スマート農業

岩城農場は、IT企業にてソフトウェア開発や日本の衛星測位システム「みちびき」に関わる業務に携わった経験を活かし、スマート農業を積極的に取り入れています。

ここでは、岩城農場の取り組みの一つである、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)を用いた農業用GNSSガイダンスシステムを紹介します。

センチメータ級測位補強サービス(CLAS)とは

全国の電子基準点のデータを利用して、現在位置を正確に求めるための情報(センチメータ級測位補強情報)を生成し、日本の衛星測位システム「みちびき」から送信するサービスです。CLASは、補正情報取得のために通信が必要となるRTK測位とは異なり、受信機単体でリアルタイムに数cmの精度で測位を行うことが可能となります。

CLASは2018年にサービスインし、2020年にはサービスが増強されてより安定的に測位できるようになりました。2023年現在は一般ユーザー向けの受信機も10万円程度で販売されています。

岩城農場のCLAS対応農業用GNSSガイダンスシステム

岩城農場は、2015年より測位航法学会に所属する研究機関や企業と連携して、衛星測位を利用した農業用GNSSガイダンスシステムの研究を行ってきました。2020年には、みちびきのCLASに対応した受信機をいち早く企業から提供を受け、実作業で使用しています。実作業の中で洗い出した問題点を、研究機関や企業にフィードバックして、ハードウェア構成や設定の改善を重ねてきました。

岩城農場のCLAS対応農業用GNSSガイダンスシステムは、CLAS対応受信機、CLAS対応アンテナ、タブレットのみの小型でシンプルな構成になっています。CLAS対応受信機とタブレット間は無線(Bluetooth)のため、移設が容易で、様々な農機に乗せ換えて作業することが可能です。CLAS対応農業用GNSSガイダンスシステムに表示される作業軌跡は数cmの精度のため、マニュアル運転でも、正確、かつ、効率的に作業を進めることができます。

CLAS対応受信機

CLAS対応アンテナ

タブレット

農業用ガイダンスアプリ
(AgriBus-NAVI)

農業用GNSSガイダンスシステムの作業例

田植え前の代かきなど、目視では作業軌跡を見失いやすい作業については農業用GNSSガイダンスシステムが特に有用です。農業用GNSSガイダンスシステムを使用しない場合と比較して、代かきは従来の2/3程度の時間で、肥料・農薬散布は1/2程度の時間で行えるようになりました。

CLAS対応での測位精度向上により、作業効率化だけでなく、減農薬・減化学肥料にもつながりました。

代かき

肥料散布

農薬散布

スマート農業の効果

農業用ガイダンスを含むスマート農業、最新農機の導入、および、環境保全型農業のページで紹介した輪作徹底により、すべての作物で単収が向上しました。

作物別単収

研究活動・成果発表

スマート農業の研究・開発は、主に測位航法学会に所属する研究機関・企業と共同で行っています。成果は学会発表や教育機関への講演活動、メディアなどで公表しています。

東京海洋大学 久保研究室
共同実験

東京海洋大学・芝浦工業大学・防衛大学校
共同実験

測位航法学会
研究発表

日本農業新聞
2023年11月12日

日本農業新聞
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