【ワーク】広報戦略検討
あなたが「誰かに知ってほしい」と思うものを一つ選んでください。
地域の好きな場所、自分の趣味、参加している活動など、何でも構いません。
「誰に伝えたいか」と「知った人にどうなってほしいか」を決め、AIと相談して、三つの伝え方を考えてみましょう。
【ワーク】広報戦略検討
あなたが「誰かに知ってほしい」と思うものを一つ選んでください。
地域の好きな場所、自分の趣味、参加している活動など、何でも構いません。
「誰に伝えたいか」と「知った人にどうなってほしいか」を決め、AIと相談して、三つの伝え方を考えてみましょう。
参考1 PASONAの法則:経営コンサルタントの神田昌典氏が提唱する、効果的なマーケティングの法則
P:Problem(問題)
読み手が直面している悩みや問題を提示し、関心を引きつける。
A:Affinity(親近感)
読み手の悩みに共感し、「あなたの気持ちが分かります」と親近感・安心感を与える。
S:Solution(解決策)
悩みを解決するための具体的な方法や自社商品・サービスを提示する。
O:Offer(提案)
解決策を試してもらうための具体的なオファー(価格、特典、無料体験など)を提示する。
N:Narrowing Down(絞り込み)
「今だけの限定商品です」「〇名様限定」と対象者や期間を絞り込み、必要性を高める。
A:Action(行動)
「購入はこちら」「お申し込みは下記から」と、次に取るべき行動を明確に示す。
【地域づくりの場にあてはめると・・・】
P:問題地域の困りごとや、実現したい願いを示す
A:親近感住民の声や共通の経験を通じて、共感をつくる
S:解決策その活動がどう役立つかを示す
O:提案具体的な参加内容・日時・費用・支援を示す
N:絞り込み特に届けたい相手と、実際の定員・締切を明示する
A:行動申込み・見学・相談など、次の一歩を示す
参考2:LP(ランディングページ)のつくり方
LPは、参加申込み・相談など、一つの目的に向けて必要な情報をまとめたページです。地域活動では、イベントや講座の募集ページなどに応用できます。
目的と対象を決める
誰に届け、読んだ後に何をしてほしいかを明確にする。
冒頭で魅力を伝える
「何の案内か」「参加すると何が得られるか」が、見出しと写真で分かるようにする。
読み手の関心や不安に応える
「初心者でも大丈夫か」「一人でも参加できるか」など、参加を迷う理由を考える。
体験できる内容を具体的に示す
当日の流れ、活動内容、持ち帰れるものなどを紹介する。
安心して判断できる材料を載せる
主催者、講師、実際の活動写真、参加者の声などを、事実に基づいて掲載する。
参加条件を分かりやすくまとめる
日時・会場・費用・対象・定員・持ち物・締切を明記する。
次の行動を明確にする
「参加を申し込む」「見学について相談する」など、分かりやすいボタンや連絡先を置く。
スマートフォンで読みやすくする
短い見出し、読みやすい文字、適度な余白を使い、申込みの操作も確認する。
チラシ・SNS・動画からつなぐ
QRコードやリンクでLPに案内し、入口とLPで内容や表現を一致させる。
公開後に改善する
閲覧数だけでなく、申込みや問い合わせ、寄せられた疑問を確認して見直す。
AIを使えば、文章、チラシ、画像、音楽、動画、ホームページなどを、これまでよりずっと手軽につくれるようになりました。
しかし、きれいなチラシや動画をつくること自体が目的ではありません。
地域で情報を発信するとき、本当に大切なのは、
「何のために、誰に、何を届け、その人にどうなってほしいのか」
を考えることです。
Instagramを始める、動画をつくる、チラシを配るというのは「手段」です。
その前に、情報発信全体を設計してみましょう。
情報発信は「何か発信しなければ」から始めるのではなく、まず地域や活動の現状を知るところから始めます。
・どんな地域資源があるか
・どんな活動や人がいるか
