■調査期間
■時 間 帯
■調査方法
■参加者数
■調査箇所
2020年7月25日(土)~8月2日(日)
17時~日没の間
任意の地点でツバメが飛んで行った方向を記録する
のべ 118人
奈良県内および京都府木津川市 47地点
■2020年奈良県ツバメルート調査地図
集まったデータを元に、ツバメがどの方向に向かって飛んだかを地図上に示しました。
■まとめ
集まったデータから下記のことが見えてきました。
○移動開始時間はねぐらまでの距離で決まる?
五條市内の地点で、17時54分から59分の間に55羽のツバメが北(平城宮跡方面)に飛び去ったという報告がありました。ツバメは時速40~50kmで飛行すると言われていますので、五條市内から約45km離れた平城宮跡まで単純計算で1時間ほどで移動できるということになります。この日のねぐら入りの時間は五條での観察の約1時間後でした。五條のツバメたちが平城宮跡に向かったと仮定すると、ちょうどねぐら入りの頃に到着したと考えられます。
また、平城宮跡から約22km離れた畝傍山周辺では18時半ごろに数十羽、平城宮跡から約2km離れた唐招提寺周辺では19時過ぎに300羽超のツバメの移動が確認されています。これらのことから、ねぐらからの距離によってツバメが移動を始める時間をある程度予測できそうです。
○仲間を増やしながら移動していく?
47地点のうち9地点でツバメの集団が確認されました。その規模は数十羽から数百羽まで様々です。平城宮付近では1000羽以上の大きな集団になり、旋回する様子も観察されています。集団のツバメは群れで一斉に行動するのではなく、バラバラと個別に移動する様子が観察されています。
平城宮跡に近づくにつれて集団の規模が大きくなっていることから、移動の途中で各地のツバメが集結してねぐらを目指しているのではないかと推測されます。
○平城宮跡への道がある?
観察する地点によってツバメの数にばらつきがあることもわかりました。
観察時間中、途切れることなくツバメが上空を通過する地点の報告があった一方で、営巣も確認され、昼間もツバメが飛んでいる姿を見ているにも関わらず、夕方にはツバメが全く観察されなかった地点もありました。平城宮跡に近い場所であっても、西側の学園前・生駒エリアでは夕方にはツバメの姿があまり観察されていません。今回は、南側から平城宮跡を目指すツバメが多く観察されました。
これは単なる偶然なのか?それとも南側から平城宮跡に向かう決まったルートがあるのか?今後に向けて新たな疑問が生まれました。
○平城宮跡以外のねぐら?
奈良中部からはツバメが森や竹林に入ったという報告がありました。ツバメの声も確認されているので、ねぐらとして使われているのかもしれません。他にも木津川市でねぐら入りの様子が観察されています。県内には平城宮跡以外にも知られていないねぐらがありそうです。