好奇心旺盛でおしゃまなミツバチの女の子マーヤ。ある日、まだ出会ったことのない驚きや感動を求めて、親友のウィリーとともにミツバチたちの暮らす住み慣れた古城を飛び出して冒険の旅へと向かいます。
原作は世界的な人気を博したドイツの作家ワルデマル・ボンゼルスの児童文学。海外と共同製作を行ったことで、早くから世界の多くの国で日本とほぼ同時期に放送が始まりました。日本ではオリジナルストーリーの続編も作られましたが、欧州でも映画やCGアニメシリーズ、ゲームなど様々な形で今でも人気が続いている作品です。
海外版の「マーヤ」には各国の子供たちに向けて作られたオリジナル主題歌が使われ、劇伴もチェコの作曲家Karel Svoboda作の音楽に差し替えられたため、ここでご紹介している日本の視聴者に馴染み深い音楽たちは使用されませんでした。
みつばちマーヤの冒険音楽集
Mitsubachi Maya no Boken Ongakushu
Text by 腹巻猫(劇伴倶楽部)
本作の音楽を担当したのは大柿隆。1960年代から作曲家・いずみたくが設立したオールスタッフ・プロダクションに所属し、作・編曲家として歌謡曲やレコード用音楽等で活躍しました。いずみたく作曲作品のアレンジを多く手がけ、代表作に「ふれあい」(中村雅俊)、「ひとつの地球に生まれて」(村野武範)、「希望」(ザ・シャデラックス)、「ゲゲゲの鬼太郎」(熊倉一雄)などがあります。
アニメ作品では、『モンシェリCoCo』『みつばちマーヤの冒険』『新みつばちマーヤの冒険』の音楽(劇伴)を担当しました。
『みつばちマーヤの冒険』では、ストリングスを使ったクラシカルな曲からジャズ・ロック的なリズムを持つ軽快な曲まで、多彩な曲調の音楽を提供。歌謡曲的なセンスが感じられるキャッチーなメロディーが魅力です。『みつばちマーヤの冒険』のために作られた楽曲は、『新みつばちマーヤの冒険』でも引き続き使用されました。
主題歌「みつばちマーヤの冒険」「おやすみマーヤ」の2曲は、 シンガーソングライターの伊勢正三が作詞・作曲を手がけ、チータ(水前寺清子)が歌いました。2曲とも水前寺清子の主題歌コレクション・アルバムで聴くことができます。
本作の音楽録音は全2回。第1回は1975年3月11日、NET朝日501スタジオにて、約75曲を収録。第2回は1975年8月15日、NET朝日501スタジオにて、約65曲が収録されました。
音楽集では、その中から劇中で印象深い曲を中心に85曲を選んで構成しました。なお、アーカイブ的観点から未使用曲もいくつか収録しています。
構成にあたっては、『みつばちマーヤの冒険』のストーリーをイメージしつつ、音楽的な流れを意識して組んでみました。
2025年7月1日 配信開始
Release date 07.01.2025
01~13はマーヤの誕生から旅立ちまでをイメージした構成。リコーダーの音色がさわやかな01「さわやかな風」が導入になります。
02「みつばちの国」は第1話で、みつばちの国の情景に流れた曲。03「マーヤの誕生」は第1話のマーヤの誕生シーンに流れた主題歌アレンジの曲です。
06「はらぺこウィリー」と07「どっこいフィリップは、マーヤの旅の仲間となるみつばちの男の子ウィリーとバッタのフィリップの登場シーンによく使われた曲。
13「マーヤの旅立ち」は、マーヤがみつばちの国を旅立つエピソード、第4話「故郷をあとに」のラストシーンで流れました。
14~42は外の世界に出たマーヤの冒険をイメージした構成。旅の途中で出会う昆虫や生き物たちとのさまざまなエピソードを彩った音楽を集めました。
18「葉っぱの下の力持ち」、19「ゆかいな仲間」、22「アリの行進」など、個性的な昆虫の登場場面に流れる曲が楽しいです。マカロニウエスタン的な26「草原の風来坊」は本編未使用曲。33「マーヤのマーチ」、34「進めや進め」、35「意気揚々」は第22話「マーヤの一日隊長」で印象的に使われました。
43「忘れるんじゃないよ」は次回予告に使われた曲。毎回、次回予告の最後でフィリップ(永井一郎)が言うセリフを曲名にしました。
マーヤの冒険はまだまだ続きます。
44「知らない世界へ」は、マーヤが大空を飛ぶシーンに流れた、爽快感のある軽快な曲。
52「マーヤの大作戦」と53「ちいさい体で大活躍」は元気いっぱいのマーヤが勇ましく活躍する場面に流れた曲です。
涼やかで柔かい曲調の56「すてきな花畑」、57「花の舞踏会」、63「雫のきらめき」などが美しい自然を描写します。
65「冬を前に」、66「雪景色」、67「センチメンタル」などは、歌謡曲のアレンジを多く手がけた大柿隆らしいリリカルな曲。
女声コーラスが歌う69「花の妖精」は、花の妖精が登場するファンタジックなエピソード、第30話「マーヤのお願い」で使用されました。
73~78は、スズメバチとみつばちの戦いを描く第51話と第52話で使用された楽曲を中心に構成しました。スズメバチの襲撃とそれを迎え撃つみつばちの奮闘が、危機感あふれる曲や勇ましい曲で描写されます。
76「勇気の槍を手に」は本編未使用曲。77「スズメバチをやっつけろ」はスズメバチとの決戦シーンに流れた本作随一の勇壮な曲です。同じメロディーを持つ78「あらそいのあとで」は『みつばちマーヤの冒険』では未使用でしたが、『新みつばちマーヤの冒険』で使用されました。
79~85はエピローグのイメージで、やさしい曲や軽快な曲をまとめました。
80「美しい心」と84「愛のぬくもり」はラストシーンにたびたび使われたストリングスが美しい曲。82「よろこびの飛翔」は歌詞がついていてもおかしくないようなポップなメロディーの曲です。
締めくくりはエンディング主題歌をアレンジした85「マーヤの夢」。チェレスタやフルートが奏でる3拍子のメロディーがマーヤを夢の世界に誘います。
(モノラル・48kHz/24bit)