・何が知られていて、何が知られていないか
・参加しているのはどんな人か
・参加していない人はなぜ参加しないのか
・これまでどんな情報発信をしてきたか
・アクセス数、参加者数、アンケートなどから何が分かるか
できれば、思い込みだけではなく、統計、アンケート、参加者の声、アクセスデータなども確認します。
観光庁も、旅行者側から考える「マーケットイン」と客観的なデータを基にした戦略づくりを重視しています。国土交通省
まず「目的」を決めます。
地域情報発信の目的には、例えば次のようなものがあります。
・存在を知ってもらう
・地域や活動について理解してもらう
・興味や共感を持ってもらう
・イベントや活動に参加してもらう
・地域を訪れてもらう
・商品やサービスを利用してもらう
・仲間、担い手、協力者を増やす
・一度関わった人と関係を続ける
・住民自身に地域の魅力を再発見してもらう
・地域の活動や記憶を後世に残す
一つの活動に複数の目的があっても構いません。
ただし、
「今回の発信で、いちばん実現したいことは何か」
を一つ決めておくと、その後の判断がしやすくなります。
次に考えるのは「相手」です。
「できるだけ多くの人に」というだけでは、伝える内容を決めにくくなります。
例えば、
地域の住民
子育て世代
若い世代
高齢者
これまで活動に参加したことのない人
地域を離れて暮らしている人
地域に関心を持つ人
観光客
移住を考えている人
学校・企業・団体
一緒に活動してくれそうな人
など、相手によって欲しい情報は異なります。
年齢や住所だけで分ける必要もありません。
「歴史が好きな人」「自然体験をしたい親子」「地域活動に少し関心はあるが参加したことがない人」のように、興味や置かれている状況から考える方法もあります。
国土交通省の地域観光向け資料でも、年齢や居住地だけでなく、旅行目的、同行者、趣味、求めている体験などまで考えて「ペルソナ」を設定する方法が紹介されています。国土交通省道路局
同じ地域でも、切り取り方によって全く違う情報になります。
例えば、
「○○祭りがあります」
という事実だけを伝えることもできます。
しかし、
「400年間続いてきた祭り」
「子どもが実際に参加できる祭り」
「地域の人が一年かけて準備する祭り」
「若い担い手を募集している祭り」
では、受け取る印象も、興味を持つ人も違います。
発信する内容には、
・日時、場所、料金などの事実・実用情報
・地域ならではの魅力
・そこでできる体験
・地域の人の顔や物語
・歴史や文化
・活動の舞台裏
・課題や困りごと
・参加する方法
・活動によって生まれた成果
・これから実現したい未来
などがあります。
大切なのは、
「こちらが言いたいこと」だけではなく、「相手にとってどんな意味があるのか」
を考えることです。
観光庁の資料でも、単なる商品の特徴ではなく「利用する人がどんな利益や体験を得られるのか」を明確にすることが重要だとされています。国土交通省
ここで初めて、チラシ、ホームページ、SNS、動画などを選びます。
それぞれ得意なことが違います。
ホームページ
詳しい情報を整理して置いておく場所。活動記録や資料を蓄積でき、検索されたときの「本拠地」にもなります。
SNS
新しい人に情報を発見してもらったり、写真や短い動画で活動の雰囲気を伝えたりするのに適しています。
LINE・メール
すでに関心を持ってくれた人へ、次の情報を直接届けることができます。
YouTube・動画
活動の様子、人の声、音、動きなど、文章や写真だけでは分かりにくいものを伝えられます。
チラシ・ポスター・広報紙
インターネットを積極的に使わない人にも届きます。また、学校、公共施設、店舗など「届けたい人が実際にいる場所」で配布できます。
新聞・テレビ・地域メディア・プレスリリース
自分たち自身ではなく、第三者に取り上げてもらうことで、別の層へ届く可能性があります。
そして、すべての媒体を使う必要はありません。
