皆さんのペットは健康ですか??
急な問いかけでびっくりされたかもしれません。ごめんなさい。
そして、
皆さんはさきほど問いかけに
自信を持って『はい』と答えられますか??
飼い主で人間の皆さんは都道府県やお勤め先から通知が来るため、多くの人が適切なタイミングで健康診断をされていることと思います。
(もし、健康診断をしていなければぜひ行ってくださいね!!)
(やっぱり)メタボだった…
※ メタボリックシンドローム:糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病前段階の状態
(暴飲暴食で)肝臓の数値が悪かった…
大きな病気の初期状態だった…
健康診断でさまざまな現実を目の当たりにし、精密検査や治療を行いつつ、生活習慣を見直し、
今は元気で健康に過ごされている方が皆さんや周りにもいらっしゃるのではないでしょうか?
いっぽう、みなさんと一緒に過ごしている、わんちゃんねこちゃんはいかがでしょうか??
行政等からのお知らせはなく、ペットの健康診断は飼主様の意思に委ねられています。
当院では健康診断を ”アタリマエ” にすべく、診察時の声かけやおハガキで健康診断のお知らせを行っています。
ヒトの健康診断でご承知の通り、ワンちゃんやネコちゃんの健康診断も健康に過ごすために欠かせません。
健康診断は病気の早期発見や予防だけでなく、健康状態の把握、生活習慣の見直しのきっかけになりますので、ぜひ、前向きにご検討ください!
1. 病気の早期発見と治療
動物は本能的に症状を隠す傾向があります。
そのため、症状が出て皆さんが気づいたときには病気がかなり進行していることが少なくありません。
徐々にごはんを食べなくなり、2日前からまったく食べない
→ 腎不全
数年口臭が気になっていたが、ここ数日食べたくても食べられない
→ 歯周病
ここ数ヶ月咳をしていたが急に呼吸が苦しくなった
→ 僧帽弁閉鎖不全症からの肺水腫(心不全)
健康診断を行うことで、気づかず見逃しがちな初期段階で病気を発見し、治療や生活習慣の改善をいち早くはじめることができます。
あくまで一例ですが、健康診断を通じてよく見つかる病気や徴候を挙げます。
飼主様とのおはなし(問診):多飲多尿、咳、嘔吐回数の増加
身体検査:肥満や削痩(体重減少)、皮膚のできもの
口腔疾患:歯周病、歯が欠けている、口の中のできもの
皮膚や耳の疾患:外耳炎、アレルギー性皮膚炎
眼の疾患:ドライアイ、白内障、緑内障
循環器疾患:僧帽弁閉鎖不全症、肥大型心筋症、高血圧
肝胆膵臓系疾患:肝臓腫瘍、肝機能障害、胆泥症、糖尿病
泌尿器疾患:慢性腎臓病、膀胱結石
その他の疾患:変形性関節炎、甲状腺疾患 など
早く発見することで、無症状に近い状態で苦痛を抑えつつ、治療の選択肢も多い状態で治療を始めることができます。
2. 健康状態の把握
現在の健康状態を正確に知ることは非常に大切です。
健康だと思っていたら実は…
・太りすぎだった(例:肥満)
・肝臓の障害があった(例:門脈-体循環シャント)
・頻尿気味だった(例:尿結晶・前立腺肥大)
・関節が痛かった(例:変形性関節炎)
・おしっこ・うんちが出しにくかった(例:前立腺肥大)
など、一緒に過ごしていると気づけないことは多々あります。
獣医師による専門的で客観的なチェックは健康診断のメリットの1つです。
3. 生活習慣の見直し
健康診断結果をふまえて、生活習慣を見直すことができます。
例えば
・肥満
カロリー計算で最適なご飯量のご提案、いっぱい食べたい子にはダイエット用の療法食に切り替えることで空腹のストレスを減らしつつ肥満解消を目指すことができます。
・無症状の状態で肝障害や尿結晶が発覚
食生活や生活習慣を見直すだけで改善されることもあります。
4.基礎データの蓄積
健康診断を継続的に行うことで、健康な時の基礎データを蓄積することができます。
血液検査項目には基準値と呼ばれる健康な子の95%が当てはまる値がありますが、健康でも基準値から外れるケースがあり、絶対的な指標とは言えません。
例えば
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは血液検査機器で血小板数がうまく測れない場合がある(巨大血小板)
ミニチュア・シュナウザーはトリグリセリド値が高い子がいる(特発性高トリグリセリド血症)
全身検査上異常のない、基準値よりも肝酵素値が高めの子もいる
将来、病気になってしまった際に、過去の健康診断の結果と見比べることで、より正確な診断につながります。
健康診断を行う頻度は、年齢や健康状態によって異なります。
人間の1年が犬や猫にとって約4年分に相当するため、当院では年齢や全身状態に応じた検査項目・頻度を提案しています。
子犬・子猫(1歳以下):6ヶ月に1回
成長が早く、病気の進行も急速であるため、より頻繁なチェックが必要です。ワクチン接種や不妊手術(去勢手術や避妊手術)の適齢期のため、同時に行うことが多いです。
成犬・成猫(1〜6歳):1年に1回
健康な場合でも、毎年1回の健診で生活習慣の見直しや病気の早期発見を心がけましょう。毎年のワクチン接種時に行うのもおすすめです。(当院はワクチン接種の半年後に特別健診のお知らせをお送りしておりますので、そちらの機会でもOKです)
高齢期(7歳以上):3〜6ヶ月に1回
慢性疾患のリスクが高まるため、当院では ①ワクチン接種時 と ②ワクチン接種の約6ヶ月後にお送りする特別健診 の年2回の健康診断をオススメしております。
当然ですが、食欲不振や体重減少、疲れやすい、被毛のつやがなくなったなど、不調がある時は診察にきてくださいね。
あらためて健康診断についてお話しさせていただきました。
病気が進んでつらい状態の子を少しでも減らすのが当院の目標です。
生活習慣の見直しや早期発見を通じて、ワンちゃんネコちゃんが元気で幸せな毎日を送れるようにサポートさせてください。
お読みいただきありがとうございました。