チャツボ

Barleeia angustata (Pilsbry, 1901)

レア度:いつでも見られる

形態:ゴマ粒大の巻貝(<3㎜)。巻きは高く、開口部は小さい。表面はなめらかで、特徴がないのが特徴である。貝殻は半透明の茶褐色をしているが、生時は内臓塊が透けて全体的に黒っぽい。頭部も黒っぽく、これは類似するホシノミキビ科の一種タマツボとの区別点になる。

生息域:日本各地に分布し、潮間帯の岩礁に生息する。葛登支では平磯の全域にみられ、年間を通して最も個体数の多い巻貝である。

生態:海藻の葉上動物として知られるが (水島・富田 1984; 土門・櫻井 2014)、海底にも多数存在する。直達発生を示す (福田 2020)。野付湾では6月、沿海州ポシェト湾では7–8月に稚貝が出現するため (Golikov & Kussakin 1978; 富田・水島 1984)、繁殖期は春だと考えられる。ヒメエゾボラの稚貝やクロスジムシロは本種の捕食者である。

2020年3月 山上海底にびっしり
2018年11月 山上遊ばれるヒメエゾボラ
2020年5月 青木海藻に産み付けられた卵中では稚貝がゆっくり回転している
2020年12月 山上フローティング
2020年12月 大友わちゃわちゃ
2020年12月 山上モグ…モグ…
2020年5月 青木ブドウガイもチャツボまみれ柔らかい海藻は稚貝の保育園
2020年5月 青木稚貝の顔口が大きくてとても可愛らしい
2020年5月 大友流し目
2020年12月 大友チグサガイと向き合う、背中にはキスイコマハリガイ
2015年5月22日 りった小さなヒメエゾボラにのっかる
2021年3月 大友
2021年3月 大友
2022年3月22日 とみよし春は昼潮海藻にゆれるチャツボの三つ四つ、五つ六つ七つ八つ九つなど…
2022年3月21日 とみよしむいむい

引用文献:

  1. Golikov, A.N. & Kussakin, O.G. 1978. Rakovinnye briukhonogie molliuski litorati morei SSSR. Nauka, Leningrad Branch. (in Russian)

  2. 富田恭司・水島敏博. 1984. 野付湾におけるアマモ葉上の貝類 I: 出現種と主要 3 種の成長. 貝類学雑誌, 43: 331–338.

  3. 水島敏博・富田恭司. 1984. 野付湾におけるアマモ葉上の貝類 II: 分布と出現個体数の季節変化. 貝類学雑誌, 43: 339–346.

  4. 土門拓矢・櫻井泉. 2014. 北海道寿都町沿岸のガラモ場における葉上動物の群集構造. 東海大学紀要 生物学部, 3: 1–9.

  5. 福田宏. 2020. チャツボ Barleeia angustata (Pilsbry, 1901). In: 岡山県版レッドデータブック2020. 7 軟体動物. pp. 381.