論文あとがき

2023

 共著者の周氏とは、2012年のマルカッコウムシの論文からやり取りをさせていただいており、クリイロカッコウムシのときもそうであったが、今回の新種が採れたとの連絡にも驚かさせられた。昨年の研究で、それなりに調べた属であったが、まさかであった。シンプルにすごい。雌は採れていないので、どんな形態か興味深いところである。

 今回の論文にサブタイトルを付けるなら「Goodbye, my "yonaguniensis".」だろう。やっちまったわけである。自分で記載した種を、自分でシノニムにした。「あなたのその分類間違っていますよ?」と、論文上で学術的に他の誰かに証拠を突き付けられる前に、自分で処理できたのが幸いである。これは各地域の色彩変異個体が運よく手に入ったおかげである。謝辞にもあるが、ゾウムシ、タマムシ専門のYさん、Iさん、Uさんには特に感謝しなければならない。それにしても、本属のような雌雄の色彩パターンのカッコウムシはかなり珍しい(もしかしたらいないかも)。不思議だ。