平成六年

平成六年

母許へ初旅瀬戸の橋渡る

甚平きて子の年かぞへ豆を撒く

早春の日差すベットに肌着替ふ

忌の墓に老母の誦経木の芽風

彼岸婆杖立てかけてお題目

母子像の上を初蝶の高舞へる

地蔵院詣で老婆の蓮見かな

杖をつく余生努めの墓洗ふ

枇杷の花癒ゆることなき恙身に

恙身は早や二た年の数へ日に