日時 2006年12月19日(火) ~ 12月20日(水)
会場 芝蘭会館研修室/京都大学工学部総合校舎213/コープイン京都会議室(京都府)
世話人 誉田 太朗(京都大学)
ClearSpeed社のCSX600を用いた長方行列の特異値分解の高速化について報告する。高速化手法としては、level-3 BLAS の DGEMM(行列乗算)を効率的に利用できるようアルゴリズムを最適化し、DGEMM の部分を CSX600 で実行する方式を採った。評価の結果、40000×2000 の行列の場合に Xeon(3.2GHz)の 2.3 倍の性能が得られた。更なる性能向上のための課題についても述べる。
本講演では、次期リリース予定の LAPACK4.0 で注目すべき固有値計算アルゴリズムである MRRR(Multiple Relatively Robust Representations)法の xSTEGR ルーチンの詳細について 述べる。次に xSTEGR では、固有値が密集する場合は二分法がボトルネックとなる。この問題 を解決するため、多固有値多分法(Multisection with Multiple Eigenvalues Method, MME 法) と呼ばれる並列化方式を開発した。日立 SR8000 の1ノード(8プロセッサ)を用いて MME 法を性能評価した結果、最大で 7.7 倍という高い並列化効率を達成した。
本発表では大規模一般化固有値問題の指定した領域内の固有値と固有ベクトルを求める Master-worker 型の並列解法について述べる.この方法では複素平面上の周回積分を用いて求める部分空間を生成する.グリッド RPC を用いて実装し,大規模分子シミュレーションで現れる固有値問題に対して適用した数値例を示す.
I-SVD を用いた特異値分解では,dLVv 型変換のツイスト分解を用いてコレスキー分解を行う.この dLVv 型変換の性能は,特異値の精度とパラメータが影響を与える.一般的にツイスト分解 を用いる場合,真の特異値を用いると特異な状態になり,特異ベクトルの計算が困難となる.し かし,実験的に確認したところ,dLVv 型変換のツイスト分解では,真の特異値を用いた場合, 高精度な特異ベクトル計算を行えることがわかった.そこで,本研究では,パラメータチョイス による特異ベクトルの高精度化をおこなう.また,特異値計算の精度改善において我々が直面している困難を詳細に述べる予定である.
BLASの機能・最適化手法の解説及び限界、プロファイラを使用したチューニングの指針を述べる.top500 から何を読み取ることができるか、また、Linpack ベンチマークで高性能を達成するコツを述べる.
「周回積分を用いた固有値解法による一般化固有値問題の求解 -複素対称連立一次方程式へ の前処理付き反復解法の適用-」多田野寛人(科学技術振興機構)
「複素対称行列に対する前処理の評価方法について」岡田真幸(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
「周回積分を用いた固有値解法の部分空間反復による精度改善」小瀧義久(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
「GridRPC/MPI ハイブリッドによる修正多重リスタート付き Arnoldi 法」 木原崇智(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
「行列の部分構造化を用いた固有値分布の推定法」先崎健太(筑波大学第三学群)
反復法の前処理あるいはマルチグリッド法のスムーザに用いられる ILU 分解前処理/スムー ザ、SOR 前処理/スムーザでは、代入計算の並列化のためになんらかの特別な並列化手法が求 められる。並列オーダリング法はそれらの代表的な一手法である。本講演では、著者らが提案したブロック化赤-黒順序付け法を紹介する。本手法は並列オーダリング法の一つであり、十分な並列度を維持しながら、反復法における高い収束性を実現することができる。また、同手法は近年主流となっているキャッシュをベースとしたメモリアーキテクチャに対する高い適合性を有 している。差分解析を対象とした数値計算結果と、著書らが別途提案している収束性の評価基準をもとに同手法について述べる。
本論文では,高精度数学定数の特定桁を計算する BBP 型公式を高速に計算する手法について 述べる.BBP 型公式は,Bailey,Borwein および Plouffe によって 1996 年に発見された公式で あり,πや log 2 などの数学定数を,最初の n-1 桁を計算することなく,n 桁目だけを計算することができる.この BBP 型公式を計算する際には,べき剰余を高速に計算する必要があるが, べき剰余の計算において,除算を乗算で行うように改良すると共に,並列化を行った.
線形方程式求解アルゴリズムに対して,求解性能を示すデータに基づいた体系的な性能評価を行っている.これまでの取組みの中で構築してきた情報システムや評価方法について説明する.これらを用いて,典型的なテスト問題を解いて得られた,求解アルゴリズムの性能を示すデータ から確認できる事柄について紹介する.