このページではページではねこちゃんの混合ワクチンについてまとめています。
今一度、ワクチンに対する知識を見直してみましょう。
外に出るねこちゃんは他のネコやモノと触れ合うため、どこでどんな感染症にさらされるか把握できません。
（そもそも、飼い猫ネコちゃんを外に出すことを当院は推奨しておりません）
また、体内で持続感染する感染症の存在や、外から帰ってきた飼い主さんと触れ合うため、屋内のみで過ごすねこちゃんも例外ではありません。
感染症にかかるリスクは常にあるのです。
もちろん、生まれてからずっと外に出ずに家の中で過ごすこと、飼主さんも外出を一切せずに、衣類含め全てを消毒し触れ合うこと、他の動物から隔離することで感染症のリスクを下げることは可能です。
しかし、それでもリスクをゼロにすることは難しく、なにより窮屈です。
（そもそも現実的ではありませんね。。。）
ワクチンを接種することで、一定期間特定の感染症に対する免疫を作り、健康を損ない、時には死に至ることもある感染症からねこちゃんを守ることができます。
昨今コロナワクチンで多くの方に知られた通り、ワクチンは副作用や費用などのデメリットも当然あります。（後述します）
ただ、ワクチンの効果と安全性は多くの研究結果で示されており、長生きにつながることは平均寿命の伸びをみても明らかで、メリットがデメリットをはるかに上回っています。
まず、ワクチン接種のメリットを見てみましょう。
感染症の予防
ワクチンは、特定の感染症に対する免疫を体内で作ることで、かかるリスクを大幅に減らします。重症化して多くのねこちゃんを苦しめてきた感染症はワクチン接種によって大幅に減少しました。
重症化を防ぐ
ヒトのコロナウイルス感染症でもご承知のとおり、完全に感染をさけることはできません。ただ、ワクチン接種後に病気にかかった場合でも、症状が軽く済みます。
集団免疫
一定数以上のねこちゃんがワクチンを接種すると、感染症が広がりにくくなります。
同居の子はもちろん、ワクチン接種がこれから・できないねこちゃん（子ねこ、ワクチンを接種できない特定疾患治療中のねこちゃん etc）も感染から間接的に守ることにつながります。
医療費削減
感染や重症化を防ぐことで、治療にかかる医療費や入院費用を減らすことができます。このあと、ワクチンで防げる感染症をお話しいたしますが、どの感染症も治療に時間がかかり、治療費もとてもかかります。
悲しいことですが、最悪の場合亡くなってしまう感染症もあることも強調しておきます。
コアワクチンとノンコアワクチン
コアワクチン（すべての猫に推奨）
猫汎白血球減少症（猫パルボウイルス）
発症すると死亡率が高い
3〜5ヶ月齢の子猫で多い
元気消失、発熱、嘔吐、下痢、重篤な免疫低下を引き起こす。
猫カリシウイルス感染症（FCV）
口内炎や鼻水、くしゃみ、咳
猫ウイルス性鼻気管炎（FHV-1）
くしゃみや鼻水、結膜炎、目ヤニ、倦怠感
ノンコアワクチン（猫の生活環境やリスクに応じて推奨）
いずれの病気も感染源に近づけさせない
（＝外に出さない、外猫との接触を避ける）が大切です！！
猫白血病ウイルス感染症（FeLV）
多頭飼育や外に出る猫に推奨。
すでに感染している猫には無効
接種で100%予防できるわけではない
外に出さないことが大切
感染時の免疫が不十分だと感染してしまう。
免疫が落ちた時にさまざまの症状（慢性鼻炎、貧血、リンパ腫や白血病などの腫瘍疾患）を引き起こします。
猫免疫不全ウイルス（FIV、通称：猫エイズ）
多頭飼育や外に出る猫に推奨。
接種で100%予防できるわけではない
外に出さないことが大切
免疫力の低下を引き起こす。
発症した場合はさまざまな症状（口内炎、呼吸器疾患、消化器疾患、貧血、腫瘍…）を引き起こします。
感染のみで発症せず天寿を全うする場合もある
クラミジア感染症（C. felis）
目の炎症や結膜炎を引き起こします。
初回接種（子猫）
生後6～8週齢で初回接種を開始。
3～4週間間隔で追加接種を行い、生後16週齢以上で最終接種を完了。
成猫の場合は状況によって変わります
追加接種
1年ごとに追加接種（ブースター接種）。
Q. 3年に1度でいいと聞いたことあるけど…？
A. 欧米と日本ではワクチン接種状況が異なるため、そのまま受け取るのはおすすめできません。背景としてガイドラインが出た欧米はワクチン接種率が高い（27〜75%）ため感染が広がる可能性が低い一方、日本では接種率が低い（10%）ため、感染するリスクが非常に高いと考えます。今後接種率が高まればそのような措置も考えられますが、今現在は1年に1回の追加接種が望ましいと当院では考えております。
毎年のワクチン接種がご不安な方な方は獣医師にご相談ください。一例としてコアワクチンについては、ワクチン抗体価検査（血液検査）で十分な免疫が維持されている場合は接種を1年間見送ることができます。
一般的な副作用（発生率：約0.05%以下）
一時的な接種部位の腫れや痛み
倦怠感、食欲不振、嘔吐、下痢
重度の副作用（まれ）
アナフィラキシー反応
虚脱（ぐったり）、呼吸困難（呼吸が苦しい、舌が青紫色）、顔が腫れる etc
注射部位肉腫
注意点
特に接種後30分～1時間はアレルギー反応が出やすいため、1日通して一緒に過ごせる日に接種しましょう。
体調が万全でない状態での接種は副作用のリスクを高めてしまうため、接種前に健康チェックを行います。
上記の観点から動物病院が午後も開院している午前中の接種をおすすめしております。
接種当日
激しい運動（猫じゃらしで遊ぶ etc）やシャンプーを避ける。
安静に過ごし、普段と異なる症状がないか観察する。
注意すべき症状
元気がない、呼吸が苦しそう、吐いた、注射部位の大きく晴れてる・痛みがある場合は、獣医師に相談してください。
翌日以降
軽い倦怠感や注射部位の腫れはおおむね1～2日で改善します。
症状が3日以上続いたり、悪化した場合は速やかに診察を受けましょう。
ワクチン接種はねこちゃんが自由に健康的に過ごすためにかかせない予防方法です。
気になることがございましたら獣医師にご相談くださいね。
副作用の観点から午前中の接種を強く推奨しております