ピアノQ & A

楽器のこと、レッスンのこと、そのほか みなさんからよく聞かれる疑問に、私なりの考えを書いてみました。。

Q. ピアノは3歳から始めないと遅い?

A. 遅くないです。

「正式なピアノレッスン」は、むしろ体のしっかりしてくる7~8才から、本人の意思で始めるのが いちばんいいと思います。

その日が来るまでは、おうちで、歌をうたったり、絵本を読んであげたり、いい音楽をたくさん聴かせてあげたりしましょう。もちろん、ピアノや打楽器などで遊ぶのも、とってもいいんですよ。

音楽を楽しむ心を育てながら、お子さんが「ピアノ習いたいな」と言ってくれる日を 楽しみに待ちましょうね。


Q. ピアノをもってないと、レッスンはダメ?

A. ダメではないですが、できるだけ早くに買ってあげてほしいです。

「まず習ってみて、続きそうだったら買いましょう。しっかりやらないんじゃ、高いピアノがムダになるでしょ」と言いたいところですが、それじゃ順序が逆。ピアノがあればこそ長続きもし、やる気も出るんです。

理由は、レッスン日の30分よりも、おうちでピアノに触れる時間の方が ず~っと大切だからです。たとえさぐり弾きでも、いたずら弾きでもね。


Q. ピアノかデジタルピアノか

最近はデジタルピアノの性能がアップしたことやファッション的なこともあり、ピアノと同等の「楽器」として「どっちがいいかしら」と比較検討される方もいらっしゃるようです。

しかし、ピアノレッスンの練習用として購入する場合、デジタルピアノは あくまでも第二の手段、ということです。

家が狭くてピアノが置けない、マンションなので隣や上下階への騒音のため普通に弾くことができない、など やむを得ない理由がある場合に ピアノの「代用品」としてデジタルピアノをお勧めする、ということなのです。

ピアノを置くスペースが確保でき、音の心配も 弾く時間や時間帯などでクリアできそうであれば、これはもう、迷わずピアノを購入されることをお勧めします。

素人目には大してかわらないと思われる ピアノと電子ピアノの違い・・・

タッチ、音色、音の広がり、表現力etc・・・

そういったものが、電子ピアノでは いつか必ず不満になります。

小さな子どもにも その違いはわかりますから、レッスンを始めてほんの数年で不満になってしまいます。

昨今、電子ピアノも高額機種になると、ピアノとかわらないほどのお値段です。

かたやピアノでも、再調整品や中古などですと 桁違いに安いお値段で手に入れることもできます。

どうぞ、音楽を大事に考え、条件さえ許すなら ぜひピアノをご購入ください。

長い間には、必ずそちらの方が安い買い物だったということになるはずです。


Q. 家にはキーボードしか置けませんが?

デジタル楽器も、すばらしく性能がアップしました。

ピアノがないからと諦めるよりは、キーボードでレッスン始めてください。

また、キーボードがあるなら、キーボードの演奏法を習うのも、一つの選択肢です。

「何が何でもクラシックピアノ」という時代は過ぎたと思いますし、様々な音楽を享受できる今の日本では、実は広い意味での「Music」を望んでいる、という人の方が、むしろ多数派かもしれません。

ポピュラーやジャズがお好きなら、キーボードは打ってつけですよ。


Q. 大人になってからではピアノは無理?

とんでもない!

私の教室では、40代~80代の方が、生き生きとレッスンしています。

リズム感や頭の柔らかさでは子どもに負けるけど、大人は音楽の素晴らしさを知っています。みなさん、いろんな曲をご存じですし、お好きな音楽のスタイルやジャンルもちゃんと把握して、目標を持ってレッスンされています。

