コモレビコガモガイ
Lottia tenuisculpta Sasaki & Okutani, 1994
レア度：いつでも見られる
形態：コガモガイ三銃士の一角。1㎝を超えることはほとんどない。貝殻表面の放射肋は細く、密に配列する。地色は黒色であり、白色の放射彩や斑点をもつ。
生息域：日本各地に分布し、潮間帯下部の岩礁に生息する。葛登支では平磯の岩肌や他の生物の上に普通にみられる。生息潮位は、近縁のミゾレコガモガイ、オボロヅキコガモガイよりも低い (土田ら 1997)。葛登支では、干潮時にも水面下となるようなタイドプール等に見られる。
生態：稚貝は他の巻貝の貝殻上に付着し、成長とともに岩盤に移動する性質が知られる (Nakayama et al. 2020)。葛登支では、クボガイ、イシダタミ、ヒメエゾボラなどの貝殻上を利用している。関東地方における繁殖期は4月から5月であり、これは同地方のオボロヅキコガモガイ (1–2月) より遅く、コガモガイ L. kogamogai (7–8月)より早い (Sasaki & Okutani 1994)。北海道でも、ミゾレコガモガイが繁殖する8–10月には、すでに休息期に入っている (Sasaki & Okutani 1994)。
その他：お洒落かつぴったりな和名。
引用文献：
Sasaki, T. & Okutani, T. 1994. An analysis on" Collisella heroldi" complex (Gastropoda: Lottiidae), with description of three new species. Venus, 53: 251–285.
土田英治・佐々木猛智・黒住耐二. 1997. 岩手県大槌湾とその周辺海域の貝類相 (7) カサガイ目. 大槌臨海研究センター報告, 22: 24–38.
Nakayama, R., Nakano, T. & Yusa, Y. 2020. Seasonal utilization patterns of two snail hosts by the epizoic limpet Lottia tenuisculpta (Gastropoda: Patellogastropoda). Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, 530: 151402.