むしろ、
SNSで知る → HPで詳しく読む → 申込フォームから申し込む → LINEで次の案内を受け取る
というように、媒体ごとの役割を決め、つなげることが重要です。
国土交通省の実際の地域支援でも、複数の発信媒体を無計画に増やすとアクセスやデータが分散するため、媒体を整理・集約する必要があると助言された例があります。国土交通省
情報を見てもらったあと、その人に何をしてほしいのでしょう。
・覚えてもらう
・誰かに話してもらう
・SNSで共有してもらう
・ホームページを見てもらう
・申し込んでもらう
・来てもらう
・買ってもらう
・一度参加してもらう
・継続して参加してもらう
・仲間になってもらう
・自分自身でも地域のことを発信してもらう
ここまで考えると、情報発信は単なる「お知らせ」ではなくなります。
地域プロモーション戦略というと、難しい計画のように聞こえます。
しかし基本は、
目的 × 相手 × 内容 × 手段 × 行動
を一つの筋道としてつなぐことです。
「Instagramを使う」は戦略ではありません。
「誰に、何を届け、何をしてもらうためにInstagramを使うのか」まで決めて、初めて戦略になります。
観光庁のマーケティングガイドでも、ターゲットを定めるSTPと、商品・価格・販路・プロモーションを組み合わせる4Pについて、それぞれの要素を整合させることが重視されています。国土交通省
情報発信は「投稿したら終了」ではありません。
目的によって、見る数字も変わります。
知ってもらうことが目的なら、
閲覧数、検索数、動画再生数など。
興味を持ってもらうことが目的なら、
クリック、保存、問い合わせなど。
参加してもらうことが目的なら、
申込数、参加数など。
関係を続けることが目的なら、
再参加者、登録者、継続的な交流など。
地域づくりの場合、数字だけで測れない成果もあります。
「初めて若い人が参加した」
「地域外の人と新しい活動が始まった」
「住民が自分たちの地域の良さを語るようになった」
といった変化も重要です。
現在の登録DMO制度でも、戦略を作るだけでなく、KPI等を設定し、実施結果を分析・評価して改善するPDCAが要件として位置づけられています。国土交通省
ここは「作り話」ではなく、実際に確認できた例を少し載せると、教材としてぐっと強くなる。
秋田市
2026年のシティプロモーション基本方針では、行政が一方的に発信するのではなく、市民・企業・団体・学校などが主体となることを掲げています。また、定住人口、関係人口、交流人口、世代、興味関心など、ターゲットに応じて戦略的に発信し、「継続的な関係」を育てることまでプロモーションに含めています。秋田市公式サイト
これは「たくさん見てもらうこと」だけが地域プロモーションではない、という好例です。
和歌山県橋本市
2026年9月公表の取組では、公式LINE登録者が18,000人を超え、市人口の約32%に相当するとしています。一方でLINEだけに依存せず、Instagram、子育てサイトのUI/UX改善、転出した若者などとの関係を保つ「FAVTOWN」、プレスリリースなどを組み合わせています。橋本市公式サイト
「一つの万能媒体」ではなく、目的によって媒体を使い分けている例と見ることができます。
兵庫県尼崎市
「あまらぶ大作戦」では、シティプロモーションを単なる広告ではなく、市民、事業者、団体などとともに「まちの課題解決・魅力向上」に取り組む活動として展開してきたと市が説明しています。尼崎市公式ウェブサイト
つまり、
地域を宣伝することと、地域をつくることを切り離さない
という考え方です。
これもサロンではぜひ入れたい。
観光庁の実証事業に参加した海峡都市関門DMOでは、地域サイトやデジタル周遊パスなどに取り組みましたが、成果報告では、
事業者間の合意形成に時間がかかったこと、
地域サイトへの継続的な集客、
周遊パスの販売、
掲載コンテンツの不足、
