トマヤガイ

Cardita leana Dunker, 1860

レア度:いつでも見られる

形態:小型の二枚貝で、2㎝程度。貝殻は分厚く、後ろに長い形をしている。縁辺に向かって太いすじが伸び、その上には板状の突起がささくれ立つ。黄褐色の地に、ほくろのような斑点をもつ。

生息域:北海道南部以南、朝鮮半島、台湾に分布し、潮間帯から水深20mの岩礁に生息する。

生態:足糸で基質に付着し、葛登支ではシコロエガイなどと一緒にみられる。C/N同位体比を用いたクラスター分析では、シコロエガイと同一の食性グループに分類されるなど (Won et al. 2007 )、ニッチの類似性が示されている。Won et al. (2007) は、本種を海中のプランクトンを食べる一次消費者と推定した。
本科の二枚貝は卵胎生を示し、稚貝は親貝の鰓間腔で発育する (Yonge 1969; Schneider 1993)。鹿児島県では、10~11月に親離れした当歳貝が観察されている (河野ら 2002)。

その他:トヤマガイは誤りで、トマヤ(苫屋)が正しい。片殻を苫屋の屋根に見立てている。

2018年6月 山上
2018年6月 山上
2021年3月 山上
2021年10月21日 りった
2021年10月21日 りった摩耗した姿かな?

引用文献:

  1. Yonge, C. M. 1969. Functional morphology and evolution within the Carditacea (Bivalvia). Journal of Molluscan Studies, 38: 493–527.

  2. Schneider, J. A. 1993. Brooding of larvae in Cardita aviculina Lamarck, 1819 (Bivalvia: Carditidae). The Veliger, 36: 94–95.

  3. 河野舞子・玉井宏美・冨山清升. 2002. 溶岩質転石海岸における二枚貝 3 種の分布の季節変動. Venus , 61: 77–87.

  4. Won, N. I., Kawamura, T., Onitsuka, T., Hayakawa, J., Watanabe, S., Horii, T., Takami, H & Watanabe, Y. 2007. Community and trophic structures of abalone Haliotis diversicolor habitat in Sagami Bay, Japan. Fisheries science, 73; 1123–1136.