地球システム・倫理学会の山脇 直司 副会長の最新刊
山脇 直司 著
『分断された世界をつなぐ思想 〜より善き公正な共生社会のために』北海道大学出版会、2024年。
人類の共滅と国内の分断加速が懸念される今、どこに未来への希望を見出せるか。公共哲学と共生思想を基に、教育、福祉、環境、国際、経済、宗教などでの共生への道を探り、教養教育と哲学の意義を復権して、現代の喫緊の課題に応える。
シンポジウム:終末時計89秒を生きるための新たな倫理へむけて
●地球システム・倫理学会は、2025年10月03日(金)に筑波大学人文社会系と共催して「筑波会議2025」のパブリックセッションに参加します。
●「筑波会議2025」は、全体セッション、若手研究者のセッション(19件)、パブリックセッション(8件)に区分され、2025年10月1日(水)・2日(木)・3日(金)の3日間、つくば国際会議場において開催されます。10月03日(金)に開催する当セッション(シンポジウム)「終末時計89秒を生きるための新たな倫理へむけて 」は、パブリックセッションの一つです。詳しくはこちらのサイトでご確認ください。
●なお、当パブリックセッションをはじめ、「筑波会議2025」は、全て英語で開催します。地球システム・倫理学会の会員の皆様には、ふるってご参加ください。事前参加登録はこちらから。
● 当パブリックセッションに関するお問い合わせは、セッション実行委員長の青木 三郎(地球システム・倫理学会副会長、筑波大学名誉教授)宛にメールでお願い致します。( aokisaburo@gmail.com )
●長年にわたり理事として学会運営にご尽力いただいた、京都大学名誉教授・宗教哲学者の鎌田東二(かまた・とうじ)先生が、令和7(2025)年05月30日に京都市内のご自宅で逝去されました。鎌田先生には、2023年02月25日(土)に開催した当学会の研究例会で、「いのちの声を聴く ~生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける~」と題してご講演頂きました。ここに謹んで哀悼の意を表するとともに、鎌田先生の御冥福をお祈り申し上げます。
「人新世生存実践研究会」主催講演会
当学会の外岡 豊 会員が世話役を務めている「人新世生存実践研究会」がオンラインで講演会を開催します。
日 時:2025年6月2日(月) 午後2時から午後5時
講 師:大嶋 仁(おおしま・ひとし))福岡大学名誉教授
テーマ:ゲーテ的科学の世界
講演要旨・講師略歴・ZoomのURLなど、詳細はこちらのPDFでご確認下さい。
以上
修学院フォーラム「福祉」第1回[対面開催]
「宗教はエコか?~神道、仏教、キリスト教からの問いかけ」
公益財団法人日本クリスチャン・アカデミーが、2025年06月28日(土)・29日(日)に修学院フォーラム「福祉」を開催します。当学会の木村護郎クリストフ理事(上智大学教授)が企画・運営に関わっています。また、当学会の鎌田東二理事(京都大学名誉教授)が登壇します。
日 時:2025年06月28日(土)13時から06月29日(日)13時まで。
テーマ:「宗教はエコか?~神道、仏教、キリスト教からの問いかけ」
趣 旨:私たちは「環境問題」とどのように向き合えばよいのでしょうか。科学技術の進歩による解決に期待し、あるいは政府や企業の政策や取り組みに対応を委ねることもできるでしょう。でも、それだけで十分でしょうか。遠大であるとともに身近でもあるエコロジーの問題は、突き詰めると、私たちの人生観・自然観・世界観と密接につながっているのではないでしょうか。そこまでさかのぼらないと、本当の解決にはつながらないのではないでしょうか。神道、仏教、キリスト教からの問いかけに耳を傾けて、「エコ」な態度や行動の可能性を根源から考えてみたいと思います。
講 師:鎌田東二(京都大学名誉教授)「距離と融合、あるいは、ちかづくこと~愛することと、遠ざかること~退くこと」
梶田真章(法然院貫主)「共に生きる〜絆と縁、愛と慈悲」
大宮有博(関西学院大学法学部教授、宗教主事)「環境問題の視点から聖書を読む」ワークショップ
集 合:法然院(京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30)
会 場・宿 泊:関西セミナーハウス(京都市左京区一乗寺竹ノ内町23)
参加費: 16,000円、学生 5,000円(1泊3食込、京都市宿泊税200円、傷害保険、移動経費込込)〔個室差額あり〕
参加申し込みは、こちらのフォームで。(参加申込締切日:2025年06月22日)
フォーラムの詳細については、こちらのサイトでご確認下さい。
当学会の鎌田 東二 理事、島薗 進 理事が執筆者となっている『スピリチュアルケア:臨床宗教師によるインターフェイス実践の試み』が作品社より出版されました。
