ピアノってむずかしい?

あなたにとって、ピアノは難しいですか?

そしてそれは、どういう所ですか?

上の質問を、生徒や生徒じゃない人や 大人や子どもや 女性や男性に聞いてみました。

プロの方の中で、わざわざ回答をくださった方もありました。回答くださったみなさん、ありがとうございました。

みんなの意見をきく中に、ピアノというものの姿が浮き彫りになってきました。

下に、その結果をご紹介します。みなさんも、考えてみてください。


みなさんの回答より(抜粋)

●難しいです。大人になってから始めたので体がいうことをきかない。

(50代・初級)

●とてもとても難しいです。特にリズムが難しいです。(70代・初級)

●難しいです。自分のイメージは広がっているのに、それを表現する技術が追いつかない(50代・中級)

●難しいけど、ある意味使いやすい楽器かも。鍵盤が一覧できて音階になっているのでメロディーをつかみやすい(50代・中級)

●難しいです。ただ鍵盤を弾けばいいってわけじゃなく、いろんな表現、リズム、全部やらなければいけないのがわかった。(40代・初級)

●難しいです。右手と左手で、それぞれ表現や音量など、別々のことをやらなければいけないから。

(20代・中級)

●あんまり難しいと思ったことはない(20代・上級)

●他の楽器に比べて奥が深いし、極めるのは難しいといえるかも。

ギターとかは、たいていみんな独学でやるけど、ピアノを独学する人って少ないのがその証拠。(20代・上級)

●ちょっと難しいときもあるけど、そのうち簡単になる。(1年生)

●練習すれば難しくない。(1年生)

●難しくない。(保育園)


ヒバリの分析 その1

このアンケートによりヒバリが読みとったのは、次のようなことです。

(まずは20代以上の人の意見により分析しました。10才以下の人の意見については、別に分析します)

初級 :ピアノは他の楽器に比べて、手や指の使い方が複雑なので、初心者にとっては難しい。

中級:慣れてくると楽器としては弾きこなせるようになってくる。その場合は音階がきちんと並んでいるので弾きやすい楽器といえる。

上級 :音色や表現などにさらに深いことがあるため、どこまでいっても極めることができない。そういう意味で、別の意味での難しさが出てくる。また、やり甲斐もある。

このようなことが浮かび上がってきます。


ヒバリの分析 その2

いろんな人に聞いた結果、みなさんの「ピアノのむずかしさ」の内容が、ヒバリにも少しわかりました。

1.右手も左手も均等に使う

2.5本の指を全部均等に使う

3.右手と左手で、違うパートを一人で弾く

ざっと考えて、初心者の場合、このことがけっこう負担な「むずかしさ」のようでした。

特に大人の人にとって、これまでの何十年もの人生で ほとんど使ってこなかった「小指」や、まして「左手の小指」などを駆使させられるのは、すごいカルチャーショックだったんだ、ということを、私はこのリサーチを通して初めて知りました。自分自身は、そんなこと思いもしない小さい頃から、両手とも自然に使ってたので・・・

みなさんが、ヒバリの予想もできないほどがんばって、左手や小指を使えるようになってるんだ、ということがわかり、感涙です...


ヒバリ自身にとってピアノは?

楽器の簡単さでいえば、ヒバリにとってピアノほど易しい楽器はありません。リコーダーより、ハーモニカより、ピアノは易しいです。

でもその一方、クラシックの曲などを心をこめて弾こうと思った時に、何度弾いても弾いても、納得できる音やフレーズが得られない。一つの「これだ!」という音を出すのに、何時間もかけることはザラです。

これを考え合わせると、ヒバリにとってピアノは

「もっとも易しく、同時にもっとも難しい楽器」なのかも。


大人と子どもの違い

大人になってからピアノを始めた人たちにとって、ピアノは、やはりとても難しいようです。

新しいことを始めるのですから、当然、とても大変だと思います。

大人のみなさんの努力には、本当に感心します。

ところが同じ初心者なのに、幼い人たちは全員、「難しくない」と答えているのです。

ちなみに大人で「難しくない」と答えた人は、小さい頃から自然にピアノに触れてきた人たちなので、この際「子ども組」に分類してさしつかえないでしょう。

「大人は難しいと感じ、子どもは難しくないと感じている」この違い。

やっぱり子どもは、体も頭も柔軟なのね。

大人にはできないことも軽々とこなし、「簡単!」と言っている。さすが若さだね!

たしかにそれもある。だけど私は、それだけじゃない、何か違った「ひみつ」を感じています。。。


子どもたちの自信の秘密

なぜ子どもたちは、あんなにうらやましいほど、元気で自信にあふれていられるのでしょう。

思うに、それは大人と違って、「今自分がいる時空が世界の全て」だからではないでしょうか。

世間一般での「レベル」や「位置づけ」など気にせず、きのう知らなかった「ドの音」を今日弾けるようになっただけでも、「上手にできた!」と大喜びします。周りの事など気にせず、毎日毎日、小さな達成感を積み重ねていく人生なのですから、喜びと自信にあふれていて当然なのかもしれません。

大人から見たらちっぽけなこと・・・「これしかできない」というようなことでも、子どもたちはこう言うでしょう。

「これができる」ってね。

それはまさに、「ナンバー・ワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリー・ワン」の生き方なのではないでしょうか?

そう、だからアンケートの結果でも、「難しい」と答えた大人の人たちが、「難しくない」と答えた子どもに劣ってる、ということじゃないんですよ。

違いは「恐れを知らないアクティブ精神」なんだと思うのです。

今回、このリサーチを進めていく中で、いちばん大きな収穫だったのは、「子どもたちって、『オンリーワンのわたし』を生きてるんだ」ということを発見できたことです。

この美しい真理は、私の心の中で、ジュエリーのように輝く宝物になりました。

願わくは、彼らがいつまでも、「私はかけがえのないオンリー・ワンなんだ」という自信と喜びを持ち続けてくれますように。


みんなすてきなオンリー・ワン

さて、そろそろまとめです。

どの生徒も(小さい子も大人の人も)、私にとっては大切な「オンリー・ワン」です。

その人が、前にはできなかった事ができるようになったり、弾きこなせなかった曲が弾けたりしたらすごく嬉しいし、「やったね!偉いね!がんばったね!すごいね!」と、絶賛の気持ちでいっぱいになります。

それは、あなたがあなただから。

人より勝ってほしいとか、進んでる・劣ってるとか思わない。あなたがあなたなりに、輝いてくれれば嬉しいです。

どうでしょう。大人の人も、せめてピアノの時くらいは、世間一般の常識や評価を忘れて、

「先週できなかった、この音が弾けた。上手になった♪」と、素直に喜んでみたら。

「オンリー・ワンのわたし」になってみたら、ピアノはもっとずーっと、幸せなものになるかもしれませんよ。