良い「カエリ」のコツ
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サイトマップ追加しました。 プロジェクト「キャンバー翼」シリーズ「キャンバー翼を飼い慣らしたい」
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カエリはカタパルト機の最高の醍醐味であり、カエリが上手くいった時の嬉しさは格別だ。
とりわけ、真上に駆け上った機体がヒラリと滑空に入る姿は美しい。だから垂直上昇はやめられない。
どんなに長く滑空したとしても、カエリが上手くいかなかった時には嬉しさは半分だ。長く飛ぶかどうかは、風や上昇機流に左右されるが、カエリの良し悪しは機体の設計・製作・調整・射出の総合芸術だ。カエリこそ、カタパルトグライダーの腕の見せ所であり、楽しみの8割はカエリの瞬間にある・・・・・・云々。
と、こんなにまで「カエリ愛」を語っておいてなんだが、どんな機体をどう調整すれば良いカエリになるのか、なんとなくの理解にとどまっている。
結果的に良いカエリのできる機体とそうでない機体があり、どうやっても上手くカエラない機種もあれば、調整の具合の加減でうまくいくものもあることは身に染みている。実は調整力が未熟なせいなのに、良いカエリができない機体をその設計のせいにしている可能性大だ。
そんなわけで、本プロジェクトでは「カエリ」について考え、良いカエリのコツを見つけ出すことを最終目標にしたいと思います。
かなり昔だが、あるホームページで「カエリを見れば誰の機体かわかる」という記事を見たことがある。当時は「まさか、そこまでのことはあるまい」と思ったが、人それぞれに工夫が凝らされた自由機には、各々最適な飛ばし方があるとすると、なるほど、ありえないことではない。
名前が付けられているカエリといえば「バント」が有名だろう。垂直上昇した頂点で、カクンと機首を倒し、あたかも椅子に腰掛けたように滑空に移行する妙技。同じく垂直上昇の頂点で失速して墜落かと思わせておいて、小さく宙返る「ツバメ返し」。宙返りの頂点で180度ロールさせるのはインメルマンターンと呼ばれているのだろうか。
二宮先生のカエリ論を拝聴しようと「高性能紙飛行機、その設計・製作・飛行技術の全て(以下黒本)」を開いたが、カエリへの直接的な言及はない(カエリという表現自体が見当たらない)。その代わりに、カエリに相当する事象は「滑空に入る・入れる」と表現されている。
カエリに関連した記載としては、「ペーパーグライダーの飛ばし方には3種類ある。①上昇時と滑空時の旋回が逆、②上昇時と滑空時の旋回がおなじ、③上昇時は旋回させずに垂直上昇させて滑空に入れる」と説明されている(黒本p93〜94)。①が最も一般的な方法。②はプロファイル機のような重い機体の場合に有効で、方向転換時の失速にともなう高度低下を防げる。③は高度を稼げるが、頂点で滑空に入ることなく落下することが多いと解説。さらに、「重さの軽い紙飛行機では、長時間飛ばすには上昇と滑空で逆方向の旋回をさせるのが普通である」として、タイプ①が先生のおすすめだが、その理由への言及はない。
無理やりカエリの分類にこじつけると、①と③は滑空に入る時に、進行方向がそれまでと大きく変化する(カエル)のに対し、②は上昇時の旋回方向を維持したままスムーズに滑空に移行する点が異なる。
小池勝著「フリーフライト機F1B・滞空時間を伸ばす技術と科学、」によると、ゴム動力のフリーフライト機も垂直に発射させ、グライドと呼ばれる滑空状態にうまく移行するのが鍵で、そのカエリに相当する過程はトランジェントと呼ばれている。F1Bで最も優れたトランジェントは、どこで移行したかわからないほどスムーズなものが最高とされているらしい。二宮先生のタイプ②に近いのがこれだろう。