日本臨床宗教師会編著(執筆者、鎌田 東二、島薗 進、ほか)『スピリチュアルケア:臨床宗教師によるインターフェイス実践の試み』作品社、2025年3月。
「子育て、絆、超高齢化、闘病、孤独死…… この時代に必要とされる「ケア」とは何か?日本臨床宗教師会、結成10周年記念出版。」(作品社のサイトより)
当学会の鎌田 東二 理事が監修・解説した『日本人の死生観 第一巻: 霊性の思想史』および『日本人の死生観 第二巻: 霊性の個人史』が作品社より出版されました。
鎌田 東二 著『日本人の死生観 第一巻: 霊性の思想史』作品社、2025年3月。
「日本人の「いのち」は死後どこへ行くのか。汎神論と習合思想の土壌に醸成された 独自の世界像を『記紀』『万葉』から探る「たましい」の 精神史。」(作品社のサイトより)
鎌田 東二 著『日本人の死生観 第二巻: 霊性の個人史』作品社、2025年3月。
「ステージ4のがん患者として如何に死と向き合うか。宗教哲学、神道神学の碩学が古今の死生観を渉猟しつつ大らかな死に方=生き方を提起。」(作品社のサイトより)
世界遺産アカデミー(WHA)オンライン特別講演会
講演の動画(5分間のショートバージョン)はこちら(配信期間は2024年12月31日(火)12:00まで)
・講 師:服部 英二(地球システム・倫理学会常任理事、世界遺産アカデミー理事)
・日 時:2024年10月26日(土)13:30~15:30
・テーマ:「エデンの園の変貌」
・要 旨:いかなる国にあっても、庭にはそれを作った人の宇宙観が秘められている。
庭園という造形に、我々は何を観るのか。
バビロンからヴェルサイユに至るチャハル・バーグ、文明の軌跡を迫る。
・詳しくは世界遺産アカデミーのサイトでご確認下さい。
アメリカ哲学フォーラム第11回年次大会
2024年11月30日(土)〜12月1日(日)於:京都大学吉田キャンパス
当学会の斉藤直子会員(京都大学大学院教授)が会長を務めておられる「アメリカ哲学フォーラム第11回年次大会」が、京都大学において開催されます。
参加申し込みはこちらのフォームで。
以下、「一般財団法人神の宮共働態」第10期勉強会・特別講演のご案内です。
一般財団法人神の宮共働態 第10期勉強会・特別講演
以下の講演の動画はこちらから視聴できます。
◎日 時:2024 年 7 月 19 日(金)17:00〜19:00
◎講 師:服部 英二(地球システム・倫理学会常任理事)
◎テーマ:「人類を破滅に導かないために」
世界の知性がたどり着いた「包中律」の論理と常若の思想
◎参加費:無料
◎会 場:オンライン および アットビシネスセンター心斎橋駅前 603号室
(大阪市中央区南船場4-4-21 TODA BUILDING 心斎橋6F)
◎参加申込み:参加ご希望の方はこちらの入力フォームにてお申込みください。
◎申込締切:2024 年 7 月 16 日(火)
◎「一般財団法人神の宮共働態」についてはこちらをご参照ください。
◎上記特別講演に関する詳細はこちら。
以上
以下、「伊東俊太郎先生を偲ぶ会」のご案内です。
参加申込・お問い合わせは「偲ぶ会」の事務局宛にメールでお願い致します。ito.shuntarou.shinobukai@gmail.com
「伊東俊太郎先生を偲ぶ会」ご案内
拝啓 薫風の候
皆様におかれましては、ご健勝のことと拝察申上げます。
さて、私どもが敬愛申上げて止まない伊東俊太郎先生が、ご逝去されて早半年が経過いたしました。伊東先生への思慕の念は日々ますばかりでございます。
そこでこの度、私ども伊東俊太郎先生の学恩に浴した者達が集い、伊東先生のご冥福をお祈り申上げると共に、先生の思い出を語り合う場として「伊東俊太郎先生を偲ぶ会」を開催する運びとなりましたことを、ご通知申上げます。
会 場:中央大学 駿河台記念館 19階:Good View Dining
(〒101-0062東京都千代田区神田駿河台3丁目11−5)
日 時:令和6年9月28日(土曜日)
午後4時00分~午後6時30分(開場:午後3時50分)
会 費:一万円
ご参加いただける方は、8月31日(土)までに下記メールにお申し込みをお願いいたします。会場の収容人数が限られておりますので、定員に達した場合は大変申し訳ありませんが、その時点で締め切らせていただきます。お早めにお申し込みいただければ幸いです。ito.shuntarou.shinobukai@gmail.com
敬具
令和6年5月吉日
発起人
犬飼孝夫(麗澤大学比較文明文化研究センター長)
井上章一(国際日本文化研究センター所長)
木本忠昭(東京工業大学名誉教授)
川勝平太(静岡文化芸術大学元学長)
近藤誠一(元文化庁長官)
高橋憲一(九州大学名誉教授)
立木教夫(麗澤大学名誉教授)
中島隆博(東京大学教授)
中牧弘允(国立民族学博物館名誉教授)
原田憲一(至誠館大学前学長)
服部英二(地球システム・倫理学会常任理事/会長顧問)
松本亮三(東海大学名誉教授)
