キム・ヨンソン(韓国 慶尚南道晋州市 慶尚大学校社会教育科)
本研究の目的は、韓国におけるセウォル号沈没事故やろうそく革命などの近年における重大な出来事による影響を受けた教室での実践に見られる変化を明らかにすることである。セウォル号の沈没とろうそく革命と呼ばれる集団抗議は、近年韓国の若者の間で政治意識を高めたという意味で最も重要な出来事である。若者は2014年のフェリー事故で亡くなった高校生と強い繋がりを感じ、政権による救助に対する慌ただしい反応は政府に対する政治的な不信をもたらした。また、朴大統領の弾劾に至った政治スキャンダルは2016年と2017年に噴出した集団抗議への若者の参加に火を点けた。本研究では、7名の中等教育の社会科教師によって構成されるフォーカスグループを対象としたインタビュー調査を実施し、感情を揺さぶる二件の出来事の後に教室内で何が起きたかを議論した。インタビューからは、両事件が安全教育、記念行事、教室内での議論を含む様々な教育上の反応をもたらしたことが明らかになった。また、二つの社会的事件は豊富かつ鮮明な政治教育の源泉を提供し、社会問題に対する生徒たちの関心を高めた。教師らは論争上にある問題について教室内で議論を行う場合は「中立的なモデレーター」の役割を担うことを好んでいた。学校の指導部や親の影響も、事故に関連する社会問題の教え方に多大な影響を与えていた。
白井克尚(愛知東邦大学)
本研究では、日本における社会科の授業計画を作成するために用いられる授業研究の過程の特徴を明らかにする事例研究を実施する。事例研究では新城小学校(SES)が採用している「三枚重ねの論理」に注目し、その過程を明らかにするとともに特徴を検討する。主に2点の結果を得た。第一に、SESにおける三枚重ねに基づいた社会科授業研究の手法では社会意識や、抽出児が特定した問題を追究する子供向けの教材に注目している。第二に、この手法により、教育者は抽出児の思考過程を深め修正していくために社会科の単元構成に変革をもたらすことができる。