私たちと思いをきょうゆうしませんか?
2025/03/02
きょうゆうプロジェクトの北村です。宮下くんが国家試験を終えた(お疲れ様でした!!)ということで、今度は私が国試受験生になってしまいました。というわけで、大変長らくご無沙汰だった企画「きょう読会」です。久しぶりにここいらで「医学的・科学的」な記事を更新してみたいと思います。
突然ですが私は落語が好きでして、勉強の合間にyoutubeを開いては噺家さんのチャンネルの動画や高座を観たり、落研の公演を観に行ったりと楽しんでおります。笑いというのは昔から人間が大切にしてきた営みの一つで、実は感情や意欲などの精神状態はさまざまな疾患と密接な関係があるとされています。今回ふと思い立って「rakugo」で医学論文を検索してみたら、今回の興味深い研究を見つけました。
この研究では「落語鑑賞によって関節リウマチの痛みが改善した」という結果が示されています。関節リウマチを抱える女性と健常な女性に1時間ほど落語を聴いてもらい、アンケートで気分や痛みの変化を尋ね、さらに鑑賞前後で採血を行ってその変化を比較したそうです。結果として、気分や自覚される痛みの改善の他、採血データからは鑑賞前後でストレスや免疫活動性を示す数値、さらには関節リウマチの活動性を示す数値の低下まで得られたとのことです。著者らは「楽しい笑いは、精神神経系を介して、このネットワークに何らかのよい影響を与え、生体の異常をより正常化させようとする作用のあることが、我々の臨床実験より推測された」とまとめています。
私自身、ストレス解消には笑いを頼りにしてきたので、この研究結果には納得です。笑いに限らず、感情を表に出すことはとても重要だと思います。実際、入院していた時を振り返ると、「とにかくヒマで、でも病気だから何かをやる気にもなれない」という状態で、無表情・無感情な日々を過ごしていました。ところが、感情を出せないままでいるとストレスが溜まり、果ては「なんだか具合が悪い気がする」ようになってしまうんですよねぇ...
我々の「病院のすべての人のこころを支える」を謳った活動は、演奏会を通じて「感情表出のお手伝い」をしていく側面が大きいと思います。その構成の中で笑いを取り入れることもありますが、メインには音楽。音楽にも、この研究で示された落語の効果のように、音楽にも「身体的影響」があるのかどうか、そしてそれがどんなものなのか、文献調査をしたり実際にデータを出す、なんていうこともやってみたいものですね。ちなみに、この研究に協力した噺家さんは、あの林家木久扇師匠だとか。いやぁ、なんとも贅沢
な実験ですよね。落語を聴くと、リウマチの痛みまで『オチ』つくってぇ寸法ですかね(笑)。
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/36/7/36_KJ00002385276/_pdf/-char/ja
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