三浦伸夫(神戸大学名誉教授)
安田喜憲(国際日本文化研究センター名誉教授)
山折哲雄(国際日本文化研究センター名誉教授 )
吉澤五郎(聖心女子大学名誉教授)
「伊東俊太郎先生を偲ぶ会」事務局
保坂俊司 (事務局長:中央大学) 汪義翔(東京理科大)、加藤久典(中央大学)、佐野仁美(慶応大学)、赤松義人(中央大学)
●当学会の理事でドキュメンタリー映画監督の坂田雅子氏の著書『枯葉剤の傷跡をみつめて:ある映像作家の「失われた時」への歩み』が2024年1月に、花伝社から出版されました。
En mai 2023, le document du directeur permanent Eiji Hattori intitulé "Echapper à ce qui mène au néant. Redécouvrir la lumière qui jaillit au milieu de soi et de l'autre, de l'humain et de la nature" a été publié sur le site de l'association internationale Convivialisme, basée en France.
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2023年5月、服部英二常任理事の仏文論文 Pour échapper à ce qui nous mène au néant. Retrouver la lumière qui jaillit du Milieu – entre Soi et Autrui, entre l’Humain et la Nature (邦訳「人類を破滅に導かないために―「間」から湧き出る光を知ろう、己と他者・人と自然の間に―」)がフランスに本拠を置く国際学会 Convivialisme「共生思想学会」のホームページに掲載されました。マルク・アンベール(Marc Humbert)教授による紹介文(仏文)はこちら。服部論文(仏文)のPDFはこちらからダウンロードできます。
共生思想学会(Convivialisme)について
ドイツとイタリアにも支部を持つこの学会は、2010年東京で開かれた「共生」に関する日仏対話の結果、2013年に「共生主義宣言」(Manifeste Convivialiste)【要約日本語版はこちら】を発信、2018年に地球システム・倫理学会と共催した東京の日仏会館における第2回シンポジウムの後、2020年に「第2次共生主義宣言」 (要約英語版はこちら、要約フランス語版はこちら)を発信しています。この宣言は、鎌倉時代の浄土宗にもさかのぼる「ともいき」の共生思想が、欧米の現代的人間存在論と相呼応し止揚されたものといえます。
2013年現在、33カ国276名の会員を擁する「共生思想学会」(Convivialisme)の発起人には、パリ・ナンテール大学のアラン・カイエ、脱成長論のセルジュ・ラトゥーシュ(地球システム・倫理学会 協賛会員)、日本からは西川 潤(地球システム・倫理学会 理事)が名を連ねています。第1次宣言の署名者に名を連ねたコレージュ・ド・フランス名誉教授フィリップ・デスコーラ(レヴィー・ストロースの後任)も地球システム・倫理学会の協賛会員です。今回の服部論文の紹介文は、同じく地球システム・倫理学会の協賛会員であるレンヌ大学のマルク・アンベール教授です。
早稲田大学で名声を博した西川 潤は、2017年に日本語でアンベールの『共生主義宣言』を出版し、2018年のシンポジウムを服部・アンベールと共に日仏会館で実現しました。その成果は2018年の『地球システム・倫理学会 会報』に収録されています。西川 潤は2018年9月の本学会理事会を最後に、スペインに赴き、ビルバオで10月に急逝しました。誠に悔やまれます。
「共生主義宣言」(Manifeste convivialiste)は、発表と同時に世界の1,000を超す識者からの反応を集めた、重要な宣言です。特に「人間は、自然の所有者でも主人でもなく、自然と運命を共にする存在である」との声明は、自然を客体化したデカルト以来の主客二元論に西欧の知性が反省を加えた重要な指摘であり、これが日仏の知的対話から生まれ、世界的な反響を得たことに注意してください。
「共生主義宣言」(Manifeste convivialiste) は5項目に集約されることが、服部論文でも解説されています。
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今回の服部論文は、『地球倫理への旅路』(北海道大学出版会、2020年)の内容を凝縮し、更なる考察を加えたものです。
以下は、服部論文の内容の短観です。
・人類は今やAIに支配される「特異点(Singularity )」に向かっている。何故このような事態が生じたのか?
