海洋生態学研究室
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海洋生態学研究室は,熊本県立大学 環境共生学部 環境資源学専攻に所属する研究室です。当研究室では、沿岸域の環境問題に関する研究を進めており、究極的には沿岸域の持続的活用に貢献することを目的としています。そのために、既存の生態系機能の解明および水産資源の利活用法の開発を進めています。
学問領域としては、生態学(個体群、群集、生態系)、生物地球化学(沿岸海洋、流域圏、干潟)および環境学(環境動態、物質循環)に属しています。研究対象は基礎生産者(植物プランクトン、底生微細藻類)、底生動物(アサリ、ホトトギスガイ、ハマグリなどの二枚貝)、魚類(エイ類、チヌ類)、鳥類(カモ類)など、生態系の低次から高次捕食者までを網羅的に取り扱います。また生物だけではなく、海水と底質中の有機物および栄養塩の循環なども題材にしており、最近では地下水からの栄養塩流入や衛星観測によるブルーム動態の解明のような分野にも挑戦しています。
研究は自由な発想を大切にしつつ、仮説演繹法にもとづき着実に進めることをモットーにしています。研究で扱うスキルは、野外観測・野外実験や室内実験、データ解析など室内から野外まで幅広く展開しています。特に最近では係留系による基礎生産過程のモニタリングやドローンによるエイ類、カモ類の観察など新たな手法の開発にも取り組んでいます。新しいものに追いつくセンスが足りていないので、流行っている(新しすぎる)技術を率先して取り込むつもりはありませんが、必要であれば積極的に必要な技術を取り込むようにしています。
日本財団 海と日本プロジェクトで放映されました
地元のテレビ局(KABさん)から、緑川での調査風景を取材して頂きました。私達が干潟で行っているアサリの増殖や捕食量の推定、干潟の水質浄化に関する調査風景を紹介して頂きました。この動画を視聴して頂ければ、私達の研究室で行っている調査や研究のイメージが湧きやすいと思います。動画は2分程度と短いですので、興味のある方は視聴してみて下さい。
お知らせ(最近の活動)
2024年
10月
5th Asian Marine Biology Symposiumに参加しました。研究室からは以下の発表をしました。
-尾崎竜也(D1):Primary production on tidal flats in relation to tidal cycle: machine learning and continuous observation approach
-本田陸斗(M2):Impact of duck predation on the population of short-neck clam (Ruditapes philippinarum) in tidal flat
-小森田:Temporal changes in the microplankton community due to Kuroshio branch current inflow
懐かしい人達と再開したり、タイのフィールドを見学したりと充実しておりました。
本田くん
尾崎くん
ミドリイガイの養殖場。一望できるような写真は撮れていませんが、湾全体で養殖していました。
9月
日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会に参加しました。研究室からは以下の発表をしました。
-尾崎竜也(D1):潮汐を反映した干潟の基礎生産定量モデル:機械学習と連続観測での試み
-本田陸斗(M2):夏季の出水に伴う埋没によるアサリ Ruditapes philippinarum の死亡率の分別的な定量
-小森田:八代海南部のKarenia mikimotoi 赤潮拡大期における主要な栄養塩供給源の解明
色々と情報や意見を交換しつつ、良い刺激になりました。誰が写っているのか分かりませんが、発表風景です。
本田くん
尾崎くん
今回のメインヒロイン。八岐大蛇に食べられなくて良かったですね。
7-8月
・たくさん調査しました(詳細は省略)
-陽光丸第6次航海@八代海:たくさんの人に御世話になりつつ、無事に調査を終えました。周囲はややカレニア赤潮発生中です。船のグラビアを添えます。
乗船したのは以下の皆さんです。ありがとうございました。
水研:杉松さん、北辻さん、矢野さん、福井県大:杉本さん、熊本県大:尾崎くん、本田くん、東矢さん、林さん、
-夏の自由研究(干出時の光合成実験×5回):野外に実験室を作るスタイルが新鮮で楽しかったです。(拘束時間は長め)
遠くから見るとまるでレジャー
橋の下は涼しいが薄暗い
こういう実験はかっこいいですね
6月
・学生の助成金の採択
博士後期課程1年の尾崎竜也くんが、国際エメックスセンターの令和6年度若手研究者活動支援制度助成金(採択額 148万円)に採択されました!研究題目は「潮汐と海底湧水を反映した干潟の基礎生産過程:機械学習と連続観測によるアプローチ」です。大先生方から「薫陶」を受けて、成長する機会に繋げて欲しいものです。
5月
・日本地球惑星科学連合(JpGU)に参加しました。
小森田がセッション「沿岸海洋生態系-1.水循環と陸海相互作用 」の代表コンビーナを務めました
本セッションでは、様々な講演がありましたが研究室のメンバーから以下の発表をしました。
・尾崎竜也(D1):河口干潟における底生微細藻類と植物プラクトンの長期間の基礎生産量と潮汐周期の関係
・本田陸斗(M2):干潟に飛来するカモ類がアサリに与える影響:カモ類の水深への応答による検討
・小森田智大:八代海の赤潮拡大期における主要な栄養塩供給源の解明
・小森田智大:緑川河口干潟における安定同位体比と二次生産量を用いたアサリが基礎生産者に与える影響の季節変動
・みんな大好き、黒潮の論文がRegional Studies in Marine Scienceで出版されました。
鹿児島湾に黒潮が流入すると、珪藻と無殻繊毛虫から有殻渦鞭毛藻を主体とする群集へと遷移することを、4年分のデータをまとめて示しました。自分で言うのも何ですが、アイディアは面白いと思います。ただ、詰めが甘い部分があり少し難産でした。詳しくは業績をご覧ください。
4月
・春休みは自由研究をエンジョイしてしまい、あっという間に過ぎてしまいました。今年度も何とかやっていければと思います。関係の皆様におかれましてはご協力よろしくお願いします。
3月
・2月17日から23日と3月25日から30日の2回、鹿児島湾湾口から竹島に向かって調査をしました。とても揺れましたが大変有意義でした。鹿児島大学の皆様、ありがとうございました。もちろんうちのメンバーにもお世話になりました。乗船してくれた尾崎くん、本田くん、林さん、ありがとうございました。詳細は鹿児島大学の小針さんのブログでも紹介されています。
鹿児島大学の練習船 南星丸
流れ藻採取に使う、たも網が虫取り網のようでよく似合います
・緑川で覆砂を行いました。関係の皆様、ご協力頂きありがとうございます。
覆砂を実施した台船
覆砂後の干潟の様子
2月
・修論と卒論発表発表会が無事に終わりました。発表タイトルは以下の通りです。お疲れ様でした。みなさん新天地でも頑張ってください。こうしてみると、今年度は緑川にエネルギーを注いだことがわかりますね。
修論
尾崎くん:培養実験と係留系を用いた河口干潟における時間解像度の高い底生微細藻類と植物プランクトンの基礎生産量の定量
山下さん:緑川河口干潟における高密度なアサリ個体群が基礎生産者に与える影響の定量的評価
卒論
小林くん:緑川河口干潟における夏季のアサリの死亡要因の特徴
馬込くん:緑川河口干潟の植物プランクトンと底生微細藻類の光合成活性の季節変化
1月
・緑川河口域で定点カメラと測器のメンテナンスをしました。膨大な数のカモが優雅に浮かんでおり壮観でした。何とかして生態系に与える影響を定量したいですね。
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