自治体病院で働く社会福祉士とは
まず・・・ 社会福祉士とはそもそも何者??
<社会福祉士>
社会福祉士及び介護福祉士法(第二条第一項)では、
『社会福祉士』とは第二十八条の登録を受け社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者、又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者とされています。
また、人と環境の間で生じる様々な課題に対して、心理的、経済的、社会的なアプローチを通して、あらゆる社会資源を活用し各関係機関と連携調整しながら支援していく存在です。
病院で働く社会福祉士は何をする人??
医療ソーシャルワーカー業務指針では、
〔厚生労働省健康局長通知 平成14 年11 月29 日健康発第1129001 号〕
■療養中の心理的、社会的問題の解決調整援助
(例)
・心理的課題への援助:病気や障害の受容、家族関係、医療者側との関係性など
・社会的課題への援助:身寄りがない、利用できる社会保障制度(年金、医療、雇用、労災、介護など)
■退院援助
(例)
・退院先の選定(回復期、慢性期、自宅、在宅施設、介護保険施設、ホスピスなど)と調整
■社会復帰援助
(例)
・学校や職場への復帰援助
・治療と仕事との両立支援
■受診、受療援助
(例)
・診断や治療を拒否する患者さんへの対応
・病院機能分化を活かした受診援助
■経済的問題の解決、調整援助
(例)
・医療費の支払いが可能なのかの相談
・医療費がかかる中で、生活自体が成り立つのかの相談
・もし仕事を辞めなければいけなくなったら収入源はどうするかの相談
⇒収支のバランスをどう整えていくかの相談援助
■地域活動
(例)
・各関係機関との連携、地域ケア会議への参加 など
具体的な社会福祉士の特徴とは??
■どういう機関やどういう職種が、どのような役割をしているのかを知っているので、どのように連携すればよいか分かっている
■個別性を大切に、どの社会資源や社会保障制度などが当てはまるかを考えることができる
(例)・介護保険 ・年金制度 ・成年後見制度 ・医療費助成制度 ・病院への転院
・労災 ・傷病手当 ・生活保護 ・雇用保険 ・治療と仕事の両立支援 など
■「想い」と「想い」をすり合わせながら、連絡調整をしていくことができる
・患者さんとご家族の想い、病院側の想い(入院している側、転院で受け入れる側)
在宅支援者側(往診医、ケアマネジャー、訪問看護、ヘルパーなど)の想いなど、様々な立場の様々な方々の想いを聴きながら、すり合わせを行っていく
支援を行う上での、社会福祉士の主な視点とは??
■身体的・心理的視点
・患者さんの病状や身体状況の理解
・患者さんの意思決定能力への理解
・患者さん自身がもともと持っている強さやレジリエンス(回復力)の理解
⇒ご本人が持っている力、困難に対して立ち向かう力はどのくらいあるのか
■社会的視点
・ご家族の関係性、身寄りがあるかどうか(身元引受人、身元保証人)
・社会復帰ができるか
・これまでの人生における支援体制があるか(インフォーマル、フォーマル)
⇒これまで誰と繋がってどのように生きてこられたのか
■経済的視点
・医療保険加入状況の確認(保険料の滞納がないか)
・収入はあるか:所得の確保(傷病手当、生命保険、労災保険、障害年金 等)
・支出はどのくらい必要か:家賃、光熱費、携帯代、医療費減額ができるか等
・生活が困窮していないか(生活困窮者自立支援制度、生活保護、自己破産申請など)
⇒経済的に、今後生活が成り立つのか
ソーシャルワークの展開過程
①インテーク(受理面談)
・患者さん、ご家族との初回面談
※ラポール(信頼関係)形成:相手と自分との間に「橋が架かっている状態」を築く
②アセスメント(事前評価)
・客観的データを集める(病状、ADL、経済面、社会とのつながり、家族関係、家屋状況など)
※システム理論、ICF(国際生活機能分類)、バイオサイコソーシャルモデル、臨床推論など
③プランニング(計画策定)
・どのような方法で援助すれば良いか計画を立てる(チームで共有することも大事)
④インターベンション(介入)
・実際に援助を行う(転院調整、自宅退院調整、受診援助など)
⑤モニタリング(中間および事後評価)
・本当にその援助(介入)で良かったのかを振り返る。
・援助が上手くいかなかったり、新たな課題が見つかれば、②アセスメントに戻る。
⑥ターミネーション(終結)
社会福祉士が病院に居る意義
病気やケガが原因で、どうしても自分の家に帰れない患者さんがいます。また、病状や経済状況などによっては、患者さんやご家族の退院後の人生が大きく変わることもあります。
身寄りのない患者さんへの支援についてもガイドラインや法的根拠の中で迅速かつ丁寧に関わっていく必要もあります。
退院や転院後も、私たち病院職員の知らないところで、その患者さんやご家族の人生は続いていますし、退院調整を行う上で、退院後の人生も想定しながら支援していく必要性も求められています。
誰とどこでどのようにして、「その人らしく生き続けていけるのか」を、病院の各スタッフ、各関係機関とのチームプレイを大切にして、様々な制度や社会資源などを活用しながらサポートしていく存在であり続けたいと考えています。