理論だってよく理解できるし、手も大きいし、克己心、向上心もバッチリ。

ね、子どもにはない長所を、たくさんお持ちなんですよ。

迷っているあなた、思い切って始めてみてね。

なんたって、今日という日は、これからの人生で、一番若い日なんだから。


Q. やっぱり、最初はバイエルから?

「バイエル」がピアノのバイブルみたいに言われているのは、世界中でも日本だけ。

現在では、多種多様のテキストがありますから、みんなが自分に合った教材を使って、自分らしくレッスンできます。バイエルだって、その中の一つにすぎません。

大人の人なら、いきなり「エリーゼのために」とか「月光の曲」などの憧れの曲に、一年くらいかけて取り組む、などということもできますよ。


Q. ピアノと勉強は両立できる?

できます。あなたが、ピアノを好きならね。

レッスン内容やペースを、ムリのない範囲で考えればいいんです。

勉強の合間に30分ほど弾くピアノは、疲れた頭をリフレッシュさせてくれます。

不安や悩みがあるとき、ピアノは、疲れた心をなぐさめ、元気を与えてくれます。

受験期の人なら、なおさら、ピアノをやめないで。多感な時期ですから、こういう年頃にこそ、ピアノを心の友にしてほしいと願っています。単なる「習い事」で終わらせるか、生涯の心の友とするかは、この時期で決まるような気がするのです。

それにね、ピアノは脳を刺激し、頭をよくするのよ!


Q. ピアノを弾くと頭が良くなるってほんと?

ほんとです。

これは、かなり根拠のある説です。

「手を使う」ということは、すご~く脳を刺激することなのです。

人類がここまで進化したのも、手を使うことを覚えたからですってね。

右手の動きは、記憶力と語学力を司る左脳を刺激し、左手の動きは、創造力と空想力を司る右脳を刺激します。両手の指を駆使するピアノは、その点、とっても良いのです。

それに、楽譜を読み、それを指の動きに置き換え、さらにその中で感情表現もするピアノ演奏は、非常~に高度な精神活動なんですよ。

さあ、ピアノで脳をきたえよう!


Q. ボケ防止にピアノはどうかしら?

最適です!ぜひ弾いてください。

ピアノは脳の活性化、情緒の安定に素晴らしい効果を上げますし、おまけに健康にもいいんですよ。

手には、内臓のさまざまな器官と関係の深いツボが集中しています。手や指を使うと、手のひらのツボが刺激され、体のいろいろな部分の作用に好影響を与えるとか。

それに、ピアノ演奏はけっこうエネルギーを使うので、代謝も良くなりますし、姿勢も良くなります。その結果、元気いっぱい、お肌ツヤツヤ。ほんとよ!

美容と健康に、ピアノをどうぞ!


Q. ピアノの後ろに毛布を貼れば、防音できる?

実は、それほどよい方法とはいえません。

確かに室内の音は小さくなりますが、毛布に音が吸い込まれて響きが貧弱になっただけで、外には聞こえてしまいます。つまり自分は貧弱な音をガマンし、ご近所はうるさい音をガマンする、という結果に。

外への音を遮断するには、音を通さないものでバリアを張る必要があります。

1.窓を二重サッシにする

2.引き違い戸でなくドアにする

3.ピアノの足に市販のインシュレーターをはめる

などで、少しずつ防音効果をアップする、というのが現実的な方法です。


Q. どうすれば、ご近所からの苦情を防げる?

ここに、「究極の防音術」とも言うべき秘伝をお教えしましょう。

それは、「隣近所と仲良くし、誠意を尽くす」これです!

常日頃から、隣近所・上階・下階の方には、「できるだけ気を付けますので、うるさかったら、どうぞおっしゃってください」と挨拶し、弾く時間などにも気を付けましょう。到来物の珍味などあったときには、オスソワケなどするのも妙案といえるでしょう。時折、「うるさくしてすみません」とお詫びします。「いいえ、うるさくないですよ」という返事が返ってきて、恐縮することもあります。「聞こえる」のと「うるさい」のとは違うようです。同じ音でも、キライな相手のはうるさい、ということですね。せまい日本です。お互い、せめて誠意を持って、仲良く暮らしましょう。もう一度 このタイトルを見てください。「どうすれば、苦情を防げるか」ですからね。


Q. 昔やりたかった夢を子どもに託したのに、子どもはちっとも練習しませんが・・・

こうおっしゃる親御さんがとてもたくさんいらっしゃいます。

よかれと思う親心はありがたいのですが、しかし、いくら我が子でも、子どもは独立した人格を持った《他人》なのです。他人に自分の夢を代行してもらおうというのは、とてもおかしな話ですし、第一子どもに失礼です。

答えはかんたん。

お母さんがピアノを好きなら、お母さんが ご自身で習えばよいのです。

そうでしょう?

