論文あとがき
2025
論文あとがき
2025
Spinoza属の2新種を記載。それにあたり、1種を除くタイプ標本を検視、図示。オランダ、イギリス、アメリカに所蔵される標本の写真を首尾よく入手できたのがよかった。ありがたし。
2新種は、鹿児島中之島からSpinoza yoshidaiを、ラオスからSpinoza suenagaiを記載した。学名からも分かるように両種ともに採集者へ献名。yoshidaiについて、和名をトウオウホソカッコウムシ(藤黄細郭公虫)とした。既知の日本産種ルリホソカッコウムシの瑠璃色と同様に、色に因んで和名をつけようと調べて命名。suenagaiについて、研究室の先輩から標本をいただいたのが、ほぼ1年前の7/21だった。メッセージを見返すと、「よかったら、suenagaiをお願いします!」とお願いされていた。
属名Spinozaについて、G. Lewis(1892)によって、オランダの哲学者、バールーフ・デ・スピノザ(Baruch De Spinoza 1632-1677)に献名されたものである。この事実は、少なくとも一般的に知られていなさそうで、論文出版時点では、Wikiには未掲載。スピノザに詳しい人、哲学に明るい人なら知っていただろうか?いや、知るまい。。現代に生きながら、歴史上の人物の行為をなぞるの楽しい。
日本産種の分類、フィナーレまで来た感あるなぁ。ラストスパート~
Callimerusについて、日本産の1種(オキナワミドリカッコウムシStenocallimerus okinawanus)をシノニムとし、台湾産の1種を日本から初記録した。(Stenocallimerus属は、Callimerus属のシノニムとなっている。)初記録したのは、Callimerus taiwanus。和名が無かったため、無難にタイワンミドリカッコウムシを提唱。よく似るアマミミドリカッコウムシC. prasinatusとは、雄であれば腹部第5節の突起の有無で簡単に区別がつく。分布は異所的であるが、アマミミドリが与那国島に分布するのは不思議に感じる。(余談だが、最近の高次分類の変遷により、メダカッコウムシ亜科は、カッコウムシ亜科に内包されている。)
珍品ホソサビカッコウムシを追加記載し、採集状況を記録。本種の雌雄の判別は、腹部をよ~く見ないと難しい。解剖するのが一番正確だ。ミュージアムに所蔵が無い種だったため、標本をいただけたのは大変嬉しい。