ヒラリと滑空に入るケレン味好きとしては、面白みに欠けるタイプ②だが、滑空時間を重視すれば納得もできる。そうであれば尚更のこと、わざわざ進行方向を変えるタイプ①が、なぜ先生の一押しなのだろうか。これは、後ほど触れることになる。
F1Bのトランジェントの分類
A)スムーズ:機首の上下動がほとんど見えず、どこで切り替わった瞬間が分からないほどグライドへ連続的に移行」
B)ノーズダウン:パワー終了後にスッと機首が下がり、明確に1〜2秒間高度を失った後、グライドに移行
C)ノーズアップ:パワー低下時に機首が上がり失速。立て直すこともあるが、スパイラルに入ることも
D)ロール/バンク崩れ:移行時にバンク角が大きく変化し旋回がきつくなったり、逆方向の旋回に入る。
E)ダブル・トランジェント:パワー終了時に不安定になり、一旦安定するも、再度崩れて高度を失う
F)ハード・トランジェント:明確なダイブ あるいは 失速から回復しない。見た瞬間に「危ない」
今回、カエリを考えるにあたっては、フライトシミュレーターを用いてさまざまな射出条件でのカエリを比較し、「カエリのありよう」と射出条件との間になんらかの関係性がないかを探っていこうと考えた。使用する機体は、競技機仕様の自作 Tally 1.0。空力パラメーターはFlow5の出力をベースとした。
フライトシミュレータ自体については別の項で説明するとして、ここではカエリのアニメーションをいくつか見ていただきましょう。実際の速度ですので、全部同じに見えるでしょうが、x 25%再生にすると、微妙な違いが・・・・・。
これらは、無風状態の想定で、実際の射出同様に次の7項目を変化させた計算結果からの抜粋。
射出条件パラメーター
射出仰角 (度) : 45 〜 85 (10度刻み)
射出時ロール角(度) : 60 〜 90 (10度刻み)
射出速度(m/秒) : 35 (固定)
重心位置(mm) : 31 〜 36 (1mm刻み、全機空力中心は32mm想定)
エレベーター(単位) : -1.0 〜 0 (0.1単位刻み、マイナスはUp)
ラダー(単位) : -0.5 〜 0.5 (0.25単位刻み、マイナスは右旋回)
エルロン(単位) : -0.5 〜 0.5 (同上)
エレベーター、ラダー、エルロンは、数値の絶対値に意味はないので単位とした。強め or わずかにダウンを打ったといった相対的な大小として、その影響を見てほしい。エルロンと表示しているが、水平尾翼の片側の翼端のUpDown調整と同じと考えて構わない。
評価指標
個々の飛行を評価する指標として、大項目として7種、小項目を合わせると合計14の評価項目を設定した。
飛行時間 (Flight_Time)
到達最高高度 (Max_Alt)
飛行距離 (Distance)
滑空時姿勢安定度 (Stab_Sum_P2)
ピッチ (Stab_Pitch_P2)
ロール (Stab_Roll_P2)
ヨー (Stab_Yaw_P2)
カエリ時の高度損失 (Kaeri_Loss)
最高到達点到達時と1秒後の高度差 (Initial_Sink)
カエリ時の姿勢安定度 (Stab_Sum_P1)
ピッチ (Stab_Pitch_P1)
ロール (Stab_Roll_P1)
ヨー (Stab_Yaw_P1)
総合評価(Total_Score: 飛行時間、カエリ時の高度損失、カエリ時の姿勢安定度、滑空時の姿勢安定度のスコアを4:2:2:2の比率で合計)
カエリ期間の認定
カエリ開始:射出後の最高到達点到達時の0.2秒後
カエリ終了:2つの要素で判定し、どちらか片方、あるいは両方ともに満たすといった条件は解析時に指定する。1)姿勢角(ピッチ角)が0.2秒以上10度未満を維持する、2)ピッチ・ロール・ヨー全ての角速度が90度/秒未満に落ち着いて0.2秒以上その状態を維持