お母さんがピアノを愛し、一生懸命美しい音楽を作るべく努力していれば、それを見ているお子さんは、きっと音楽好きになりますよ。お子さんの入門は、その後です。もちろんご本人の意思によって。


Q. 子どもにピアノをやめないで続けさせるには?

「ピアノをやめない」のと「レッスンをやめない」のとは 実はイコールではありません。

引っ越し、受験、その他いろいろな事情で、レッスンを続けられなくなることはあると思います。

でもレッスンを受けていなくても、自分で好きな曲を弾いたり、耳コピしたり、楽譜を買ってきたり、と ピアノを楽しんでいられれば、『ピアノを続けている』と言えないでしょうか?

『音楽』はテクニックではなく魂の歓びです。

自分一人で楽しむだけの力を身につけることが、いつかレッスンをやめても、一生ピアノを弾くことにつながるのです。

目的は、『レッスンを続ける努力を強いる』のではなく、音楽を楽しみ、幸せを感じられる人に育ってもらいたいという事なのです。

もしお子さんが、本当に音楽の歓びを見出しているならば、レッスンを離れたとしても、きっとピアノを続けていけると思います。


Q. どうすれば楽しく練習できるの?

「楽しい」というのは、決して「おもしろおかしい」ということではありません。自分の意志で、自分の工夫で練習したとき、たとえ苦労があっても難しくても、あなたはその努力を「楽しい」と感じるはずです。

もしピアノの練習がつまらないのなら、曲があなたに合っていないか、または課題が把握できていないからです。「この曲は、森で楽しく遊ぶ小鳥たちの様子を表すように弾こう」「この練習は指を早く動かすため」などと、ひとつひとつの曲に具体的なイメージや目標を持って弾けば、自分自身楽しいはずです。

もし目標がわからず、弾いている意味も感じられないなら、それは人から言われて自分の心なしにただ弾いているか、または「ピアノを弾いているという動機」そのものが不純だからかもしれません。

楽しく、つまり主体的に練習したいなら、先生にそう言って、あなた自身魅力的だと思える曲を弾かせてもらうか、または先生のレッスン曲とは別に、自分で好きな曲の楽譜を買ってきて練習してごらんなさい。TVの曲やゲームの曲でもいいですよ。

その曲を一生懸命練習することによって、読譜力やテクニックが身に付き、ひいては正統派の曲を弾くためにも、きっと役に立つはずです。


Q. 個人レッスンとグループレッスン、どっちがいいのかしら?

きめこまかなテクニックや 一人一人に応じた指導が受けられる個人レッスン。

ピアノといえば 基本は個人レッスンですが、もしチャンスがあれば、グループレッスンも体験してみることをおすすめします。

子どもだけでなく大人の方も・・・

グループレッスンで「歌心、リズム感、ハーモニーセンスなどを体得する」ということ、そしてそれを「みんなでアンサンブルする」ということ、それを経験しておくと、その後の本格的なレッスンに、大変役に立ちます。

要は「どちらがよいか」ではなく、それぞれ役割がちがうと考え、どちらもじょうずに取り入れるのが、よい音楽のためには不可欠だと思います。

大人やプロになっても、この「アンサンブル」というのは すごく大事なことなので、機会を見つけて他の人と一緒に練習や演奏をする、ということがぜったい必要です。

そういった意味でも、「個人レッスンは上等、グループレッスンはレベルが低い」などとお考えの方は 即行改心してください。