・二項背反のアルゴリズム。17世紀西欧の科学革命による、主客の分離、自然との離婚、自然の資源化が、現在の危機的状況を招来した。
・中世の黄昏、ヨーロッパにおける科学と神学の拮抗と2重真理説に注意。それにより、科学に与えられた「免罪符」が後の大量破壊兵器の発明に繋がるもの。
・神の死とニーチェ。既成事実を告発した勇気。
・人類文明の理解には、東西の対比よりも、17世紀の科学革命による<自然との離婚>以前と以後の存在論的対比が重要。
・排中律から包中律へ、UNESCOからの警告、最先端科学による伝統智との対話の可能性(ヴェニス宣言、1986)、「全は個に、個は全に遍照するとの全一性(Wholeness)の把握」(東京からのメッセージ、1995)。
・A・ベルクの「風土学 (Mésologie)」、G・マルセルの「共存在(Co-Esse)」、フランシスコ教皇の回勅「ラウダート・シ」に見る自然観。
・ソルボンヌ時代、リクール教授に投げかけた「Aは同時にnon A」の問い、テトラレンマの第4項。
・方丈記の「諸行無常」、本居宣長の「もののあわれ」とヘラクレイトスの「パンタ・レイ」。
・日本のイメージ=女性原理。南方熊楠、A・マルロー、司馬遼太郎、ドナルド・キーンの証言。
・「文化の多様性に関する世界宣言(UNESCO 2001)」は、1995年の国連大学におけるJ=Yクストーの証言から産まれた。多様性の大切さ、他者のおかげで自己があることの自覚。曼荼羅の思想を説いた鶴見 和子、死の直前のレヴィー=ストロースの証言。
・「共生主義宣言」の意義。デカルト以来の二元論を断罪し、人間存在を自然の一部として見直した新しい存在論。文化の多様性の重要性と他文化への敬意の表明。
・所有の文明から存在の文明へ。忘れられた生命の樹の再発見へ。中村桂子の生命誌。
・「間」に光り在り。「あわいの智」へ。
・唯一の世界語は「誠」である。
以上
当学会の伊東俊太郎名誉会長(東京大学名誉教授)が、2022年9月に『人類史の精神革命-ソクラテス、孔子、ブッダ、イエスの生涯と思想 』(中央公論新社)を出版されました。
哲人ソクラテス、聖人孔子、覚者ブッダ、預言者イエス。前五世紀以降、四人の始祖の思索と行動により、哲学と普遍宗教が生まれた。「精神革命」という人類史における大転換期である。ギリシアで哲学が誕生、中国で儒教が成立、インドで仏教が勃興、イスラエルでユダヤ教とキリスト教が形成。なぜ東西の地で同時並行的に、思想の変革が起きたのか? 原典をふまえ、平易な筆致によって克明に描出。この人類史の謎と意義を解明する。
当学会の坂田雅子理事が監督したドキュメンタリー映画「失われた時の中で」の試写会が、2022年6月8日、7月12日に開催されます。詳しくは以下のPDFをご覧下さい。(2022年05月31日掲載)
最終更新日:2025年07月26日