南田原の風景には、目に見える史跡だけでなく、古代から人々の暮らしに寄り添ってきた、素朴で力強い信仰が息づいています。その象徴が、集落の守り神として大切にされてきた「七森(ななもり)信仰」です。
「モリさん」と呼ばれ、親しまれ、そして時に畏れられてきた七つの聖なる森。そこは、疫病などの邪悪なものが集落へ入るのを防ぐ結界であり、人々の安寧を祈る大切な場所でした 。
今回ご紹介するのは、その七森の跡をたどる、約3時間の巡礼の道。開発によって姿を変えた森も多いですが、残された石仏や祠は、この土地の人々が何を大切に守り継いできたのかを、静かに語りかけてくれます。
コース名: モリさんを訪ねて、南田原・七森めぐりコース
所要時間: 約3時間(徒歩)
おすすめの季節: 春・秋
コースのポイント: 南田原独自の民間信仰「七森」の跡を巡り、地域の精神文化の深さに触れることができるのが魅力です 。
【スタート】 お松の宮バス停 生駒駅北口からバスに揺られて約12分。住吉神社(お松の宮)の最寄りバス停から、あなたの信仰探訪の旅が始まります。
↓ 徒歩4分
1. 南所の森さん 最初に訪れるのは、南所垣内にあった森の跡。かつては常緑樹林の中にありましたが、平成5年(1993年)の宅地造成のため、現在の場所に移されました 。静かな住宅街の一角に残された二基の石仏が、ここが聖なる場所であった記憶を今に伝えています。
↓ 徒歩10分
2. 寺前の森さん 岩蔵寺の境内にあるこの森は、庚申講(こうしんこう)という信仰共同体によって祀られてきました 。寺という仏教空間の中に、地域固有の民間信仰が共存している様子は、南田原の信仰の重層性を象徴しています。
↓ 徒歩11分
3. 堂の前の森さん 元は大きな池のほとりにありましたが、国道168号バイパスの建設に伴い、現在の場所へ移されました 。ここには妙見大菩薩の碑と石灯籠が祀られています。人々の暮らしを支える道の開発と、守り継がれる信仰の歴史が交差する場所です。
↓ 徒歩2分
4. 池の谷の天神さん 「天神さん」と呼ばれ、菅原道真公が祀られている立派な祠堂 。元は、お松の宮(住吉神社)で使われていた花台車(山車)を明治37年(1904年)に移してきたものと伝えられています。毎年7月25日には、地域の講の人々によって祭礼が今も行われており、信仰が生き続けていることを感じられます 。
【ご注意ください】 ご案内している4つの森は、一般の方が安全に訪れることができる場所です。地図上に記されている他の森(岡村の森さん、峯の森さん、野所の森さん)は、私有地や分かりにくい場所にあるため、散策の際はご配慮ください 。
【ゴール】 お松の宮バス停 お疲れ様でした。七森のうち四つの森を巡る旅はここで終わりです。ここからバスに乗って、生駒駅へと戻ります。
10:21 生駒駅北口バス停 出発 ↓ (バス約12分) 10:33 【スタート】お松の宮バス停 到着
(散策・昼食 約3時間30分)
南所の森さん (滞在目安: 10分)
寺前の森さん (滞在目安: 15分)
堂の前の森さん (滞在目安: 10分)
池の谷の天神さん (滞在目安: 15分)
(その他、昼食や移動時間を含む)
14:00 【ゴール】お松の宮バス停 出発 ↓ (バス約14分) 14:14 生駒駅北口バス停 到着
※上記はあくまで一例です。一つひとつの「モリさん」が持つ物語に思いを馳せながら、あなただけのペースで信仰の跡をたどる旅を楽しんでください。