切参照せず、楽曲から受けるイメージだけを頼りにまとめています。曲タイトルも本編で使用された場面を反映したものではないことをお断りしておきます。
2026年7月31日 配信開始
Release date 07.31.2026
01「ルル登場」は、主題歌アレンジなどの短い曲を、ルルの世界への導入として収録しました。音楽制作時に付番されたMナンバー(整理番号)の1番(M-1)~3番(M-3)にあたる曲です。
02以降は、ルルたちの日常を彩る音楽をほぼMナンバー順に並べ、そのあいだに主題歌アレンジをちりばめる構成としました。
サックスやクラリネット、弱音器を付けたトランペットなどの音色を生かしたユーモラスな曲や、ロックンロール風の曲、威勢のよいマーチ風の曲など、子どもたちの活躍が目に浮かようなサウンドに心が弾みます。04「いたずらの種はつきず」や27「いかした思いつき」では、クラヴィネットの音色が絶妙なスパイスになっています。
06「ルルはちびっ子天使」、18「ルルは今日も」、29「腹ペコルル」、40「すすめ!ルル」の4曲は、いずれもオープニング主題歌のアレンジ曲。それぞれに表情の異なるアレンジの妙をお楽しみください。18「ルルは今日も」でもクラヴィネットの特徴的な音色を聞くことができます。
12「スキップ(ギターver.)」、24「スキップ(口笛ver.)」、35「スキップ(ピアノver.)」の3曲はエンディング主題歌のアレンジ曲。味わいのあるメロディを生かす、シンプルなアレンジが効果的です。「スキップ」の曲名は音楽テープに残された録音時のメモから採りました。
31「ちびっ子レース I」~34「ちびっ子レースの優勝者」の4曲は、第7話「ちびっ子レースの優勝者」のサブタイトルをヒントに曲名を付けました。4曲にはM-36A~DのMナンバーが振られており、同じグループの曲として書かれたことがわかります。
22「ちょっぴり悲しくて」、23「ちびっ子だってつらいよ」、28「帰り道」、38「たそがれのストリート」などは、越部信義らしいペーソスが感じられる曲。遊びの時間が終わり、家へ帰らないといけなくなったときのちょっと寂しい気持ちを思い出します。
エンディング用の短い劇伴を2曲編集したトラック39「またあしたね」に続いて、軽快なオープニング主題歌アレンジ40「すすめ!ルル」をラストの曲にしました。
本音楽集の元になったCD「あしたへアタック!/リトル・ルルとちっちゃい仲間 音楽集」は現在も一部のショップで購入することができます。本作の音楽に興味を持たれたなら、ぜひ、堀江美都子が歌う主題歌やそのカラオケが収録されたCD版も聴いてみてください。
(モノラル・48kHz/24bit)