津守の興味の対象です.どんどん広げていきたいですね.
いくつかのトピックを紹介します.それぞれ簡単な説明と,現在進行中および開始予定テーマを挙げています.学生さんによる研究紹介動画も御覧ください(研究テーマ紹介動画へのリンク).
3次元プリンタはすでに普及しつつあります.CADデータさえあれば,複雑な形が出力でき,今後もさらに広まっていくでしょう.本研究室では,金属やセラミックス,それからゴムやゲルといった柔軟材料を出力するための研究を進めています.さらに複合化(マルチマテリアル)にも対応させます.
また,出力された構造のその後の変形までを制御できれば,3次元に加え,時間の次元まで「印刷」した4次元プリンタと言えます.津守研究室では,磁性ゴムを使った新しいタイプの4次元プリンタも開発中です.
無機材料・柔軟材料を出力する3Dプリントシステムの開発
磁性ゴムプリンタの異方性制御
3Dプリンタで出力したチタン合金の強度試験片サンプル.しっかりとした強度を有しており手で折り曲げることは困難です.
セラミックスや金属で複雑部品を出力する技術や,さらには,両者の複合構造を同時に出力する技術を開発していきます.
磁性ゴムを3D印刷する独自開発プリンタと,出力した動的折りたたみ構造.出力の際にそれぞれの梁構造の内部に異なる磁性粒子クラスタ構造を生成しています.これにより,各要素に異なるモーメントを与えることができています.
アンテナ構造の折り畳み・展開への応用も期待できます.
セラミックスナノ粉末や金属粉末材料といった「硬い」無機材料にまで微細構造を簡単に転写する技術を開発しています.
表面パターニングにより,同じ素材でも濡れ性を変化させたり,防汚性能・防氷性能を向上させることができます.また,金属やセラミックス等の耐環境性の高い素材にも適用でき,例えばタービンブレード表面での濡れ制御を行うことで伝熱性能も制御することが可能になるでしょう.
ハスの葉に見られるような超撥水多階層構造の実現
上記による防汚表面や防霜,防氷表面の開発
生体の表面には特徴的な微細構造があり,超撥水・防汚効果を促進しています.トンボの翅を高速度カメラ撮影してみました.
マイクロ・ナノパターニングによりこのような機能を高度化することを目指します.
加工法を工夫することで格段に複雑な構造へも成型プロセスを適用することが可能となります.
セラミックスシート内に蛇行する流路を加工した試料のX-CT透過像の例です.20 μm程度の流路が加工できています.
ゴムやゲルといった「やわらかい」材料に磁性粉末を分散させることで,磁場に反応する柔軟な材料を準備できます.特にゴムを硬化する前に軽く磁場を与えることで材料の磁気異方性を付与できます.言ってみれば材料にクセをつけることができます.
これはソフトロボティクス分野でも注目されている新しい材料です.材料の物理モデルも意外に複雑です.解析的な取り扱いも重要になります.
生体模倣構造の作製(人工繊毛,カタツムリ,線虫)
強靭ゲル材料によるソフトロボット
磁場駆動型のソフトロボットです.回転磁場中でイモムシのような動きを再現します.実際の生体と比較しても足の順送運動をかなり正確に実現しています.
強靭なゲル材料を利用した新たな構造・機能材料の開発研究も行っています.
北大のグループにより開発された強靭材料をベースに機能を付加しています.
(写真はカッターの刃物でもなかなか破断しないゲルサンプルの例です)
「生体模倣」という言葉も広く利用されています.微細構造や化学的なトピックが多いのですが,ここでは,ある程度なマクロなレベルでの機械工学的な機能の抽出を試みます.「いきものサロン」で生まれた異分野連携の機会も生かしていきます.
甲虫後翅の折り畳みと展開
根を通じた応力伝播と力学的支持強度
インプリント加工による生体表面機能の再現
ガラスのナノ粒子を「土」のように使って,植物を成長させます.その後,ガラス粉体を焼き上げることで,植物体は完全に焼失し,粉体は焼結されます.数ミクロンレベルの細かい根毛構造までが完全に空洞として透明なガラスチップ内に残っています.