研究室に入室希望の皆様へ

1)修士や博士課程への進学希望者で、本研究室への配属を検討されている皆様へ

当研究室では、中型以上の哺乳類の社会・生態・行動に関する基礎研究から、保護管理に関わる応用研究まで幅広く行っております。特に後者は、高まる社会的ニーズの一方で、取り扱っている大学が非常に限られている現況を受けて、力を入れております。

  ここ山形、そして東北は「人の減少と動物の拡大」という現象に由来する新たな社会・環境問題が顕著に、そしていち早く進行している地方です。この問題への対処を検討することは喫緊の課題であると同時に、これからの日本、そして多くの国々が直面することになる人口減少に対応した新たな野生動物管理を考えていく基礎になると私は確信しています。こうした新たな課題に挑戦的に取り組んでみたい方の応募を特に期待しています。もちろん、冷温帯多雪地における中・大型哺乳類の生態・行動にかかわる基礎研究に興味がある方も歓迎しております。

2)山大3年生で本研究室への入室を検討されている方へ

こちらについてはFAQを記載しておきます(随時更新中)。

Q フィールドワークって大変ですか?

A 正直なところ、向き不向きはあると思います。まず一度調査に参加してみてください。学生の卒論や修論の調査から、私の個人的な調査まで、参加できるチャンスは結構あります。気軽にご連絡ください。 

Q  この研究室は「指導が厳しい」と聞いたんですが・・・

A 「何が厳しい」と感じるかによると思いますので、一概には回答しにくいところです。私の研究室では、人側もしくは野生動物側の喫緊の問題を扱っているケース、さらには国際的な研究をリードすることを目指した研究も進めているため、確かにハードワークもあるとは思います。ただそれを乗り越えれば、間違いなく充実感は得られるはずです。「厳しさ」は「やりがい」との表裏一体の関係にあると思いますので、この点はご理解いただく必要があるかと思います。ただ、本当に野生動物の研究が好きな方にとっては、「厳しさ」は感じられないと思います。

Q 野生動物の研究は時間がかかるのでバイトや就活に支障が出るのでは・・・?

A 当研究室はフィールドワークを重視しており、他の研究室と比べても確かに研究に拘束される時間が長くなる場合はあります。ですから、「フィールドワークをバリバリやりたい」という方でない場合、正直なところ、あまりお勧めできません。ただし、家庭の事情などによりバイトを継続する必要がある学生や、就活にできるだけ時間を割きたいと考える学生がいることもよくわかっています。これらを効率的に進めるために、早めに研究計画を立てて進めることが重要で、そのための支援は最大限行っています。

Q 野生動物やフィールドワークは好きだけど、体力にちょっと自信がありません

A 体力に合わせて、ラボワークとの組み合わせ(過去の例でいうと、実験室で行う糞内容物の同定、GIS解析、質問紙を用いた評価など)は可能ですから、事前によく相談してください。

Q 動物が大好きなので、この研究室で勉強したいのですが・・・

A この研究室は、あくまで「科学」をする場ですので、動物が好きか嫌いかという「価値観」は重要ではありません(ちなみに、私は動物好きであったからこの分野の研究をしているわけではありません)。また、保護管理の現場では、単に「動物が好き」というだけでは、ちょっと厳しい場面に多数直面するかもしれません。この辺りはよくご相談ください。

Q 研究テーマは自由に選べますか?

A 学生からの意思を最大限尊重するように配慮しています。ただし、学部卒業後就職を希望される場合、研究に費やせる時間は非常に限られますので、それなりの工夫が必要です。そのため、多くの就職希望の学生さんは、過去の研究を生かした継続研究や、研究室で進めている重点研究にかかわる方が多い傾向にあります。修士や博士までを検討されている場合、より自由度高く検討していただくことは可能です。

Q 社会科学的な研究をベースに野生動物の研究をしたいのですが・・・

A 私の専門は生態学です。そのため、社会科学的アプローチのみによる研究は指導できません。ただし、保護管理を目的とした研究において、生態学的な研究を主軸に、社会科学的調査手法(質問紙調査等)も補助的に加えることは可能です。

Q 研究室に拘束時間(コアタイム)は設定されていますか?

A 集中できる時間や場所は人によってさまざまだと思います。そのため、この研究室には拘束時間(〇時から〇時までは必ず研究室にいなければならない、というコアタイム)は設定していません。ただし、理由もなく研究室に顔をあまり出さない、毎日夜しか来ない、などの場合は、私からの直接的な指導ができませんので、非常に不利です。音信不通になった場合は、安全上の観点から呼び出すことはあります。

Q 狩猟免許は必要ですか?

A 研究上、狩猟免許が必要になることは通常ありません(ちなみに私は持っていません。学術捕獲という別の方法があるためです)。ただし、野生動物関連の仕事を将来的にやってみたい方にとって、狩猟免許を持ち、野外での実戦経験がある方は優遇されるケースがしばしばあるようです。現在・過去の学生のうち、狩猟免許を持っていた方は結構います。

Q 卒業後の進路は?

A 今のところ公務員多いでしょうか(下段の「参考」をみてください)。ただ、研究への意思があり、ご両親の了解が得られるのであれば、大学院修士までは進学することをお勧めします。

Q 自動車を持っていないと入室できませんか?new

A もちろん自家用自動車を所有されているほうが研究を主体的に進めるうえで有利であるのは間違いありません。ただし、3年生が研究室に入る条件として、「自動車の所有」を必須条件にしていません(当然ですが)。研究室内で調整して、フィールドワークを進めることになります。大学院生の場合、基本的には自家用自動車がないと、フィールドワーク主体の研究を進めるのは難しい場合があります。事前によくご相談ください。なお、山形大学の場合、事前に大学に申請をすれば、調査研究を目的とした自家用自動車の利用は正式に認められています(全国的には数少ない大学のルールでしょうね)。

【参考1】過去の卒業生の進路・就職先(※青字は大学院生

2014年度:森林組合×1名、県庁(福島県)×1名、大学院進学×1名

2015年度:県庁(青森県)×1名、県庁(秋田県)×1名、高校教員(福島県)×1名

2016年度:市町村職員(ともに福島県内)×2名、大学院進学×1名

2017年度:民間×1名、市町村職員(福島県内)×1名

2018年度:県庁(山梨県)×1名、民間(林業関係)×1名、大学院進学×1名、民間(環境コンサル)×1名

2019年度:大学院進学×2名 ※内1名は諸事情で辞退

2020年度:大学院進学×2名、県庁(福島県)×1名

2021年度:大学院進学×2名

2022年度:大学院進学×1名、県庁(山形県)×1名、民間(大手のソフトウェア開発系)×1名

2023年度:民間(林業関係)×1名、民間(地域支援関係)、国交省(総合職)×1名、県庁(新潟県)×1名、民間(環境コンサル)×1名、民間(林業関係)×1名

【参考2】実施された過去の研究テーマ

卒論と修論については研究室のページを見てください


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