DXを担う人材不足
なども課題として公表されています。国土交通省
つまり、
良いホームページをつくれば人が来る、SNSを始めれば広がる、AIを使えば解決する、というほど単純ではありません。
ここは非常に大事なところです。
ここでAIの出番です。
AIには、
目的を整理する
対象となる人を考える
地域資源の見せ方を複数案出す
キャッチコピーを考える
対象者別に文章を書き換える
SNS・HP・チラシ用に文章を展開する
画像・音楽・動画をつくる
企画の弱点を指摘する
別の立場から企画を見る
実施後のアンケートや意見を整理する
といった仕事を頼むことができます。
しかし、
「この地域では何を大切にしたいのか」
「誰と、どんな地域をつくりたいのか」
を決めるのは人間です。
また、AIは存在しない地域資源、歴史、人物、数字などをもっともらしく作ってしまうことがあります。
地域情報を外部へ発信するときは、固有名詞、歴史、日時、価格、統計などの事実確認を必ず人間が行います。
題材は何でも構いません。
地域の祭り
サークル活動
商店街
公園
歴史的な建物
地域の人物
農産物
文化活動
地域イベント
新しい仲間の募集
など、自分が「もっと誰かに伝えたい」と思うものを一つ選びます。
そして、まず自分で次の六つを考えてみます。
① 現状 今どんな状態か
② 目的 何を実現したいか
③ 相手 誰に届けたいか
④ 内容 何を一番伝えたいか
⑤ 手段 どんな媒体を使うか
⑥ 行動 相手にどうなってほしいか
それからAIに相談してみます。
以下は私が考えた地域プロモーション案です。
目的:
対象:
伝えたい内容:
使用する媒体:
相手に期待する行動:
この案について、地域プロモーションの観点から検討してください。
採点や順位付けはせず、
①よく考えられている点
②目的・対象・内容・媒体の間に矛盾がないか
③見落としている可能性
④別の戦略をとるならどんな案があるか
⑤私に確認したいこと
を示してください。
地域について確認できない事実は推測で補わず、「確認が必要」としてください。
地域づくりにおいて、地域プロモーションは重要な役割を持ちます。地域の魅力や活動を効果的に伝えることができれば、来訪者や関係人口の拡大、さらには移住・定住への関心につながる可能性があります。同時に、地域の魅力を改めて発信する過程そのものが、住民自身の地域への関心や愛着、活動への参加意識を高める契機にもなります。
しかし、地域の情報発信は、地域外に向けたプロモーションだけではありません。地域内部で必要な情報を共有し、住民同士が意見を交換し、新しいアイデアや活動を生み出していくための情報基盤も重要です。自治会や地域団体のホームページ、LINEやSNS、電子掲示板、オンライン会議などを活用し、「知らせる」だけでなく、「尋ねる」「話し合う」「提案する」「一緒につくる」ための経路を整えることが求められます。
さらに、情報発信を行政や自治会など一部の組織だけに任せるのではなく、地域で活動する個人、グループ、学校、商店、文化団体など、それぞれが発信主体になることも大切です。一つの公式サイトだけでは拾いきれない地域の日常や小さな活動も、多くの人が発信することで地域全体の姿が見えてきます。
したがって、地域の情報発信には、大きく二つの方向があります。
外へ伝える
地域の魅力を知ってもらう、訪れてもらう、関係を持ってもらう。
内でつながる
情報を共有する、意見を交換する、参加する、アイデアを生み出す。
そして、この二つは別々ではありません。
住民が地域のことを知る
→ 自分でも発信する
→ 地域外の人に届く
→ 新しい参加者や関係が生まれる
→ その経験が再び地域内で共有される
という循環が生まれます。
したがって、地域づくりにおける情報発信は、単なる「広報」ではなく、
「地域の内と外をつなぎ、人と人をつなぎ、新しい活動を生み出す仕組み」
として考えることができます。