白翁会学術奨励賞について 

                             審査委員長  定 清直(6期)

 福井大学医学部同窓会白翁会学術奨励賞は、同窓生の優れた研究を同窓会として顕彰し、研究力の向上を通じて、卒業性が残りたいと思えるような、魅力ある福井大学医学部の発展に貢献することを願って設立されたものです。


 研究活動は、大学の知的活動の根幹であり、特にわれわれ医療者にとっては症例報告や業務改善を通じて論文を書くことは生涯続くものです。このような研究マインドを持った医療人の育成は、医学・看護学教育のカリキュラムのなかでも重要な位置を占めていますが、卒後の実践的な応用力は大学院教育を通じて身につくものであり、修士・博士の学位を取ることがいかに大切なことであるかは会員の皆さまにもよくご理解頂いているものと思います。


 大学院生は今も昔も大変忙しく、診療をはじめ様々なdutyをこなしながら、また家庭と両立しながら研究を進めていくことは並大抵の努力では務まりません。そんな状況にも関わらず、知的好奇心や問題意識を持ち、心折れることなく一つの学位論文を仕上げることは、大きな達成感につながります。研究を始めるにあたり、優れた、より本質的な疑問点を持つことは大変重要なことです。よい研究は、よいクエスチョンを持つことから始まります。熱心で経験豊富なメンターと机を並べ、一つ一つの課題をともに考え解いていくことはよいトレーニングになります。学位の取得が研究者としての入り口に立つことであると言われる所以です。かつての古き福井医大の時代とは異なり、今日の医学部の各講座分野の中堅として学位論文の指導に当たっている教員の多くは白翁会会員となっています。医学科のみならず、看護学科においても卒業生が重要な地位を占めるようになっています。こうしたことから、2024年度からはあらたに博士論文と修士論文をそれぞれ医学科・看護学科卒の会員が審査し、その結果をもとに審査委員会全体で合議して受賞者を推薦することになりました。さらに、学術奨励賞を受賞した論文については、指導に当たった会員も学術特別賞(ベストメンター賞)として表彰しています。


 昨今の地方国立大学をめぐる厳しい状況の中、わが母校がこれからどのように生き残っていくのか、地域においてどのような重要性を担っていくのかが議論されています。研究の発展なくして福井大学医学部の将来はありません。暗い話だけでもありません。国の評価指標からは本学医学部の強みも明らかとなりました。第二期・第三期中期目標期間の評価結果からは、医科学一般、整形外科学、耳鼻咽喉科学、基礎看護学の分野において卓越した研究成果が評価され、大学院生だけでなく、スタッフとして在籍する卒業生が大いに貢献していることも明らかとなりました。現在継続している第四期中期目標・中期計画に掲げた研究を継続し、高エネルギー医学研究センター、子どものこころの発達研究センターとともに、その成果を全国へ、そして全世界へと発信して頂きたいと思います。そしてできることなら、今後は医学部最優秀論文賞や学長奨励賞など、更に高い評価を得るような業績を目指して、会員の皆様のより一層の奮闘に期待したいと思います。全国の会員の皆さまにおかれましては、受賞論文を通して本学の医学研究の旬の研究について、ご理解いただけるものと思います。研究面においても同窓会会員の中で交流が深まり、共同研究へと発展することを願っています。


 本奨励賞は、他大学の大学院を卒業した会員の学位論文についても同様に審査対象としています。審査を希望する会員は、学位授与年月日、学位記番号、氏名、学位論文題目、雑誌名(最新のインパクトファクター)、大学院の学歴、生年月日、本学医学部卒業年次、学位論文要旨(A4用紙1枚程度、日本語)に、学位論文を添え、本学医学部同窓会白翁会事務局まで申請して下さい。学術的な貢献以外に、社会・経済・文化への貢献が認められ、社会的影響が顕著である研究や、学会賞、特許、特筆すべき産学連携などに繋がった研究、卒後長期にわたり臨床にありながら、還暦近くになり学位を取得した研究なども学術特別賞(努力賞)して審査の対象としておりますので、ご相談ください。


 最後になりますが、本審査委員会は全国の医学部において教授等の職にある白翁会会員で構成されています。また審査委員会の設立と運営については石黒和守先生、川口めぐみ先生、清水誉子先生、事務局の山澤さおり様に大変お世話になっています。関係者の皆さまのご協力に心より感謝申し上げます。