論文あとがき
2024
論文あとがき
2024
カッコウムシではなく、アリモドキ科ケナガクビボソムシ属についての論文。2022年元旦、大学生のときに台湾で採集した標本を作っていて、何かカッコイイな、この甲虫。そもそも何科?と軽い気持ちで調べ始めたのがきっかけ。専門分類外だが、まるっと2年後に出版。この研究を経て、純粋な「知りたい」欲は、分類群関係なく、カッコイイと感じて、調べても分からなければ分からないほど増していくことが自分の中で合点がいった。新種の名前は、いろいろ悩んだ挙句、献名ではなく、特徴を表すものにした。
FBで数年前の投稿に東南アジア産種の標本写真がアップされているのが気になり始めた。。。
wechatで話題にあがっていたとのこと。あがっていた種はPseudostereopalpusだった。
第2著者の方のiNaturalistの投稿を見たのがきっかけとなり論文化となった。実際の投稿は、論文中のURLからアクセス可能。下記同様にSNSがきっかけとなった。よく分からんけど投稿しといたら識者が何とかしてくれるやろくらいの気持ちも時として大事なのかも。iNaturalistのカッコウムシ科の投稿は日ごとにメールで送られてくるように設定しており、8月14日のメールを5度見したのを覚えている。投稿者からの連絡を待ちわびた、待ちわびた。
※出版後(2025年1月2日)、北京からオオキバミイロカッコウムシが採集されているiNaturalistの投稿を発見してしまった。採集日は2023年4月5日(投稿日は2024年11月15日)。https://inaturalist.org/observations/251743489
第2著者の方のX(Twitter)のポストを見たのがきっかけとなり論文化となった。イシガキサビカッコウムシは雄1個体で記載しており雌の特徴が記載できていなかったため、今回の論文で雌の特徴を記載でき、生態的知見も追記できた。SNSを巡回して情報収集するのは必要だなと。
本種の記載論文執筆中、2016年、webサイトで、"サビカッコウムシ亜科のカッコウムシの1種※未記載種"として、イイ値で出品されているのを発見していた。記載論文発表後、"イシガキサビカッコウムシ"と名前が変わり、sold outとなっていた。自分の論文が影響して、何かが変わることを体験できた。
成したいことの一つである"新属設立"ができた。属名を考えるのは、種名を考えるより骨が折れた。いろいろと考えて「これでいこう」と付けた属名があったが、投稿する1~2週間前に「いや、これでいいやん」と変更したものが"Xenoplium"。意味と発音の観点で、こなれた感じもあり気に入っている。外見では、spadixがイチオシ。種小名では、zabulumが気に入っている。外見が悪魔みたいという意味がしっくり来ている。それなりに調べに調べて名付けた。
研究課程において、米国研究者にご協力いただいた。研究者としての引き際を考えさせられる出来事もあり、コレクションは一時的に個人の手元に収まっているに過ぎない、と改めて認識するのが健康的だなと強く感じた。研究が終わった標本は、さっさと手放して公的機関に収められるように、データはしっかり残しておくのが吉。
異邦の山に生息する本属。日本産ではないため、興味を引く人は限られるが、生態写真がiNaturalistに掲載されるのを勝手ながら期待している。