井上 悠 氏の講演会

会場が変更になりました! ご注意ください。

コロナウィルス蔓延防止対策のため、事前に出席者の人数を把握して、リストを作成します。

こちらのフォームより、電子メールアドレス、お名前、ご所属、お電話番号をお知らせください。

なお、講演会に参加される際には、マスクの着用をお願いします。会場の窓を開けっぱなしで行いますので、もし寒いようでしたら、各自で対策をお願いします。

3月20日 追加:

産総研の指導により、3月8日以降に海外から帰国された方、または「帰国された方と同居されている方帰国者の感染の有無にかかわらず)」は、帰国日から2週間以上が経過していない場合、講演会への出席をご遠慮いただくことになりました。どうぞご了承ください。

東北大学 学際科学フロンティア研究所の井上 悠先生をお招きして、量子薄膜の最先端研究についてのご講演をお願いしました。人工ヘテロ構造で量子閉じ込めを起こして、新しい現象を発現させようという内容です。

井上先生は、東京大学で修士取得後、2016年にStanford大学でPhDを取られ、その後MITでポスドクを経験したあと、昨年、東北大の助教に着任されました。

興味深いお話を聞かせていただけますので、ぜひお越しください。


日時:

2020年03月23日(月) 15:30~ 1時間ほど


場所:

産業技術総合研究所 つくば中央第2事業所 本館C棟7階 第4会議室 (C715室)


講演者:

井上 悠 (ひさし)

東北大学 学際科学フロンティア研究所 助教


タイトル:

量子物質の薄膜化による物性制御と探索


要旨:

量子物質とは、マクロなスケールで量子的な性質が観測される物質であり、代表的なものにトポロジカル絶縁体や超伝導体などがあげられる。近年、薄膜成長技術の飛躍的な向上により、これらの物質を厚さナノメートルのスケールで精密に制御して成長させたり、人工的な層状構造を作製したりできるようになった。その結果、量子閉じ込め効果を利用して、バルクとは異なる新たな現象を発現させることや、人工ヘテロ構造を作製して界面を制御することにより、これまで観測することが難しかった物性の探索が可能になった。我々は、このような例として、半金属である希土類ビスマス(RBi)の薄膜化に取り組んできた。RBi は最近、バンド計算によってトポロジカルな表面状態を持つことが提唱されている。[1] しかしながら、RBi では伝導体と価電子帯の重なりが大きいため、この物質のトポロジカルな性質に起因する物性を観測することは難しい。この物質をナノメートルスケー ルまで薄くできれば、量子閉じ込め効果により、RBi を半導体化できると考えられる。我々は、高品質なエピタキシャル RBi 薄膜を作製し、その金属性を膜厚によって制御することに成功したのでこの講演会で紹介する。[2] また、他の量子物質の研究例として、希薄超伝導体チタン酸ストロンチウム上に高品質なトンネル障壁を作製することで、高分解トンネル分光を行い、未だ解明されていないその超伝導発現機構を調査したので紹介したい。[3]

[1] M. Zeng and C. Fang et al., arXiv:1504.03492 (2015).

[2] H. Inoue and M. Han et al., Phys. Rev. Mater. 3, 101202(R) (2019).

[3] A. G. Swartz and H. Inoue et al., PNAS 115, 1475 (2018).


本件に関するお問い合わせ:

産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 井上 公 (いのうえいさお) メール