平成十三年

平成十三年

点滴のかろきいびきに春を待つ

点滴の洩れに手の腫れ凍戻る

病む母に庭を染めをり涅槃雪

恙寝の母に香りの桜餅

朝摘みの苺ミルクで病む母に

裏木戸を鳴らして夜寒の風わたる

湯の華を多めに入れる夜寒かな

師走妻またも足痛医者通ひ

婦長出て訪問看護年の暮

親切運動卒寿の母に聖菓来る

子と分ける幸せクリスマスケーキ

聖母めく若き看護士針を抜く