地球システム・倫理学会「設立趣意書」

Prospéctus of founding the Japan Society for Global System and Ethics (2006)

私達は、身近に地球温暖化、石油価格暴騰、戦争暴動テロに見る様に、人類の文明体系は自然の生命体系に対して地球規模の気象異常、環境汚染、生息域破壊、生物種絶滅、資源枯渇、格差拡大、生命軽視、生命操作、戦争、犯罪等の相互に関連する地球問題群をかかえて破局の危機への岐路に立っています。

「国家主義と戦争の世紀」から新しい「地球主義と平和の世紀」を望んだ二十一世紀初頭のテロや戦争は「木を見て森を観ない」自己中心主義や一国中心主義を強め、文明の金字塔構造を一層強化するかのようです。学問も象牙の塔に籠り、自然科学に範を取って、分析、(細)分科、(価値)分離に走り、総合、学際、価値、目的、行為を軽視、無視しています。

今や、地方から地球へ、競争から共生へ、エゴからエコへの枠組転換なくして問題の根本的解決はないと考えられます。全体生命系の緊急の問題解決の為に学問もまた物と力の僕としての知識から、心と命の主としての智恵(普遍的真理、実践的倫理)への転換が緊要です。

ここに、地球問題群、その原因、解決、方法を総合的、学際的、倫理的、行動的に究明、共有、協働することが急務であると考え、新学会、地球システム・倫理学会を設立しました、これは多くの人々の共同の智恵と具体的な行動が必要です。広い御支持と御参加を戴きたく御案内致します。このような観点から以下の四システム(体系)領域と部会を考えて居ります。


一、 生命システム・倫理(生命、生態系、解決策等)

二、 環境システム・倫理(環境、問題群、解決策等)

三、 文明システム・倫理(物と力の体系、解決策等)

四、 文化システム・倫理(心と命の体系、解決策等)

 

自由、斬新、創意に満ちた研究・提言・協働・共有を目指し、分科会、合同会、学術会議、日常交流など新しい手法や活動を展開したいと考えており、また御提案を歓迎致しますので何卒御照会、御参加下さい。また御存知の方で御関心の有る方の御紹介、御推薦を戴ければ幸甚に存じます。


発起人(肩書は当時のもの)

伊東 俊太郎(麗澤大学教授)

岩本 一(東洋大学教授)

岡田 真美子(兵庫県立大学教授)

加藤 美恵子(東洋大学教授)

木村 清孝(国際仏教学大学院大学教授)

斉藤  明(東京大学教授)

坂部 明(信州大学教授)

佐々木  宏茂(東洋大学教授)

島薗 進(東京大学教授)

立木 教夫(麗澤大学教授)

内藤 正明(仏教大学教授)

永安 幸正(麗澤大学教授)

平田 俊博(山形大学教授)

正木  晴彦(長崎大学教授名誉教授)

升本 順夫(東京大学大学院助教授)

松井 孝典(東京大学教授)

峰島 旭雄(早稲田大学名誉教授)

安田 喜憲(国際日本文花研究センター教授)

横山 紘一(立教大学教授)

吉田 収(東洋大学教授)

吉田 宏皙(大正大学名誉教授)


以上

【学会発足に関する参考情報】

・平成17年(2005)4月24日、第1回発起人有志会合を学士会館にて開催。

・平成17年(2005)10月23日、理事会を学士会館にて開催。第1回学術大会および創立総会を平成18年(2006)2月20日・21日に麗澤大学で開催することを決定。

・上記の出典:吉田 収「学会はじめの記」『地球システム・倫理学会 会報』第5号(2010年)80ページ。

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・「・・・新しい学会、「地球システム・倫理学会」を2006年に設立し、2月には創立総会をもちました。その成果を収め、さらにこの方面の最近の書物、国内外の情報なども伝え、われわれの運動をさらに拡げていくために、『地球システム・倫理学会会報』を創刊し、ここに第1号を送り出すことになりました。・・・」(地球システム・倫理学会会長  伊東 俊太郎「創刊の辞」2006年10月25日『地球システム・倫理学会 会報』第1号(2006年)1ページ。)

以上

最終更新日:2021年07月01日