ナミマガシワ

Anomia chinensis Philippi, 1849

レア度:めったに見ない

形態:円い形をした、扁平な二枚貝。5㎝程度になる。右殻を下にして固着しており、右殻は平べったく、足糸孔という穴があいている。一方、左殻は少し膨らんでいて、白・黄・ピンクなどの色を呈する。内面は光沢質で美しい。

生息域:北海道以南の西太平洋に広く分布し、潮間帯から水深20mの砂礫底に生息する。葛登支では転石に付着している。

生態:固着性二枚貝類には、足糸という器官で基質に付着するグループ(シコロエガイムラサキインコアズマニシキトマヤガイなど)と、セメント質を分泌して貝殻ごと固着させるグループ(マガキイチゴキクザルなど)がある (佐々木 2002)。ナミマガシワの仲間はそのどちらでもなく、足糸をセメント化し、基質に土台をつくる。本種の稚貝は着底後、何度か付着器を放棄して、より好ましい固着場所へ移動することもできる (Yamaguchi 1998)。神奈川県金沢湾では、6月から9月上旬に浮遊幼生が出現する (吉田 1964)。

その他:波間に漂う柏の葉に例えられた名前。英名はJingle shell といい、貝殻を集めて振ると確かにいい音色がする。

2018年10月 山上
2018年7月 山上
2020年9月 大友
2021年6月 とみよし


20222月 とも転石の裏

引用文献:

  1. 吉田裕. 1964. 貝類種苗学. 北隆館.

  2. Yamaguchi, K. 1998. Cementation vs mobility: development of a cemented byssus and flexible mobility in Anomia chinensis. Marine Biology, 132: 651–661.

  3. 佐々木猛智. 2002. 貝の博物誌. 東京大学出版会.