平成十二年

平成十二年

初夢に卒寿の母のひとりごと

朝夕の介護にあけて松過ぎぬ

点滴の針にそむける余寒顔

百までも老母は生きると牡丹の芽

老ひた子に老母の気づかひ牡丹の芽

子等訪へば老母の活性牡丹の芽

やうやうに熱の下りて春の昼

ヘルパーのベットに飾る四葩かな

野の風の吹き抜く廊下籐寝椅子

点滴の夢さめて聞く夕ちちろ

敬老日入浴介護ねんごろに

お元気でと町長訪問敬老日

ヘルパーの明るく挿せり菊の花

点滴の針ままならず日短

行く年や落ちる点滴数へつつ